自己紹介中の人の脳内
この教室内にいる30人程度の視線を浴びて分かった。
これは、無理…………
じゃねぇわ
なんか、流れでいけそう!
押し切れ、俺!負けるな、俺!
『どうも、摩恵原啓一です。某ひぐらし系ホラーゲームの主人公と同じ名前です。』
……これは、だめだ。最初からネタに走ったらだめだ。どうもも、なんか違う!
しかし、名前だけというのも……。
そうだ!漢字!珍しいから漢字を説明する!
「はじめまして。摩恵原啓一です。漢字、ちょっと難しいんですけど、多摩市の摩に恵む、そして原っぱで摩恵原、啓一は拝啓、少年への啓に数字の一です。」
よし、キャッチは完璧だ!
ここから第二ラウンド、まず、名前と違って何を語るか、が重要な選択になる…!
ここで大事なのは、どれほど皆が真剣に聞いているからだ…!
聞き手のニーズに応える……!
例えば、ネタを出すのを待っているかもしれない。
例えば、真面目な奴が欲しいかもしれない。
例えば、興味がないかもしれない。
そして、次に自分がどんなキャラで行くか……
例えば、能天気
例えば、真面目
例えば、オタク
その全てがここで決まる。
「何を」出すのか……?
一瞬だけ、バレないように教室を見渡す。
…
……
………、
うん。
分からん。
当たり前だったわ!俺、そんな人の思考読む能力無いわ!
空気も思考も読めなかったわ!!
いや、落ち着けおれ。
ステイ・クール……
①『趣味は、ボカロを聞くことです』
悪くない。しかし、皆がボカロが何か知らないならキャラがオタクよりになるかもしれない。
②『好きな食べ物はうどんです。』
無難だ。だが、無難すぎる。
③『前の学校の部活動は、剣道部でした。』
選択肢として一番いいかもしれない。だが、大きな欠点がある。そう、大きな穴が……。
………この世界の俺、剣道やってない!
いや……①でいく……
「趣味は、ボカロを聞くことです。あと、カラオケにもよくいきます。」
そう、追加で「カラオケによく行く」と入れると、ボカロを聞くだけでは無く、音楽が好きっていうイメージも付く!!!
なんて、天才なんだ、俺………
この間の思考時間、僅か0.2秒
ガタッ!!
…ん?
「マジ!?ボカロ好きなの!?」
なんか、すっげぇイケメンな男の人が立ち上がって詰め寄ってきた………。




