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ストロント・ギア ―適性Sの戦痕―  作者: コロッケパン
第二章 新宿侵攻編
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26/129

共闘

 ――ガギィィィィィィィン!!


 巨大な鎌の刃が『ホワイト・アウト』を削り、激しい火花が私の視界を真っ白に染めた。


「……っ、あああああ!」


 死神のような『ワット』の怪力に、膝が折れそうになる。背後の親子を庇っている以上、一歩も引くことはできない。私の腕は悲鳴を上げ、ギアの耐久ゲージは刻一刻と危険域へと近づいていた。


「終わりだ。その細い首ごと、刈り取ってくれる」


 『ワット』が鎌を高く振り上げ、トドメの衝撃波を放とうとした、その時だった。


「――おい。俺の獲物を勝手に刈ろうとしてんじゃねえよ」


「ハッ、横浜のノロマの分際でデカい口叩くな。こいつは俺が仕留める獲物だ」


 爆音と共に地下街の壁が瓦礫となって崩落し、二つの影が躍り出た。漆黒のギアを構え、冷徹な威圧感を放つ横浜の蓮。そして、巨大な手裏剣『サークル・デス』を軽々と回転させる大宮の迅。


(この2人が来てくれるなんて、でもこれなら行けるかもしれない……!)


 絶望の淵で現れた、最強の二人の背中。反目し合っていたはずの二人が、いま私の前に並び立っている。その圧倒的な安心感に、震えていた私の心に再び火が灯った。


「ちっ、お前は下がってろ、山上。修行の成果、無駄にするんじゃねえぞ」


「おい適性S、足引っ張ったらその包帯ごと切り刻むからな!」


 蓮と迅が、「『ワット』を挟んで同時に地を蹴った。漆黒の一閃と、銀色の円盤。二人のハイパー隊員による超高速の同時攻撃が、死神の大鎌を真っ向から弾き飛ばし、地下街の空気を爆圧で震わせる。


 だが、追い詰められた『ワット』は、血の混じった不気味な笑みを浮かべた。


「……ククッ、いいだろう。見せてやる。我らワットの『真の牙』を」


 『ワット』は自らの背中にある『リターン・ギア』の回路を、自らの手で力任せに握り潰した。キィィィィン……という、ギアの悲鳴のような音が暗い地下街に響き渡る。


「俺らのギアはな、リターン・ギアの回路を壊すと覚醒するんだ、このようにな。おらぁーーーぁーー!!」


 敵の咆哮と共に、大鎌が赤黒い光を放ちながら膨れ上がる。脱出システムを自ら破壊し、安全装置を捨てて生身を晒すことで得られる、狂気的なまでの出力上昇。

 もはやそこには理屈も慈悲も存在しない。命を削り、ただ目の前の敵を滅ぼすためだけの「怪物」がそこにいた。


 覚醒した『ワット』の鎌が、コンクリートの床を豆腐のように切り裂いて迫る。蓮が正面を受け止め、迅が左右から揺さぶりをかける。一撃が死に直結する、本物の殺し合い。


「山上、止まってんじゃねえ! 奴の胸の核が赤く光る瞬間を狙え。そこだけはギアの防護が間に合わねえ!」


 蓮の叫び。迅の『サークル・デス』が『ワット』の死角を突き、一瞬の隙が生まれた。今、私にしか見えていない赤色の線。私は、震える手で『ホワイト・アウト』を突き出した。


「お前を絶対に倒す!」


 私の白銀の牙が、ワットの胸元へと迫る。だが、敵もまた、肉を切らせて骨を断つ構えで、命を賭した大鎌を振り抜こうとしていた。


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