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ストロント・ギア ―適性Sの戦痕―  作者: コロッケパン
第四章 浜松合宿編
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浜松大激突②

ほぼ山手大地くん視点になっています。

最後だけ違う人の視点です!

僕、山手大地やまてだいち村山美南むらやまみなみは、物心ついた時からの幼なじみだ。互いの考えていることなんて、口に出さなくてもだいたいはわかる。


 どんな困難も、二人なら乗り越えられると信じていた。だからこそ……。


 あの時の敗北は、言葉にできないほどショックだった。「マイ」という女。あの圧倒的な力の前に、僕たちは文字通り瞬殺された。


 二度とあんな思いはしたくない。二度と足手まといにはなりたくない。少しでもみんなの役に立ちたくて、反吐が出るような訓練も耐え抜いてきた。


 なのに、心にこびりついた敗北感だけが、泥のように僕の足を引っ張る。考えても無駄だと分かっていても、思考の悪循環が止まらない。


 「――大地、顔が暗いよ」


 僕の心を救い上げたのは、美南と、もう一人。横浜支部の浜松合宿に来ていたスーパー隊員、山上渚やまがみなぎささんだった。


 「分かりますよ。悔しいんでしょう?」


 渚さんは静かに、だが力強く僕を見つめた。


 「なら、その悔しさを糧に強くなってください。虫の良いことを言っているのは承知の上です……。でもこれほど強い敵を前に、命懸けで成長できる機会なんて、今この瞬間を置いて他にありませんよ」

「そうだよ、大地。もっと上に行こうよ!」


 二人の言葉が、憑き物を落としてくれた。

 そうだ。僕はまだ、自立すらできていない見習い同然なんだ。だったら、ここから這い上がるしかない。





 ◇





 浜松市、弁天島駅。美しい湖を望むその地に、不釣り合いな「黒い柱」がそびえ立っていた。そこからこれでもかとたくさんの機械のワットが出できている。


 また、そこには既に、これまでのワットとは一線を画すプレッシャーを放つ個体が待ち構えていた。


 「ようよう、待ってた。そこの先頭の二人……お前ら、なかなかいい面構えじゃねえか。俺の名前はコットだ!丁度いい、俺の相手をしろ! 」


 「大地、どうする?」

 「……決まってるだろ、美南!」


 僕たちは顔を見合わせ、頷く。


「如月ちゃん、指揮をお願い。私らはあいつをぶっ倒してくるから!」


 美南の言葉に、如月が不敵に笑った。


 「負けないでよ? ま、あいつの相手ができるのは、あんたらくらいしかいないでしょうし。異論は無いわ」


「じゃ、よろしくね。大地、さっさと終わらせよう!」

「おう!」


「フッ、いいだろう。……行くぞッ!」


 浜名湖の静寂を切り裂き、新たな戦いの火蓋が切られた。


 その頃――。


「『浜松侵攻作戦』……。ふふ、この戦い、どんな決着が待っているのかしら」


 激しく剣を交える蓮の猛攻をいなしながら、マイは余裕の笑みを浮かべて独りごちた。

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