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ストロント・ギア ―適性Sの戦痕―  作者: コロッケパン
第四章 浜松合宿編
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浜松大激突④

前半は透斗視点、後半は大地視点です。

ガギィィィン! ギゴォォォン!! ガギィィィン!


 俺と麻奈、そしてマイドの剣が幾度となく激突し、そのたびに凄まじい衝撃波が周囲を震わせる。


(こいつ、意外と強い……!)


 まだ俺たちが本気を出していないとはいえ、二人を同時に相手取ってのけるマイドの技量に、俺は舌を巻いた。


 その時だ。


 「透斗! オペレーターさんから聞いたんだけど、渚がやられちゃったって……。いま『リターン・ギア専用室』で休んでるって」


 麻奈の言葉を聞いた瞬間、俺の心の中で何かが崩れ落ちるような感覚に襲われた。


(……すまん、渚。俺がさっさとこいつを倒して、助けに行けなかったせいで……!)


 不意に、マイドが攻撃の手を止めた。俺たちの動揺を察したのか、あるいは互いに万全の状態で戦うことを望んでいるのか、奴は静かにこちらを見ている。


「透斗……まさか、自分のせいで渚がやられたと思ってるの?」

「そ、そんなわけ……」


 言葉を濁した瞬間、俺は麻奈に強く抱き寄せられた。


「もう、バカ。それは流石にお人好しすぎるよ。確かに私たちの実力不足もあったかもしれない。でも、渚自身の未熟さだってあったはずでしょ。……私たち、渚を甘やかしすぎていたんじゃないかな」


 麻奈の言葉が、霧を晴らすように胸に届いた。そうだ。渚の成長のためにも、俺たちがすべてを背負いすぎるのは良くない。俺は麻奈を抱き返した。


「……サンキュー、麻奈。やっと目が覚めたよ。だったら――」


 俺たちは再び前を向き、マイドを鋭く見据える。


「あいつをさっさと倒して、渚の仇を討つぞ、麻奈!」

「もちろん! 行くよ!」

「フッ、待っていた甲斐があったぜ……! そっちがその気なら......」


 そして、こいつも新宿のワットと同じように『リターン・ギア』の回路を切った。次の瞬間、目の前のワットは殺気やパワーがケタ違いに大きくなっていた。


「本気でやり合うぞ! 」


 ワットの掛け声と共に、天竜区役所付近の戦火が、再び激しく燃え上がった。





 ◇





バゴォーンッ!!!


「フッ……なかなか、ハァッ、やるじゃねーか……ハァッ!」


 俺と美南の連携で、ワット「コット」の体勢を崩した。その隙に重力を付加した俺の剣を叩き込み、奴を大きく吹き飛ばす。


(生きてはいるが、ダメージは相当なはずだ。……それにしても、あの山上さんがやられるなんて。浜松駅前はそれほど過酷なのか。だったら、一刻も早くこのタフな野郎を片付けないと!)


 焦燥に駆られた次の瞬間。


「流石に、一筋縄ではいかないか。……ならば、俺のすべてを賭けよう」


 コットは自らの体に手をかけると、あろうことか『リターン・ギア』の強制送還回路を自らの手で引きちぎった。


「「ッ……!?」」


「ハァァァァァァァッ!! 待たせたな……。俺の本気、見せてやろう!」


 奴の力が爆発的に膨れ上がり、スピードも、武器の鋭さも別次元へと進化していく。


(そんなの、ありかよ……!)


 退路を断った敵の猛攻。弁天島駅付近の戦場は、一転して死の膠着状態へと陥った。

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