浜松大激突②
ほぼ山手大地くん視点になっています。
最後だけ違う人の視点です!
僕、山手大地と村山美南は、物心ついた時からの幼なじみだ。互いの考えていることなんて、口に出さなくてもだいたいはわかる。
どんな困難も、二人なら乗り越えられると信じていた。だからこそ……。
あの時の敗北は、言葉にできないほどショックだった。「マイ」という女。あの圧倒的な力の前に、僕たちは文字通り瞬殺された。
二度とあんな思いはしたくない。二度と足手まといにはなりたくない。少しでもみんなの役に立ちたくて、反吐が出るような訓練も耐え抜いてきた。
なのに、心にこびりついた敗北感だけが、泥のように僕の足を引っ張る。考えても無駄だと分かっていても、思考の悪循環が止まらない。
「――大地、顔が暗いよ」
僕の心を救い上げたのは、美南と、もう一人。横浜支部の浜松合宿に来ていたスーパー隊員、山上渚さんだった。
「分かりますよ。悔しいんでしょう?」
渚さんは静かに、だが力強く僕を見つめた。
「なら、その悔しさを糧に強くなってください。虫の良いことを言っているのは承知の上です……。でもこれほど強い敵を前に、命懸けで成長できる機会なんて、今この瞬間を置いて他にありませんよ」
「そうだよ、大地。もっと上に行こうよ!」
二人の言葉が、憑き物を落としてくれた。
そうだ。僕はまだ、自立すらできていない見習い同然なんだ。だったら、ここから這い上がるしかない。
◇
浜松市、弁天島駅。美しい湖を望むその地に、不釣り合いな「黒い柱」がそびえ立っていた。そこからこれでもかとたくさんの機械のワットが出できている。
また、そこには既に、これまでのワットとは一線を画すプレッシャーを放つ個体が待ち構えていた。
「ようよう、待ってた。そこの先頭の二人……お前ら、なかなかいい面構えじゃねえか。俺の名前はコットだ!丁度いい、俺の相手をしろ! 」
「大地、どうする?」
「……決まってるだろ、美南!」
僕たちは顔を見合わせ、頷く。
「如月ちゃん、指揮をお願い。私らはあいつをぶっ倒してくるから!」
美南の言葉に、如月が不敵に笑った。
「負けないでよ? ま、あいつの相手ができるのは、あんたらくらいしかいないでしょうし。異論は無いわ」
「じゃ、よろしくね。大地、さっさと終わらせよう!」
「おう!」
「フッ、いいだろう。……行くぞッ!」
浜名湖の静寂を切り裂き、新たな戦いの火蓋が切られた。
その頃――。
「『浜松侵攻作戦』……。ふふ、この戦い、どんな決着が待っているのかしら」
激しく剣を交える蓮の猛攻をいなしながら、マイは余裕の笑みを浮かべて独りごちた。
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