vsワット④
1、2個目はビルツ視点、3個目は渚視点です。
私の親は普通の仲睦まじい夫婦だった。
平民でいつもたくさん働いてくれて、休日は家族と過ごす普通の家庭だった。
だからこそ、兄さんのようなとてもすごい子どもが生まれて感覚が狂ったのだろう......
無論、兄さんのせいではないが......
私はさっきも言った通り普通の子どもだ。良い見本がいて多少背伸びはできるけど、普通の子どもだ。
最初にスゴすぎる子を見ていたので、そんな普通の子を甘やかすことはなく......
『お前、なんでできないんだ! 前教えたばっかりのところだろう! 』
『やっぱりカブトの方が良い子だったわ。この子なんて要らない......』
毎日このような事を言われる。でも私は諦めずに耐えた。耐えた...... 耐えた......
酷いことを言われたり、酷い仕打ちをされたりしても耐えた......
でも、人間はいつまでも耐えられるわけではない...... やっぱりその通りだったのだ。
ある日、同じようなことを親に言われた瞬間、
私の心の中の真っ黒いものが急に溢れ出す。もう私の心は黒いものに染まりきったのだ。これが何なのかははっきりとはわからないが、多分怒りだろう。
私の理性はそれを抑えることができなかった。
気づいた時には私は生身の両親にナイフを向けていた。ダメだとわかっていたがもう止めることはできなかった。
2人とも怯えた様子だった。
(フッ、あんだけ好き放題言っていても命の危険が迫ると何も言えなくなるのか......)
そんなことを考えながらも、
私はナイフを両親に向けて振り下ろす。
◇
私はナイフを振り下ろした。憎き両親に向けて。
私に好き放題言ってくれた両親に向けて。
なのに...... なのに......
人間を斬る感触とはまた別の感触を感じる。それは振り下ろしたナイフが刃物によって止められた感触だった。
私は前を見て目を見張る。
(どうして? とうしてここに? )
私のナイフを止めていたのは兄さんだった。よくわからない長いもので私のナイフを止めていた。
『なんで邪魔するんですか、兄さん! 私はもうこいつらを......』
言ったがその先の言葉が出なかった。兄さんが悲しそうな目でこっちを見ていたからだ。
何が...... 何がおかしい!
『ビルツ、ここで止まってくれないか? ここから先に進むとビルツは犯罪者になるよ......』
うるさい、うるさい、うるさい!
天才にはわからないよ! 私の、私の気持ちが!
分かってたまるか! 私のような普通の子の気持ちが!
『僕に何があったのか、教えてよ...... もちろん、無理にとは言わないから、ね? 』
優しくといかけてくれる。どうして、どうしてそんなに優しいの?そんなに優しかったら......
『断るほうがやばいじゃん......』
その後私は兄さんに何があったのか、を話した。
親にされたこと、言われたこと、などなどを。
兄さんは気づいてあげられなくてごめんね、と言っていた。兄さんは何もしてないんだから気にしなくて良いのにね。
その後私と両親は隔離されることになった。また、両親は虐待などの罪で刑務所にぶちこまれた。
私はと言うと、兄さんの職場、ワット共和国の軍部に入ることになった。
私は私を救ってくれた兄さんの役に立ちなかった......
もう少し、もう少しでいいから兄さんの役に立ちたい...... 兄さんの隣にいたい......
ずっとそう思っていた。
そう願いながらも現実は無情にもビルツの意識を沈めていった。
◇
結局私の白突撃は相手の技を止めることしか出来なかった。
もう、ほんと、どうしたら倒せるの!
と考えたその時、急にカブトが震え始める。明らかに様子がおかしい。これはアホな私でも見ればさすがにわかる。怒りだ! これはもう......
「お前ら、僕の...... 僕の弟を殺すなんて...... 許さん! 絶対に許さん! 」
次の瞬間異常な速度でカブトのエネルギーは満ちていく。これはまずい! こんな状態で攻撃されたら......
そう思わずにはいられなかった。急いでカブトから距離をとる。
でも、もう遅かった。
「『大槍撃・限界突破』!! 」
私は頑張った...... 頑張って止めようと頑張った。 でもその明らかにやばい攻撃を止められるはずもなく......
バギャン!
私のお腹の辺りをその攻撃は過ぎていった。
私の体は『リターン・ギア』の光で包まれる。
(はあ、結局また負けるのか......)
そして私は、横浜支部に強制帰還させられたのだった。




