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ストロント・ギア ―適性Sの戦痕―  作者: コロッケパン
第四章 浜松合宿編
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浜松大激突⑤

今回は佐伯くん視点です。

ギゴォォォン! ガギィィィン!


「お前、弱いなりになかなかいい筋してるな。いつかもっと強くなるだろう。まあ、……『今』はここまでだがな!」


 マトシが冷酷に告げた直後、凄まじい衝撃が俺を襲った。


――バゴォーンッ!


 気づいた時には、俺の体は建物の壁に深くめり込んでいた。


(マジか……。もう少し、時間を稼げると思ったのにな……)


 意識が遠のく中、いつの間にか美亜が俺の目の前に駆け寄っていた。


「海斗! 大丈夫!? ……私も一緒にやる。どうせ……ッ、海斗がいなくなったら、浜松駅前はもうもたないから!」


 美亜は涙を流しながら、必死に言葉を絞り出していた。


「……泣くなって。いい、わかった。じゃあ、倒すとすっか。あいつを!」

「……うん!」


 俺と美亜は再び歩み出す。マトシという絶望を、誰かが打ち倒すその瞬間のために。





 ◇





 結果は完敗だった。


 どちらか一方の体勢が崩れるたび、互いを想う心が仇となる。カバーしようとした瞬間に新たな隙が生まれ、そこをマトシに狙い撃たれる。結局、二人まとめて叩き伏せられてしまった。


「大丈夫、海斗? 私はまだ……ハァッ、戦えるよ」

「無理すんな、美亜。もうこれ以上は保たない。……次が最後だ。お互い、最大の一撃をあいつにぶつけよう」

「……わかった」


 俺たちは残された全魔力を武器へと凝縮させていく。


「ほう。面白いものが見られそうだな。終わったら、お前ら二人をじっくりぶち殺してやる」


 マトシの嘲笑を振り切り、二人の影が爆ぜる。

「『リッパー・ブレイド』!!」

「『バクトウ・ブレイク』!!」


 傷だらけの体で、今日一番の速さを叩き出す。左右からマトシを挟み込み、必殺の一撃を同時に放った。


 しかし――。


「ハハハッ! お前らのレベルにしては上出来だ。だがな、俺からすれば……ッ!」


 凄まじい火花が散る。マトシは右手一本、左手二本のギアの爪を粉砕されながらも、俺たちの必殺技をその身で受け止めていた。


「うそだろ……」

「そんな……」


 視界が絶望に染まる。周囲の隊員たちも、その圧倒的な実力差に動きを止めてしまった。


「もっと足掻け! そして絶望しろ! 俺との圧倒的な差に――ガッ……!?」


――バゴォーンッ!!!


 勝ち誇っていたマトシが、突如として横から飛んできた「何か」によって建物ごと吹き飛ばされた。呆然とする俺たちが、攻撃の飛んできた方を見やる。


 そこには、巨大な手裏剣のギアを肩に担ぎ、強者特有の不敵な笑みを浮かべた少年が立っていた。


「よう! 俺は大宮支部のハイパー隊員、齋藤迅さいとうじんだ。よく頑張った! ま、全部あの適性Sが不甲斐ないのがいけないんだけどさ。……あいつは俺が引き受ける。お前らはあの柱から湧いてくる機械を全部ぶった斬れ!」

「「「はい!!」」」


 迅の背後に控えていた大宮支部のスーパー隊員たちが、地響きのような雄叫びを上げて一斉に駆け出した。彼らは迷うことなく、ワットが溢れ出す黒い柱へと向かっていく。


「おのれ……おのれ、おのれぇぇ! お前、絶対にぶち殺してやる!」


 瓦礫の中から、マトシが怒り狂って這い出てくる。


「ほう。それは面白そうじゃないか」


 迅は巨大な手裏剣を軽く回し、涼しい顔で構えた。大宮の強者、齋藤迅の参戦。


 浜松駅前の戦況は、たった一人の男の登場によって劇的な転換を迎えようとしていた。

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