↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
21/23

第十八話 悪役令嬢、戦う

すみません。下書きしたまま投稿してなかったので、話が飛んでいたことに全く気づいてませんでした。

『悪役令嬢の私が聖女に好かれてどうする!?』


第十八話 悪役令嬢、戦う


「――誰かいるな」


 フードの男の一人が、物陰に潜む二人の気配に気づいた。


(見つかった……!)


「セレスティア、私の後ろに」


 リリアーナは、セレスティアを庇うように前へ出た。


「ほう。学生か。しかも――」


 フードの奥から覗く目が、細められる。


「聖女候補と、その連れか。都合がいい」


「あなたたち、黎明教団ね」


「よく知っているじゃないか」


 男は、愉快そうに笑った。


「ならば話が早い。大人しく、その聖女を渡してもらおうか」


「――お断りよ」


 リリアーナは、魔力を練り上げながら、静かに、しかしはっきりと告げた。


「彼女には、指一本触れさせない」


「悪役令嬢とやらが、随分と勇ましいことだな」


「悪役令嬢だからこそよ。悪意には、悪意で応えるものでしょう」


   *   *   *


 戦闘は、一瞬で始まった。


「くっ……!」


 複数の敵の連携攻撃に、リリアーナは防御魔法を張りながら後退する。


「リリアーナ様、私も戦います!」


「駄目よ! あなたは、下がっていて!」


「でも――」


「あなたが狙われているのよ! これ以上、危険に晒すわけにはいかないわ!」


 リリアーナは叫びながら、反撃の魔法を放った。狭い地下空間での戦闘は、相手の数の利が生きやすく、次第に劣勢に追い込まれていく。


(まずいわね……このままだと)


「往生際が悪いな、令嬢」


 男の一人が、リリアーナに向けて強力な拘束魔法を放った。


「リリアーナ様!」


 咄嗟に割って入ろうとしたセレスティアを、リリアーナは強く突き飛ばした。


「馬鹿……! 下がっていろって、言ったでしょう……!」


 拘束魔法をまともに受け、リリアーナはその場に片膝をついた。


「リリアーナ様……!」


 セレスティアの声が、悲痛に響いた。


   *   *   *


「聖女よ、大人しく従うなら、その令嬢の命は助けてやろう」


 男が、セレスティアに向けて手を伸ばす。


(このまま、渡すわけには……!)


 セレスティアは、震える手を握りしめた。


(怖い。……でも)


 脳裏に、これまでのリリアーナとの日々が過った。花壇の一件、薬草茶、舞踏会、認定式、魔法大会、聖夜祭、生徒会――そのどれもが、素直になれないながらも、いつも自分を守り、支えてくれた記憶だった。


(リリアーナ様が、私のために、こんなに傷ついてまで守ろうとしてくれているのに……)


(私も、負けていられない)


「――やめてください」


 セレスティアの声が、静かに、しかし強く響いた。


「あなたたちの目的が何であれ、リリアーナ様を傷つけることは、絶対に許しません」


 その瞬間、セレスティアの体から、淡い光が溢れ出した。


「これは……!」


 男たちが、驚愕の表情を浮かべる。


「聖女の力が、覚醒しかけている……!」


「まさか、この段階で……!」


 光は、拘束魔法に囚われていたリリアーナを包み込み、その拘束を静かに解いていった。


「リリアーナ様、大丈夫ですか!」


「……ええ。ありがとう」


 立ち上がったリリアーナは、驚いた表情でセレスティアを見つめた。


(今の光……あの子の力が、目覚めかけている?)


   *   *   *


「これ以上は、面倒だ。一旦、引くぞ」


 男たちの一人が、苦々しげに告げた。


「聖女の覚醒の兆候、上への報告が必要だ」


「くっ……逃すか!」


 リリアーナが追撃しようとした瞬間、男たちの姿は闇に溶けるようにして消え去った。


「……逃げられたわね」


「リリアーナ様、お怪我は」


「平気よ。それより、あなたのほうが」


 リリアーナは、セレスティアの顔を覗き込んだ。


「今の力、初めて見たわ。大丈夫?」


「はい……なんだか、少し不思議な感覚でしたけど、体は平気です」


「そう。……ありがとう、助けてくれて」


「いいえ」


 セレスティアは、首を振った。


「リリアーナ様が、私を守ろうとしてくれたから、私も頑張れたんです」


「な……」


 リリアーナは、思わず目を逸らした。


(この子に守られるなんて……悪役令嬢としては、情けない話だけれど)


(でも、悪い気分じゃないわ)


   *   *   *


 しばらくして、教官と生徒たちが二人を発見し、無事に合流を果たした。


「良かった……! 二人とも、無事だったのね!」


「先生、実は――」


 リリアーナは、黎明教団との遭遇について詳細を報告した。


「黎明教団……王家にも報告しなければ」


「はい。よろしくお願いします」


 その夜、遺跡の外に設営された野営地で、リリアーナとセレスティアは、並んで焚き火を見つめていた。


「今日は、本当に怖かったです」


「そうね」


「でも」


 セレスティアは、リリアーナの肩に、そっと頭を預けた。


「リリアーナ様が一緒にいてくれたから、最後まで頑張れました」


「な、な……!」


 突然の密着に、リリアーナは硬直した。


「い、いきなり、何を……!」


「疲れたので、少しだけ」


「べ、別に、いいけど……」


 焚き火の温かな光に照らされながら、リリアーナはそっと肩の力を抜いた。


(この子の力が、目覚めかけている……ということは、黎明教団の狙いも、いよいよ本格化するかもしれない)


(でも、今この瞬間だけは、少しだけ、何も考えずにいたい)


 夜空には、静かに星が瞬いていた。


<続きます>


次回予告:遺跡実習から帰還した学園に、王家からの正式な使者が訪れる。聖女の覚醒と黎明教団の存在が、いよいよ表沙汰になろうとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。