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権限転生  作者: 純銀
元・奴隷エルゼベッタ
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エルゼと魔法少女たちと私

この異世界での職業《クラス》としては魔法使いとは言うけれど、魔法使いという種族がいるわけではなくて、大抵は生身の人間種族だ。

よく聞くのは、生まれつき一部の子が魔法スキルを持っていたり、師匠の下で修行したり、ある年齢の儀式で授与されたりすることが多いように聞く。でもその文字をよく見てみて欲しい。


[ 『魔』法使い ]……なのよね。


異世界には、聖なる力の真法《まほう》と、世界の歪みの魔法《まほう》がある。


一方の魔法少女5人組というと、誰かが「闇落ち」をする場合が多い。そこに気が付くと話が整理しやすくなる。

この異世界には光と闇がある。人間が何かの闇に触れる事は多い。その時にもし魔の力と交わることがあると、その人は何か闇の力を授かることになる。あの5人組のナントカちゃんや、あの5人組のナニナニちゃんのような、闇落ちをして戻ってこれた経験の持ち主である事を、この異世界では魔法使いであることが意味している。


フィオルネは、ローブを脱ぐと髪色や制服がピンク系の女子だ。

ある家に亡くなった娘の代用品として優しく迎えられた。笑顔を作り、言いつけを守り、嫌なことも我慢していた。だけどある時から、それは本当の愛情ではないと思うようになってしまう。

「本当に好きになってもらう力が欲しい。」

その強い思いは、自分を手放そうとする養家の人々全員に向けられた。そうすると彼女はまるで愛されるようになったけれど、それが本物の愛情なのかが分からなくなって家を飛び出した。


セランツァは、ローブを脱ぐと髪色や制服が青色系の女子だ。

地方の魔法使いの家で託児所のように育てられた。勉強もできて将来は弟子になれるのかと思われていたけれど、魔物による災害が発生した時、その子供たちは利用される事が役目だった。

「これは犠牲なのか、被害を最小限にする役目なのか。」

勉強したはずの心は、自分の役目によって救われなかった人々を忘れられなくなる。そして自分自身の感情まで封じてしまう。魔法とは何なのかが分からなくなって家を飛び出した。


オルディセーヌは、ローブを脱ぐと髪色や制服が緑色系の女子だ。

大嫌いだったはずの父親の病気を前に、心を病んでいく母親は何か魔力を頼ろうとしていた。そんな事をしなくていいと思う気持ちが、母親との行き違いをも生んでしまう。父親を救うだけでいいなら。

「そこに書かれたその力を私が使うよ。」

父親はまるで元気になり、母親の笑顔も戻った。だけど病気そのものを治したわけではなく、以前の父親ではなかった。自分のしたことは何だったのかが分からなくなって家を飛び出した。


ファルネデは、ローブを脱ぐと髪色や制服が水色系の女子だ。

商家に仕える行商奉公人の下に生まれ、各地を転々としていた。いつも土地馴染みがなく、義務教育がある世界ではないので、友達ができてもすぐ別れてばかりだ。そして謎の文書に触れる。

「距離を縮められる幻影と転移の力。」

空の獣と地の獣の命を代償にするその術は、透視と転移ではなく、その場から逃避するための先を決める魔法だった。その力によって自分の居場所とは何なのかが分からなくなって家を飛び出した。


クラマールは、ローブを脱ぐと髪色や制服が黄色系の女子だ。

農村集落で平凡な生活だったその子は普段からお祈りは叶うと信じていた。そこにある時、集落に魔物が襲撃をしてきた。村人が逃げ怖れる中で、その子は目の前の魔物にお祈りをする。

「どうかこの村の人たちを襲わないでください。」

家畜小屋だけを踏み潰したその魔物は、都のほうに進んでいった。救われた村人からは「魔物にお祈りをした子供」として忌み嫌われ、自分の祈りとは何なのかが分からなくなって家を飛び出した。


私たちの魔法少女5人は、そういった感じでみんな「闇落ち」がきっかけで魔法使いとなって現在に至る、らしい。自慢話風にお喋りしてる合間に混ざる身の上話だから、全部を信じるかどうかはまだ疑問。

でもこれだけは分かる。

「あなたたちは元々、みんな良い子だったんだね。」

「元々って何だてめ。」「こんな連中と一緒くたに。」「何もやらねーからな。」「テント裏に来るか?」「いんだよあたしらは。」


「なあミレフィア、……その。」

「うん?」

「今日はあの御方《おかた》を連れてきてないんだな。」

「エルゼの事~? 今頃はおうちでお昼寝してるよ。」

「あ~そっか、いや何でもないんだけどな。」

「ああ、あの御方がそうしているなら安心だわ。」

「このティーカップなかなかオシャレじゃね?」

そうして私たちはテント裏でしかめっ面で、薬草系でも神聖系でもない、何か動物系と発酵系の禍々しい坩堝の汁の、味見会をしている。

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