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ストロント・ギア ―適性Sの戦痕―  作者: コロッケパン
第二章 新宿侵攻編
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都庁前 集結

 新宿の街を焼き尽くす炎を背に、私たちはついに都庁前広場へと辿り着いた。


 そこには、関東全域から集結した数百人の隊員たちが、都庁を埋め尽くすワットの軍勢と正面からぶつかり合っていた。色とりどりの閃光が夜の新宿を昼間に変えるほどの、凄まじい総力戦だ。


「――おらぁ! 邪魔だ退けえ!!」


 その地響きのような声と共に、ワットの群れを「粉砕」して現れたのは、八王子のエース、石丸大翔いしまる やまとだった。


「大翔! 来てくれたんだね!」


「遅いぞ石丸、八王子からここまで渋滞でもしてたか?」


 麻奈と透斗が、戦場とは思えないほど親しげに声をかける。石丸は豪快に笑いながら、身の丈ほどもある超重量級の大槌を肩に担ぎ直した。


(この人、麻奈たちと仲いいんだ。少し羨ましいかも。でも、それより……なんて力強さなの! あんなに重そうなハンマーを、まるで小枝みたいに振り回して戦場を更地にしてる……!)


 石丸がハンマーを振り下ろすたびに、衝撃波でアスファルトが捲れ上がり、十数体のワットが一瞬で肉片に変わる。彼は笑みを消すと、鋭い眼光を私に向けた。


「……で、こいつが噂の『適性S』の新人か。おい。透斗たちの足を引っ張るようなら、俺が八王子まで叩き返してやるからな。分かったら、さっさとギアを抜け」


 石丸の威圧感に気圧されそうになったその時、周囲の空気が一気に凍りついた。


「大翔、あまり新人をいじめないであげて。……あら、横浜のれんもいたのね。相変わらず、冷たい顔をしていて素敵だわ」


 優雅にレイピアを振るい、ワットを氷像に変えながら現れたのは、千葉支部のエース、我妻麗わがつま れいだ。彼女は鮮やかに敵を仕留めながら、あからさまに蓮の方を見つめて頬を染めている。


(えっ……麗さん、蓮さんのことが好きなの!? この地獄みたいな戦場で見つめ合ってる場合じゃないでしょ! っていうか、あの怖い蓮さんに惚れる人がいるなんて……)


 想定外の恋模様に困惑する私を余所に、さらに南側から地響きと共に巨大な盾を構えた一団が現れる。


「麗、私語は慎め。……東京支部、配置完了だ」


 現れたのは、東京支部のエース、皇凱すめらぎ がい。彼が巨大な大盾を地面に突き立てると、物理的な衝撃波が発生し、ワットの進軍が完全に停止した。


 東京の守護神としての威厳。その圧倒的な鉄壁の守りが、崩れかけていた前線を繋ぎ止めた。


 横浜の蓮、大宮の迅、八王子の石丸、千葉の麗、そして東京の皇。


 関東五支部の「エース」たちが、ついに都庁の門の下で揃い踏みした。関東が誇る最強の五つの頂点が、いま一つの戦場に集結したのだ。


(すごい……これが、本当のエースたちの輝きなんだ。圧倒的な力、揺るぎない自信……私はまだ、この人たちの足元にも及ばない。でも……!)


 私は『ホワイト・アウト』を強く握りしめ、自分自身の震える心をねじ伏せた。


「私は絶対にあなたに認めてもらいます。……そして、私は新宿を守り抜く!」


 最強の先輩たちに負けじと、私は白銀の閃光を纏って一歩前に踏み出した。


 都庁の屋上から、金色のギアを纏ったワットの親衛隊が急降下してくる。新宿全体の運命を決める大激突が、いま幕を開けた。

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