共闘②
私の『ホワイト・アウト』が、覚醒したワットの胸の核へと迫る。
けれど、リターン・ギアを壊し狂気に染まったワットの反応は、私の予想を遥かに超えていた。禍々しい黒い大鎌が、私の喉元へと逆襲の軌道を描く。
「無駄だ。死ぬのは、お前だ適性S!」
回避は間に合わない――そう確信した瞬間、横から複数の鋭い閃光が割り込んだ。
「――渚に、触らせない!」
「遅くなってごめん、渚。……ここからは全員で叩くぞ!」
麻奈の黄金の大剣が大鎌を力任せに弾き飛ばし、透斗の双剣が雷光となって敵の視界を遮る。
さらには蓮の漆黒の一閃と、迅の銀色の円盤が追撃として叩き込まれた。
地下街に、横浜と大宮の精鋭五人の殺気が渦巻く。横浜支部で出会い、共に地獄を潜り抜けてきた大切な仲間たちが、一番苦しい時に隣にいてくれる。それだけで、私の指先の震えは止まった。
「ありがとう、みんな。私、今ならできる気がするよ」
私の言葉に、四人が同時に頷いた。
五人による同時攻撃。いかに覚醒したワットといえど、これだけの戦力が集中した連携を捌き切ることはできない。蓮の刃が敵の足を止め、迅の円盤が装甲を削り、麻奈と透斗が完璧なコンビネーションで逃げ道を完全に塞いだ。
「行け……山上! お前の全力で、その核を貫け!」
蓮の怒鳴り声が響く。全員が私に「最後の一撃」を託し、最短の道を切り開いてくれた。
私は、自分の内側で暴れる巨大な適性Sのエネルギーを呼び覚ます。もうそれは、私を振り回すだけの暴力ではない。
(この刃に私が出せる全ての力を集中させ、それをそのままぶつける!)
必殺のイメージ。今まで出会った人たちの顔、教わった技術、そして今背中を預けてくれているみんなの熱を、一本の白銀の線へと凝縮していく。
ホワイト・アウトの刀身が、暗い地下街を真昼に変えるほどの純白に染まり、空間そのものが振動を始めた。
「これで終わりだよ。……『ホワイト・アクト』!!」
放たれた一撃は、光の激流となってワットの胸の核を真っ向から撃ち抜いた。
リターン・ギアを自ら壊し、逃げ場を捨てたワットには、もう光となって逃げる術は残っていない。白銀の閃光が死神の影を完全に飲み込み、その奥にある「人間」としての断末魔さえも消し去っていく。
ドォォォォォォォォォォン!!
凄まじい衝撃波が地下街を駆け抜け、やがて静寂が訪れた。
私たちはボロボロになりながらも立ち尽くしていた。
「……やった、のか?」
透斗が呟く。私は震える手でホワイト・アウトを収め、ゆっくりと膝をついた。
限界の三十秒。けれど、その心はかつてないほど晴れやかだった。
そして白い光は、晴れていった。




