浜松大激突
前半は渚視点、後半は透斗視点です。
本当にやばい状況だ。ハイパー隊員は、浜松支部と横浜支部を合わせても、わずか6人。
浜松駅前の柱には実羽さんと蓮さん。浜名湖の柱には山手くんと村山さん。そして、天竜区役所付近に現れた柱には透斗と麻奈が向かった。
一緒に浜松駅に来た蓮は、多分侵攻軍のリーダーの「マイ」という女を食い止めている。
その煽りを食らい、駅前を埋め尽くす怪物の群れ――ワットを相手にするのは、狙撃手の実羽さんひとりだけになってしまった。実羽の実力は折り紙付きだ。だが、一撃必殺の狙撃では、押し寄せるワットの数に対処しきれない。
「……人手が、足りなすぎる!」
その時だった。
「ほう。お前が適性Sか。なるほど、見事なものだ」
と、威圧感のある声が響く。
「カミサ」と呼ばれた男が、品定めするようにこちらというか私を凝視していた。
「適性S……その力がどれほどのものか、調べておかねばな。マトシ、行け」
「はっ、カミサ様」
男の影から一人の戦士が歩み出る。その瞬間、肌を刺すようなプレッシャーが走った。あのマイやカミサほどではない。だが、こいつも間違いなく「強者」だ!
「お前が適性Sだな。さあ、本気を見せてみろ。俺を楽しませろ!」
男――マトシが構えたギアは、一対のグローブだった。だが、その先からは長大で鋭利な刀が合計10本、牙のように突き出している。
(肉弾戦……それも、私がこれまで戦ったことのないタイプ……!)
「このギアが気になるか? 冥土の土産に教えてやろう。これの名は『手爪』だ」
ギアの名前なんてどうでもいい、とツッコミそうになる心を無理やり抑え込む。
(こいつ、油断したら一瞬で殺される。……でも、私は浜松を守ると決めたんだ。絶対に、負けられない!)
久しぶりに黄金の歯車が回り始める。
浜松駅前の戦場は、一気に加速した。
◇
一方、天竜区役所。浜松市の中心部から大きく離れたこの場所でも、黒い柱から溢れ出すワットの数は異常だった。
「マジで? 普通、こんなに湧く? さすがに初めてだよ、この数は」
麻奈が驚愕の声を漏らす。
「ああ。だが、ここで止めるぞ。さっさと終わらせて、渚たちを助けに行くんだ!」
透斗がギアを握り直す。
「蓮からの連絡によれば、あいつらは駅前でマイ……俺たちを瞬殺しやがったリーダー格と交戦中だ。駅前の方が圧倒的に手薄なんだよ!」
「りょーかい。じゃあ透斗、さっさと掃除しちゃおう」
「おう、行くぞ!」
数は少ないが、隊員たちの質は高い。天竜区役所付近のワットは、みるみるうちに掃討されていった。だが、群れの半分を斬り伏せたところで、「そいつ」は現れた。
「お前ら、なかなかやるじゃねーか。この俺、マイド様が相手をしてやろう!」
(……チッ、こいつも強いな。あのマイと比べれば落ちるが、それはあいつが異常なだけだ)
透斗は背後の仲間に短く告げた。
「虎徹、指揮を任せていいか? 俺と麻奈であいつを叩く」
「わかった。こっちは任せろ。……絶対、勝てよ!」
「わかってるって。麻奈、行くぞ!」
「了解。……いっくよー!」
激突の火花が散り、天竜区の戦いもまた、激化していく。
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