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ストロント・ギア ―適性Sの戦痕―  作者: コロッケパン
第三章 スーパー隊員編
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成長

 蓮さんとの秘密特訓が始まって、一週間。


 体中が筋肉痛で、ベッドから起き上がるだけで「いたたた……」と声が出る。でも、右手に残る感覚だけは、これまでになく研ぎ澄まされていた。


 第14訓練場。朝日が差し込む中、私は一本の竹刀を構えていた。


「……行くぞ、山上」


 蓮さんの低い声。次の瞬間、生身の蓮さんが音もなく、鋭い踏み込みで迫ってくる。一週間前なら、その速さにパニックになって竹刀を振り回していただろう。


(……あ、見える。今!)


 私は蓮さんの動きを「力」で止めようとするのをやめた。


 彼の動きの流れ、その「隙間」に自分の竹刀をそっと置くような感覚。


 ガチィィン!!


 蓮さんの木剣の勢いを、滑らせるように最小限の動きで受け流す。そのまま、肩の力を抜いて、蓮さんの懐へと竹刀の先を滑り込ませた。


 ピタッ。


 蓮さんの喉元、あと数センチのところで竹刀が止まる。


「……。ようやく、『形』になってきたな」


 蓮さんが木剣を引き、不敵に笑った。


「すごーい! 渚、今の見た!? 蓮さんの動き、完全にいなしてたじゃん!」


 観覧席から麻奈が身を乗り出して、自分のことみたいに嬉しそうに叫ぶ。


「ああ、今の受け流しは完璧だったな。……一週間でそこまで仕上げてくるとは、マジでビビったわ。お前、本当に化けたな」


 透斗も隣で目を丸くしながら、誇らしげに笑っている。その瞳には、親友の成長を心から喜ぶ熱があった。


「……ふん。一週間、死にそうな顔して竹刀振ってた甲斐があったじゃない。あんたのそのデタラメな『適性S』も、少しは使い道が出てきたわね」


 実羽も相変わらずの毒舌だけど、その目は優しかった。


「……ありがと。でも、まだ練習だから」


 私は照れ隠しに竹刀を回し、自分の右手のひらを見つめた。


 暴れるだけだった力が、今は指先の延長のように馴染んでいる。


「……山上。明日からは『スーパー隊員大会』だ。予選はサバイバル。……お前のその『静かな牙』が、どこまで通用するか、見せてもらうぞ」


 蓮さんの言葉に、私は深く、強く頷いた。


「うん。……見てて、蓮さん。私はもう、三振してベンチに戻るつもりはないから。次は……私がみんなを打ち取ってみせる」

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