テニス部部長
今俺がいる場所は食堂。4人がけのテーブルだ。
さっき俺を殴ったテニス部部長が俺の対面に座っている。そして、隣には、瑠磨。
んで、斜め前には何故かいる佻九。
俺を殴ったやつオールスターがいる。
この面子で何をしているのか、と言うと、まぁ、うん。なんだろう…?
何してんだ…?
かれこれ15分程みんな黙って座ってる。
一応、時系列の説明をしておこう。
①ショタ部長による圧倒的なファミパン
↓
②俺、保健室に2度目の来訪
↓
③ガーゼを貼ってもらった後、付き添いの瑠磨に誘拐され、食堂へ
↓
④なんか向かった席にテニス部部長様と佻九そ野郎がいた。
で、みんな黙ってるわけだ。
いや、瑠磨。お前は何をしている。
お前が呼んだんだからお前から話せよ!!
「……そうだな、僕から話そう。」
…うぉ、相変わらずの察しの良さ。
「その、部長。この人、転入生だから部長のコンプレックスを知らなかったんだ…」
「…」
ショタ部長が話しかけられたが、俯いて黙っている。
「……」
そして、瑠磨も黙り始めた。
なんだよ、この空気…!!
次は俺か?
俺が何かかますのか??
俺が??
いや、いけるさ俺。
話題を変えるのさ。この重苦しい雰囲気から!
……脳内だからって調子こいてごめんなさい。
いや、とにかく適当な話題を…
「正直、flowerってオワコンだよな。なんでアレが人気なのか分かんねぇんだけど。」
「は???」
この、殺気……!!
俺が突然かましたから、テニス部部長からこんな……
いや、テニス部部長、ちょっと引いてる…!?
その視線の先は……瑠磨!!
あ、やべ
「分かってないね。啓一くん。flowerのアイデンティティは何と言ってもあの中性的な声だろう。そして、それにしかマッチしない曲はある。当然、声質上合わない曲は存在する。例えば、youtubeでみた流星Pのmagnetのflower版。アレは違和感しかなかった。だけども、flowerなくして成り立たない曲などいくらでもある。例えば、シャルル。いや、バルーンの曲はすべてflowerの声を前提にして成り立たせているわけだ。他にも、ロウワー、グッバイ宣言。圧倒的な人気を誇るこのようなボカロがflowerに多いのはその声に魅了された者が多いからに他ならない。いや、分かる。確かに初音ミクの方が当然再生回数が多いのは認めよう。だが、それは圧倒的な母数の上に成り立つものだ。初音ミクの曲が一体何曲あると思ってる?その中で初音ミクで有名な曲は何曲だ?いいか、母数が違うんだ。例え啓一くんがflowerを嫌いだったとしても、flowerが人気なのは変わりない。オワコンなわけがないだろう。flowerは神だ!だが!最近のボカロ界は酷い!新曲のランキングとかを見ても、初音ミクと重音テトしかいないじゃないか!いや、初音ミクは分かる…。が!重音テトが流行ったのは最近じゃないか!その流行に乗って重音テトにするのは断じて、許せない!大方、これも全部メズマライザーのせいだろう!いや、その前のオーバーライドも…」
「オーケー、ステイ、ね」
ヒートアップしてきたところで佻九が止めてくれた。
ありがたい。
でも、睨むのはやめてくれ。
悪かったって。地雷踏んだのはごめんって。
「その、悪かった。」
…!ついに、テニス部部長がしゃべり始めたぞ!
「殴ったのは悪かった。最近、大会でも負けが込んでてイライラしていたんだ。上級生として……上級生として!!下級生を殴るなんて、論外だ。本当に、申し訳ない。」
「あ、いや、先輩、別に気にしてないです…。ほら、俺の隣にいるやつと斜め前にいるやつは転入二日目で殴ってきたし…。特に、斜め前は2回……」
「ん?そ、そうか…。」
軽く引いた目で2人をテニス部部長様は見る。
「その、俺について話そう。というのも、俺は元々いわゆる性的マイノリティ。体と心の性別が一致していなくて悩んでたんだ…。でも、ある日突然体が変わった。俺は、自分が『普通』になったと思ったんだ…。もっとも、体と心の性別が同じなのは今となってはマイノリティだが。だが、許せなかったんだ…。
俺の見た目が、異常に女らしいことに!!ふざけるな、神!クソ神め!!絞め殺してやる出てこい〇すぞ神!」
発狂し始めた……これはひどい……。
「テニス部、入部したいです……。」
「!!??本当か、入ってくれるのか!そうか、じゃあ入部届を明日渡そう明日時間作ってくれるね話し合おう、君もテニスライフだ!男らしく!」
うぉ、機嫌とる為にいったら、想像以上に効果あったな…




