番外編その2:防御結界はキスの邪魔を防げない
前回の続きです。
アイラはね……初心なんでね……かわいいね……
前回のことが頭から離れないようです。
さて、そんな時に2人きりになってしまったアイラは……?
カリカリカリ
生徒会室にペンを走らせる音だけが聞こえる。
________すっっっっごく気まずい。
今日に限って生徒会室にいるのはリサと私だけ。
先日あんなことがあった後に2人きりになるのは非常に気まずい。
「会長、手が止まってますよ、書類は溜まってるんですから手を止めないでください」
「へ!?あ、うん………」
ペンを取り、書類仕事の続きをする。
いやなんでリサはこんな平然と仕事してるの!?
こちらからこの前のことを言い出すのは流石に恥ずかしいし……と思った矢先だった。
「……あ、これ……」
「ああ、先日の文芸部の処分書ですね、流石に彼らも反省したようですよ」
いやだからなんでそんな平然としてるの!?
「リサ、この本のことだけど……」
「どうかしました?」
う、うう……恥ずかしい、なんで私だけ恥ずかしくなってるんだろう。
おずおずと私は聞く。
「……リサはさ、冗談とか言わないタイプだもんね」
「ええ、そうですが」
「じゃ、じゃあ!!」
机をバンと叩き立ち上がる。
「あ……あの時私の手の甲にキスしたのも……」
「ええ、本気ですよ?」
サラッと言いやがる。こっちの気も知らずに……!!
「というか……アイラ自らその話題を出してくるんですね?」
「え?」
「私はてっきりスルーされたと思ってましたよ」
はぁ!?
「あ、あんなの忘れられるわけないじゃん!」
そう言うとリサはクスクスと笑う。
「ふふ……首席会長が実はこんな初心なんて生徒に知られたら大変ですね?」
「ちょ、リサ……」
「なんて、意地悪はここまでにして、仕事に集中してください?」
「……うん」
って集中できるかーい!!
リサはいつも通りに書類仕事をこなしてる。
書類仕事なんて集中できない!と肘をついてぼーっとしようとしたが、リサの顔が視界にちらつく。
メガネの奥の凛として切長の瞳。整った顔立ち。頬にかかるアイスブルーの丁寧に切り揃えられたボブ。
こうやって見ると……リサって美人の部類に入るんだよなぁ……
「……会長、会長?」
「へ?」
呼びかけられてることに気づかなかった。そんなに見入ってたのか私。
「……そんなに熱い視線で見られると……流石に私も照れてしまうのですが」
は、はぁ!?そ、そんなつもり全然なかったんだけど!?
「はぁ、今日はこれでは仕事になりませんね、急ぎの仕事もないですし、帰りましょうか」
「待って!」
なにも考えず私はリサのことを呼び止めてしまった。
「……?何かありました?」
ツカツカとリサに歩み寄る私。
「この前のこと、なかったなんて言わせないから」
多分私の顔は熟したりんごみたいに真っ赤だと思う。
でもここで逃げたら……なんか負けな気がして。
それを聞いたリサはまたクスクスと笑う。
「忘れられないんですか?あの日のこと」
「……忘れられるわけないじゃん」
「首席生徒会長の裏の顔がこんなだなんて知ってるの、私くらいですよね」
「そ、そうだよ……リサだけだよ」
それを聞いたリサは嬉しそうに笑う。
「光栄ですね、それは。ところで……」
リサがスッと私との距離を詰め、耳打ちする。
「アイラから来てくれたってことは、この前の続きがしたいのですか?」
「なっ…!?」
なんでそうなる!?と思いながらもリサは既に私の手をそっと握っている。
「タクトほどではありませんが、この生徒会室に私個人の防御結界を張りました。もう生徒会メンバーは入ってこれませんよ?」
リサの視線が熱い。いつもはあんなに冷ややかなのに……
「……本気?」
「ええ」
「……優しくしてよね」
「もちろん」
リサが私の手の指に自らの指を絡めてくる。
「アイラの手、あんなすごい魔法を出せるのに、柔らかくて……でも細長くて、綺麗ですね」
「や、やめて……」
私は顔を真っ赤にしてさらに顔をリサから背ける。
リサはふふっと笑いながら「やめないですよ?」と言う。
「アイラ、こっち見てください?」
「み、見れない……」
「それなら無理にでも向かせるだけですが……」
「み、見る!見るって!」
顔を向けると至近距離に、さっきまで遠目で見ていた綺麗なリサの顔が視界いっぱいに映る。
「ふふっ、アイラの琥珀色の瞳、本当に綺麗ですね。魔力が通った時の瞳も好きですが、普段の瞳も好きですよ」
「リサ……そんなに見ないで……」
「ダメですよ、目を逸らしちゃ」
お願いだから逸らさせてくれ……
そんな私を弄ぶかのように、リサは私の顔の輪郭に触れる。
「ひゃっ!」
「そんなに驚かないでください、普段もっと恐ろしいものと対峙してるでしょうに」
それとこれとは話が別だ。
リサは指先で私の頬をなぞり、唇に触れるか触れないかの距離で聞く。
「……もう我慢できません、いいですか?」
「いいですかって……まさか……」
私は覚悟を決めて目をぎゅっと瞑る。
それを見たリサは思わず吹き出してしまった。
「っはは……!そんなに緊張しないでください、……え、待ってください、もしかしてアイラ……」
「は、はははははは初めてだけど何か文句ある!?」
「文句なんてありませんよ、むしろ……初めてを頂くなんて光栄です。さぁ、力、抜いてください?」
目を瞑っててもわかる、リサの気配が本当にすぐそこにある。
リサの唇が触れるか触れないかの距離まで来て_______
「ちわ〜っす、忘れ物忘れ物〜ってわぁああああああ!?」
セナが呑気な声をあげて入ってきた。
すかさず距離をとるリサ、私の心臓は飛び上がりそうなほどにバクバク言っている。
「どうしましたかセナ、もういい時間ですよ」
「へ?いやだから忘れ物って……と言うか今会長たち……!!」
「あなたは今なにも見てません、いいですね?」
そう、セナは一応魔法使いで、魔力耐性があるから記憶処理が効かないのだ。
リサの威圧感に負けたのか、セナは忘れ物を取って一目散に去っていく。
「はぁ……迂闊でしたね、セナの魔力耐性のことをすっかり忘れていました。あの子、私程度の結界では通り抜けてしまうのですね……」
私の心臓はまだバクバク言ってる。
「邪魔が入ってしまいましたし、今日はここまでにしましょうか、今度はセナも入れないよう魔法使い専用の結界を組んでおきましょう……」
「続きはまた今度、ですね?」
とんでもないお預けを食らったまま、私たちは帰宅するのであった……
多分リサも油断してたんだろうな〜と思いながら書いてました。
セナは来ねえだろうと(見下してない?)(そんなことはない)
大変なお預けを食らってしまったアイラ、ここから先はR-15以上になるのが確定なので別シリーズで続けたいと思います。
一旦本編に戻りましょうか……(現実逃避終了)




