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権限転生  作者: 純銀
元・奴隷エルゼベッタ
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33/39

エルゼとみんなと私

この宿屋の3階部屋は1人用としてはやや広い。2人でちょうどいいけど3人でもなんとか。

でもその人数感覚は、それぞれお互いに知人らしい距離感があればの話。

今この部屋の住人は5人。

私ミレフィア、ルネアン、ベアトリーチェ、リェリュス、エルゼ、以上5人の女子だ。(義務教育はない世界だけど)3人が中学生くらいで1人が小学生くらいだとすると、最後の1人は年長さん。


私はともかく……女子中学生相当の2人も、女子小学生相当の1人もとても可愛い、でも「こうすればもっと可愛いのに」という課題や難題が付随する宿命だわよね。

それが年長さんとなれば、無条件に可愛い。

何をしてても可愛い。

喜怒哀楽それぞれにお相手してるだけでこちらが幸せになれる。


たとえこの子の口からしょっちゅう、

「われのきげんがよいことををありがたくおもうがよいにんげんどもかつてのおおくのくにのようにあれはてずにいられることを。」

みたいに言い出すことが時々あっても、みんなも私も

「かっこいいわエルゼちゃん。」

「長いお喋りがお上手~。」

「難しくて素敵ね。」

とただ盛り上がる。そこは良いと思うんだけど。

ちょっとだけお着換えの時に目立つのは、全身に淡い紋様のような痣《あざ》があるの。

こんなに可愛いんだもの。もしこの痣がなければ、良いご家庭に養女として引き取られていたんだろうな。


普通の人間の子だと私も信じている。

ルネアンの野生の嗅覚を以ってしても人間の子でしかないし、

ベアトリーチェの神判力を以ってしても人間の子でしかないし、

リェリュスの年齢的な近さを以ってしても、人間の子でしかない。

それは、彼女たちは色々な能力がどれだけあっても、誰かの管理情報を感知することはできないからだ。


ステータス情報は誰と誰でも見せ合う事ができる。

薬指を立てて、宙に横長の長方形を描くと出現するパネル状表示が個人個人のステータス・ホログラム。半透明だけど裏側から見ると裏側の模様が半透明に見えるだけだから、情報は表側を見せ合うし、見せたくなければ表側を見せないようにもできる。あ、今気が付いたけど覗き見防止調整バーが新機能で追加されてるのね。

これが慣れてしまうと普通に便利で、つまり紛失しない身分証明書だ。

どこのギルドに行っても誰もが自分を証明できる。自己紹介をして気が合えばお互いの名刺代わりになる。名前の変更を行政に届け出申請すればちゃんと変更される。体力や精神力(真法や魔法)や得意スキルや特記事項を表示する切り替えもできるので、冒険者パーティーでは作戦の打ち合わせにも重宝するわけ。


もう一度言うと、この世界のみんなが自分で持っている表示パネルが、ステータス・ホログラム。

その一方で、みんなの知らない管理情報を表示できるステータス・マネージャ・ホログラムという小型の表示パネルもある。略して「ス・マ・ホ」。

私は転生時に女神さまとの間でトラブルがあったため、アフターケアの直通連絡用にスマホを持っている。

両手の人差し指と親指を直角にして、[  ]の形にする。すると私の指の形の間の空中にスマホが出現する。

これを掴んで頬に寄せると、女神さまに連絡ができる。

このスマホは本来そういう携帯電話機なんだけど、女神さまたち側の小型版のステイタス・ホログラムでもあるため、管理者権限の視点で個人個人の情報を閲覧できる。


エルゼは誰の目にも可愛い普通の年長さんでしかない。でも、そのステータス・ホログラムには軽い異変があった。

情報の数値項目の幾つかがノイズ表示されているんだ。

「この子くらいの成長期には大きく変わっていく影響で、そういうノイズになるのよ。」

「あの奴隷商人のせいで、最初だいぶ痩せちゃってたのがきっと悪いんだにゃ。」

「エルゼちゃんって育ち盛りだね~。」

「ふむ。」

みんなは誰も疑問に思わない。

私は仲間の管理情報を覗き見することは基本しない。でもノイズが気になって仕方がなくて、ここだけは保護責任者気分で、エルゼのステータス・ホログラムに私のスマホの画面をこっそり触れさせて紐付けする。

やっぱり、魔力値が大変な数値を示している。

名前も間違いではなく、「エルゼベッタ」ではない名前がそこにある。この子の本名は「アゼルフィーネ・デュジエルンギ」と。


あ、そういえば別件で。このスマホが壊れましたって女神さまに連絡した時に、

「私はカスタマーサポートじゃないよ。」

って手短かに切られたんだった。私、再問合せしてなかったな。

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