隣に立つ資格
火花が散り、机や椅子がガラクタのように吹き飛ぶ。
目の前で繰り広げられているのは、ゲームや映画の話じゃない。
「はぁっ! 」
鋭い呼気とともに、戦っいる親友の1人の麻奈が地を蹴った。
彼女の手にあるのは、重厚な機械仕掛けの大剣。放課後の教室にはあまりに不釣り合いなその武器が、『ギア』なのだと本能が理解した。
「透斗、右! 逃がすな!」
「分かってる!」
もう一人の戦っている親友、透斗が鋭い動きで回り込む。
その手には、青白い光を帯びた双剣。
二人とも、私の知っている「いつもの親友」じゃない。見たこともないスーツを纏い、人間離れした速度で攻撃している。
そして、二体の『ワット』を圧倒している。
(……すごい。あんなの、別の人じゃん)
二人の背中は、あまりに遠い。
戦いの中、彼らのギアから溢れるエネルギーの余波が、私の頬を冷たく叩いた。
二体の『ワット』は、二人の猛攻に次第に追い詰められていく。
勝てる。そう思った、その時だった。
「――っ、しまっ……!?」
透斗が声を上げた。
教室の端、壊れた壁の隙間から、もう一体。
音もなく現れた三体目の『ワット』が、死神のように鎌を振り上げている。
その矛先は、戦う術を持たず、ただ震えている私だった。
「渚、逃げて!!」
麻奈が叫ぶ。けれど、二人は今、目の前の敵を抑え込むので精一杯だ。
黒いスーツの怪人が、ゆっくりと間合いを詰めてくる。死の予感が、冷たい刃となって迫る。
(嫌だ。死にたくない。……置いていかれたくない!!)
強く、強く目を閉じて、届くはずのない何かを求めて手を伸ばした。
その瞬間。
『――個体識別、山上渚。適性……検出。ストロント・ギア、接続承認』
渚の近くに落ちていた機械から無機質な機械音声が響いた。
直後、その機械から、視界を焼き切るような眩い光が溢れ出す。
「な、に……これ……?」
機械の中に、実体を持たないはずの熱が収束していく。
目の前の『ワット』が、その異様な圧力に、初めてたじろいだ。
「渚の……適性値、嘘だろ……? 適性S……!?」
透斗の驚愕の声が重なる。
私の胸の奥で、小さく、けれど決して止まることのない「歯車」が、力強く回り始めた。
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