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ストロント・ギア ―適性Sの戦痕―  作者: コロッケパン
第三章 スーパー隊員編
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師弟の絆

 私が蓮さんの胸で泣きじゃくっていた、その時だった。


 ――ピキィィィィィン!


 夜明け前の訓練場に、不自然なほどの静寂が訪れた。まるで空間そのものが凍りついたような、異様なプレッシャー。


「……おい、泣き止んでろ、山上。客人が来たようだぜ」


 蓮さんが私の肩を優しく押し戻し、ゆっくりと前へ出た。


 暗闇の中から現れたのは、図書室で如月先輩を襲ったあの漆黒の刺客――ではない。さらに禍々しい、赤黒いギアを纏った三人の影。


 彼らは何も語らない。ただ、機械的な正確さで武器を構え、殺意の波動をこちらへ向けてくる。


「……なるほどな。横浜支部の『不純物』をまとめて掃除しに来たってわけか」


 蓮さんの言葉に、刺客たちが同時に地を蹴った。一人は私へ、残る二人は蓮さんへと殺到する。


「蓮さん……っ!」


 私がホワイト・アウトを抜こうとした瞬間。


「――引っ込んでろと言っただろ。お前はまだ、泣き顔のままでいい」


 蓮さんが動いた。いや、「動いた」と認識した時には、既に一人目の刺客の喉元に彼の漆黒の刃が食い込んでいた。


 ドォォォォォォォン!!


 一撃。ただの一撃で、スーパー級の精鋭であるはずの刺客が壁まで吹き飛ばされ、そのまま動かなくなった。


「なっ……!? バカな、速すぎる!」


「……バカはお前らだ。俺の弟子を泣かせておいて、五体満足で帰れると思ってんのか?」


 蓮さんの全身から、見たこともないような漆黒のオーラが噴き出した。それは怒りというよりも、絶対的な強者が放つ「静かなる威圧」。


 残る二人が左右から挟み撃ちにするが、蓮さんは一歩も動かない。最小限の剣捌きで二人の刃を受け流すと、流れるような動作で二人の腹部へ同時に回し蹴りを叩き込んだ。


 バキッ、という嫌な音が響き、刺客たちが地面を転がる。

 

「……自分の飼い主に伝えな。このガキに手を出すなら、次は俺が直接相手をしてやるってな」


 蓮さんが漆黒のギアを一閃させると、衝撃波だけで刺客たちのギアが粉々に砕け散った。コテンパン、という言葉では生ぬるいほどの圧倒的な実力差。


 刺客たちは恐怖に顔を歪め、命からがらリターン・ギアを起動させて逃げ出していった。


 静まり返った訓練場。蓮さんは何事もなかったかのようにギアを収め、私の方を振り返った。


「……見たか。これが『力を消し、一点を穿つ』本当の使い方だ」


 私は、ただ呆然とその背中を見つめていた。

 私が必死に研ごうとしていた「牙」の、遥か先にある完成形。


「……蓮さん、すごすぎます……」


「……当たり前だ。誰の師匠だと思ってやがる。……さあ、顔を洗ってこい。修行の続きだぞ」


 ぶっきらぼうに言った蓮さんの手は、まだ微かに震える私の頭に、再びポンと置かれた。

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明日から1日1回投稿にします。

楽しみにしてくれている皆さんにはご迷惑をかけますが、これからもよろしくお願いします。

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