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ストロント・ギア ―適性Sの戦痕―  作者: コロッケパン
第五章 『関東ストロント祭』編
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vsワット③

1つ目、2つ目は麻奈視点、3つ目はビルツ視点です。

 誰かがワットと戦っていたので来てみたら凛さんだった。 フー、1人目は凛さんだったか、渚、少し遅くなりそうだよ...... でも凛さん、助けられてよかった......

 私は急いでオペレーターさんに連絡する。


 『オペレーターさん、凛さんはワットと戦闘中でした。少し傷を負っています。加勢します! 』

 『はーい、よろしくね、麻奈ちゃん! 』


 元気にオペレーターさんが答えた。ていうかこの人ずっと待機してるんだよね?大変そう......


 「凛さん、大丈夫ですか? 怪我してませんか? 」


 ・・・・・


 凛さんは答えない。顔を見ると何か気に病んでいるようだ。何があったのかな? まあ多分渚関連でしょ! うん、そうに違いない!


 「透斗、私たちであいつら倒そ。凛さんを傷つけたこと、後悔させてやらないと......」

 「了解、合わせるよ」


 さすが、やって欲しいことをよくわかってる!


 そして私と透斗は地面を蹴った。




 ◇




 はっきり言ってしまうと圧倒的だった。

 名前はビルツというらしいワットは、私たちからすればそんなに強くなかった。


 そいつは荒れた息で何か言いたいのか、こちらを睨んでいる。


 「クソ、クソ! 私たちの邪魔をするなー!! 」


 そしてそいつは覚悟を決めたのか、『リターン・ギア』の回路を切る。またか、と思ってしまったのは私だけだろうか......

 しかし、効果は凄かった。 ......

 「私には向かったこと、後悔させてやる! 」


 そいつは今までとは比べ物にならないほどのスピードで動く。気がついた時にはもう私の目の前に迫っていた。


 (しまっ......)


 私は目を閉じる。しかし、いつまで経っても斬られない。そこでは透斗が私を守ってくれていた。


 「おい、麻奈! いつまで斬られるのを待ってる! さっさと倒すぞ! 」


 (そうだ! 今までの特訓の成果を出す! )


 ガァン! ギィン!


 私は透斗に剣を止められているビルツの横に素早く移動し剣を振り下ろす。


 しかし、当たり前だが止められていた。でも私たちには数の利がある!


 「さあ、これも止められるか? 『星切斬(せいせつざん)』! 」


 太陽(ほし)の力を受けた透斗の双剣、『蒼月』はビルツを切り裂こうとする。


 「クソ! 」


 しかし、ビルツは腰にさしてあったもう1本の剣を素早く抜き、透斗の剣を止めた。しかし、今にも折れそうだ。


 私は私の剣に力を入れる。エネルギーも集まらせる。そして放つ!


 「『力切斬(りきせつざん)』! 」


 2つの技がビルツを挟み込む。もはや過剰とも言える威力。これを抑えることができるほどビルツは強くなった訳ではなく。


 「ハァッ......」


 倒れ伏した。


 「うそ! もっと必要だと思ったのに......」

 「麻奈、流石にやりすぎだ...... 見てわからなかったか? こいつ、そんなに強くないぞ......」

 「ていつか、殺しちゃった...... 殺しちゃった......」


 私は殺さないと決めてたのに......


 「そんなの別にいいから早く渚の方に行くぞ」


 次の瞬間また透斗は私を担ぐ。ちょっとさ、凛さんの前でこんなことするのやめてくれない? 凛さんはこの世のものではないものを見るような目してるんだけど......


 しかし、声に出してないので届くはずもなく、


 「如月先輩、早く支部に戻っていてください。みんな心配してます。俺たちは渚を助けてから行くので」


 (恥ずかしい...... 恥ずかしい...... 恥ずかしい......)


 すると、いきなり透斗は加速した。ものすごいスピードだ。 加速するときは言ってね......

 心臓もたない......





 ◇





 『兄さん! 兄さん! 兄さん!』


 いくら呼んでもどんどん遠ざかっていく。いつもそばに居て見守ってくれていた、いつも一緒にどんなことも乗り越えられた、いつも難しいことも一緒に考えた兄が遠くに行く。

 (兄さん! )


 私は出来損ないだった。でも、兄であるカブトは天才だった。私とは天と地程の差があるほどの天才だった。

 ひとりですごい機能のギアを開発したり、槍というあまり使い手のいない武器で日本監視局の局長という地位に上り詰めたりと本当にすごい。


 局長というのはその地への対応のトップのようなものだ。

 つまりワット共和国から見れば、言ってしまえば日本対応のトップなのだ。

 また局というのは局員という局のメンバーの一員になることもとても難しい。


 私が日本監視局に来れたのは兄さんが局長権限で私を局員にしてくれたからだ。ほんと、兄さんには感謝しきれない。

 だから私は兄さんの役に立ち、そしてさらに兄さんが出世できるように支えるつもりだった。


 なのに...... なのに......


 私はやっぱり出来損ないだったみたいだ......


 私がどうして兄さんにこんなに心酔しているか。

それはさらに過去のことが原因だ。

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