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ストロント・ギア ―適性Sの戦痕―  作者: コロッケパン
第三章 スーパー隊員編
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決戦 渚vs虎徹

 ――そして二日後。


 運命の、決勝の日が訪れた。


 私は今、虎徹先輩との試合開始を直前に控え、蓮さんと最終調整を行っている。


「山上。お前が虎徹に勝てるかどうかのポイントは、ただ一つ。……奴の『盾』を断ち切れるかどうかだ。それができなきゃ、前の試合と同じく無様に負ける。……わかるな?」


 蓮さんの言葉が、重く胸に突き刺さる。


 そう、前回の敗因は明白だった。私は、あの盾を突破できなかった。


 だけど、地獄の特訓を乗り越えた今の私は――違う!


「今日の試合でこそ、私は虎徹先輩の盾を……絶対に切ってみせます!」


「おう。……おっと、もう三十分前か。そろそろ行くぞ」


「はい!」



     ◇



 ついに、決勝の舞台。


 入場した瞬間、客席から麻奈や如月先輩たちが大きく手を振っているのが見えた。


 ……みんながいる。それが、私に折れない勇気をくれる。


 対峙する虎徹先輩は、いつも通りの不敵な笑みを浮かべていた。


「虎徹先輩。ずっとこの時を待っていました。今日こそあなたに勝ってみせます。もう、負けません!」


「いい気合だ。だが悪いな、こっちも譲るつもりはねえよ。またお前を完封して、二度と立ち上がれなくしてやる」


 ――試合開始の合図が、轟いた。


 ガチンッ、ガチンッ、ガギィィィィィンッ!

 激しくぶつかり合う金属音。


 やはり虎徹先輩の盾は硬い。並の攻撃では傷一つ付かない。


 死角に回り込み、背後から切りつけても、瞬時に剣で対応される。


 (……やっぱり、正面から突破するしかない!)


 私は深く腰を落とし、ギアに魔力を凝縮させた。


『おっと、山上選手――溜めに入ったぁ! 必殺技で我妻選手の盾を強行突破するつもりか!?』


 実況が叫び、会場の熱気が一気に跳ね上がる。


 だが。

 蓮さんは言っていた。

『虎徹の盾は、お前の出力を待っている』と。


 それなら――逆を行く!


「ほう。山上、お前の技がどれだけ通用するか――受けて立ってやるよ!」


 虎徹先輩が防御を固める。

 その瞬間、私は溜めた力を「技」ではなく「加速」へと全転換した。


『……っ!? 山上選手、技を打たない!?』


「なに……っ!?」


 虎徹先輩の顔が驚愕に染まる。


 大技を耐えるために固めた防御体制――それは今、最大の隙。


「これで、終わりです……虎徹先輩!」


 ドシュッ! と鋭い音を立てて、私の刃が虎徹先輩の胴を捉えた。


 手応えはあった。戦闘は、終わった……。

 ……はずだった。


 おかしい。

 いつまで経っても、『リターン・ギア』の転送光が溢れ出ない。


「どういうこと……!?」


 顔を上げた私は、息を呑んだ。

 虎徹先輩の目の色が変わっている。


 獣のような、どす黒い光を宿した目で、私に歯を剥き出しにしていた。


『……我妻選手!? 一体どうしたんだ、追撃に来ない!』


 実況の声も届かないのか。

 虎徹先輩は微動だにせず、ただ異様な殺気を放ち続けている。


「渚! 逃げて!!」


 客席から、麻奈の悲鳴のような叫びが響いた。


「虎徹先輩は自分の意志で動いてない! もう、意識を失ってるわ!」


 その言葉に、会場が凍りついた。


「……おい、虎徹の意識がないって……どういうことだ?」

「操られてる……? あいつを操れる奴なんて、この場にいるのかよ!?」


 観客の動揺が波のように広がる。


 目の前の虎徹先輩には、隙が全くない。……いえ、それどころか、先ほどまでとは別人のような「禍々しい威圧感」に支配されている。


 その時。

 スピーカーから、緊急のアナウンスが流れた。


『――支部長からの緊急連絡です! 我妻選手は何者かに操作されている可能性があります! これよりハイパー隊員が介入します。山上選手は、速やかに避難を――』


 警告が響く中、コートに一人の人影が降り立った。


 私の親友であり、この異常事態に真っ先に駆けつけてくれた少年。


「渚。あとは、俺に任せな」


 透斗の背中が、いつになく大きく見えた。


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