浜松大激突③
今回は佐伯くん視点で書いています。
(マジかよ……。まだハイパー隊員にはなっていないとはいえ、あの山上をあんな簡単に倒すなんて……!)
「ねえ、海斗。どうする? 撤退する?」
同僚の矢上美亜が、震える声で聞いてくる。
「いや、こんなところで撤退したら、頑張った山上が報われないだろ! ――俺があの化け物の相手をする。お前はあの機械共を叩いてくれ。もし俺がやられたら、その時は迷わず逃げろ」
「ほんと、無茶なお願いばっかり。……ま、海斗らしいっちゃ、海斗らしいけどさ」
「すまん、頼むよ」
「うん、そっちも頑張って!」
美亜は悲しげに、今にも零れそうな涙を堪えながら、機械ワットの群れへと切り込んでいった。
「フッ、笑わせるな。お前ごときが俺の相手をだと? まださっきの適性Sの方が勝てる見込みがあったぞ」
「そんなの分かってるさ。俺の目的はお前を倒すことじゃない。時間を稼ぐことだ……絶対に、誰かが来てくれる!」
「そう思うなら、死ぬまで信じていればいい」
その時だった。
――バゴォーンッ!
凄まじい衝撃波とともに、目の前にいたマトシが弾き飛ばされた。
一瞬で安堵が広がる。誰かが助けに来てくれた。透斗か麻奈かと思ったが、違った。
「大丈夫かい、佐伯海斗くん。遅れてごめんね。ここからは私に任せてもらおう」
顔を上げた先にいたのは、長田支部長だった。
「支部長……!?」
「ああ、私だよ。もう安心しなさい。私がこい……ッ!?」
支部長の言葉を遮るように、頭上から一振りの剣が猛然と降り注いだ。
「私はカミサ。この軍の指揮を執る者だ。……お前、強いな。私の相手をしろ」
「そうかい。だが今は忙しいんだ、君の相手をしている暇は――」
「拒否は許さん!」
激突。カミサの一撃を正面から受けた支部長は、そのまま遠方へと吹き飛ばされる。カミサもまた、獲物を追う獣のように支部長の後を追って消えた。
(クソッ、結局状況は変わらずかよ!)
「さあ、カミサ様も行かれたことだ。……始めようか」
いつの間にか、吹き飛ばされたはずのマトシが傷だらけの体で戻ってきていた。
直後、マトシの影が目前に迫り、鋭いギアが俺の顔面を貫こうと突き出される。
「……俺は、そう簡単に負けるわけにはいかないんだ! 『リミッター一部解除』!!」
全身に爆発的な力がみなぎり、視界が鮮明に研ぎ澄まされる。
「フッ、さっきの適性Sがこれを使ってくれていればもっと楽しめたんだがな。まあいい。さっさと来い!」
海斗の『リッパー・エッジ』と、マトシの『手爪』が火花を散らして激突する。
浜松駅前、極限の第2ラウンドが幕を開けた。
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