呼び出し(バルト視点)
俺はバルト。先の新宿侵攻では特攻隊長を務めていた。 今日は我が王『ワルト』様に呼び出され、この「ワルト城」へと足を運んでいる。
「はっ。そういえば、あいつら少しはマシになってたか?」
ふと思い出し、隣を歩く者に問いかける。
あいつら――新宿で、当時俺の副官だったカマカミを屠ったストロントの隊員共だ。確か、適性Sとかいう珍しい素材も混じっていたはずだ。
あの敗北をワルト王に報告した際、「お前は自由すぎるんだよ」と苦笑混じりに言われたのを思い出す。
「はい。バルト様には遠く及びませんが、以前相まみえた時よりは、多少なりとも力をつけているようです」
答えたのは、俺の新しい副官・マコモだ。こいつは特殊な『ギア』を操る。その性能を披露する機会も、そう遠くはないだろう。
◇
王の間へ足を踏み入れると、すでに他の幹部たちが顔を揃えていた。
「よう、バルト。久しぶりじゃねぇか。またお前と模擬戦やりたくてウズウズしてんだ、今日あたりどうだ?」
好戦的な笑みを浮かべて声をかけてきたのは、幹部の一人・カイラだ。俺ほどじゃないが、骨のある強さを持っている。こいつとの殺し合い(しあい)は、退屈しのぎにはちょうどいい。
すると、反対側からも呆れたような声が飛んできた。
「バルト、何度も会いたいって連絡したのに……一体どこをほっつき歩いてたんだ?」
小言を言ってきたのは、同じく幹部のリトだ。こいつもまた、一筋縄ではいかない実力者。
ここにはあと十人ほどの幹部がいるが、今日呼び出されたのは俺を含めて三人だけのようだ。
「あー、悪かったな。つい最近新宿から帰ってきたばかりなんだよ。日本とかいう場所は、いかんせん遠すぎる」
俺たちの国「ワット共和国」から日本まではクソ長い距離がある。片道だけでも三週間。
我が共和国は、この次元に存在する全ての国を傘下に収めた超巨大国家だ。支配すべき場所がもう残っていないから、たまに暇つぶしがてら日本へちょっかいを出しているに過ぎない。
今日集められた理由は、おおよそ想像がつく。
どこかをまた攻め落とせ、といったところだろう。
(この前新宿へ行ったばかりだってのに、また駆り出されるのは御免だぜ。今回は誰かに押し付けるとしよう……)
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