渚vsマトシ
「なんで、こんなことに……」
強いワットが来ることは予想していた。けれど、まさか私一人で相手をすることになるなんて。作戦では、蓮さんと二人で強いワットと共闘するはずだったのに、現実は非情だった。
「おい、山上! 大丈夫か? 一人でいけるか!」
佐伯くんが心配そうに声をかけてくれる。
「うん、大丈夫。佐伯くんはあの柱から無限に湧いてくる機械ワットを叩いて! 明らかに人数が足りないから」
「……了解! 死ぬなよ、頑張れ!」
佐伯くんは短く応じると、再び敵の群れへと飛び込んでいった。
「おいおい、余裕だな。本当にお前一人で俺を倒せると思っているのか?」
「そんなの、やってみなきゃ分からないでしょ!」
私は地面を力一杯に蹴り、マトシの懐へと鋭く潜り込む。
「ホワイト……ッ!!」
技を繰り出そうとした刹那、マトシのギアが私の脇腹を掠めるように突き出された。間一髪、自分のギアで受け流すが、衝撃で腕が痺れる。
「ハァッ、ハァッ、ハァッ……」
戦場に私の荒い呼吸だけが響く。
「フッ、適性Sと言っても、剣術はまだお粗末なものだな」
「うるさい! 絶対にお前を倒すんだから……!」
「本当にできると思っているのか?」
マトシの冷徹な問いに、私は答えることができない。
(こいつ、強い)
「まあいい。俺の本気、少し見せてやるよ」
ガンッ、ガンッ、ガンッ、ガンッ、ガンッ!
彼の拳は驚異的な速度で繰り出され、鋭いギアの先端が、正確に私の急所を貫こうと迫る。
(まずい、このままじゃいつかやられる。どうしたら、どうしたら、どうしたら……!)
けれど、焦る私を時間は待ってくれない。
「終わりだ」
マトシのギアが閃き、私の視界が反転した。首筋に熱い衝撃が走る。直後、私の体は眩い光に包み込まれた。私は実感した。
……負けたのだ。
気づいた時には、浜松支部の『リターン・ギア専用室』に横たわっていた。
(はぁ……ごめんね、みんな。こんな大事な時にやられちゃうなんて。本当に私ってやつは……)
私が一人、悔し涙を流している間も、外では地獄のような戦いが続いていた。
面白いと思ったら、下の☆☆☆☆☆から応援評価をお願いします!励みになります
今日はもう1回投稿する予定です。
ぜひ読んでください!




