↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
権限転生  作者: 純銀
エルフ少女リェリュス・ルクシェリ
PR
31/39

リェリュスと恋ドラ前編と私

薬師ギルドの番頭ルモルタさんは2つ驚いた。

1つめは、採取した薬草の質と量。なにしろプロフェッショナル7人掛かりの成果だけど、人間ではこうはいかないらしい。

2つめは、成人エルフ女性を私から紹介された事。内勤で調合してくれる人を探していたのだという。

「採取もしたいけど……みんなのお仕事だものね。でも私も時々ご一緒したいな。」

テミオルネは私に疲れて負ぶわれているリェリュスの、首元を撫でている。

「それに、お連れの男性の方にも、エルフらしいお仕事がありますよ?」

「ありがとう。僕はこの弓で、冒険者たちの力になりたいと思っているので大丈夫です。」

そうしていると、職員さんから呼ばれたここのご主人トイポスさん、つまりギルド長が現れて、同じく2つ驚いた。


ギルドやらのご主人ともなると伝手はあるもので、テミオルネさんにはさっそく(彼氏込みで)住み込み出来るお部屋も用意できた。シェンディルさんも城下町を調べながらお好きな宿屋を探したり、落ち着いてから冒険者ギルドに関わっていけるだろう。

ついでに言うと、3つ目の驚きは私のほうだった。番頭ルモルタさんが思っていたよりずっと多かった上に品質が良い。という事で、通常品相場の倍、討伐クエスト並みの買取をしてもらえた。

もちろんあの大勢20人が宿屋暮らしをしたらすぐ無くなっちゃうし、資金積み立てにも回したほうが良い。だけど、今のお風呂用テントにサウナテントの増設くらいはしてあげたくなっちゃう。


そんな感じで私たちのサブパーティーにも時々のクエストを配分しつつ、勇者ダルクルトと私が率いるメインパーティーは冒険者ギルドでいつものように討伐依頼を物色する日々。リェリュスにはやっぱりエルゼとお留守番でいてもらっているので、今日はダルクルト、ルネアン、ベアトリーチェ、そして私の4人連れで来ている。

「私たちって、ルネアンが素でEランク、ベアトリーチェがBランクだけど国際規約でEランク。私とダルクルトはFランクだけど召喚者特約で実質Eランク。なので年末審議会まではEランクパーティーなのが辛いわよね。来年は何ランクになる実力なんだろう。」

「Dランクに昇格できれば十分かにゃ。」

「妾《わらわ》も表立って聖女のお務めをしてませんので、Dランクに上げて頂けるくらいかと。」

「Dだな。」

このパーティーが何だか居心地いいのは、こういう共感力かもしれない。全員がまあ未成年というのもあるけど。


「……男性エルフだ。」

「逞しいにゃぁ。それでいて線が細くてうっとりするにゃ。」

「妾《わらわ》たちとはちょっと縁が遠いお方です。」

3人が私の背後方向に気を取られて、急にぽかーんとし始めた。えっ誰だろう?

と思って振りむくと、1人でテーブルに腰掛けるエルフ男性がいた。な~んだ。

「こんにちは、シェンディルさん。冒険者ギルドにいらしてるんですね。お仲間はできましたか?」

「やあミレフィア。うん、あれからCランクパーティーを2つ掛け持ちしているし、3つ目のBランクからも声が掛かってるんだ。」

「わあ。エルフ特例試験で実質Cランクに。ははは……。」

私と歓談するシェンディルさんの背中越しには、私のパーティーの3人が目を丸くして私を羨ましがってる。


「テミオルネさんとは毎日どんなふうに、城下町の生活を過ごしてらっしゃいますか?」

「ああ、僕と彼女はね。この城下町で暮らして考え方が変わったんだよ。婚約の話はお互い忘れよう、ってなった。」

「そうなんですか。……えっ。あの……。」

どうしてですか? なんて私は聞けなかった。


「みんなごめん、薬師ギルドのほうに急用ができちゃった。討伐相手はみんなで決めちゃってて。」

「え~、どうしたのですミレフィア。あのエルフさんを紹介してよぉ。」

「急だな。」

「この3人で話がまとまるんかにゃ?」


冒険者ギルドを飛び出してから、ルネアンの言葉は確かに気になった。

「(剣を振るだけの勇者、野生感覚の獣人、真法《まほう》が超強力な聖女さま、……あの3人でどんな依頼選びをするんだろう?)」

でもまあそのために魔物にもランクがあるわけなので何とかなるでしょう。

私は薬師ギルドに脚が急いだ。


「いらっしゃい。おやエルフさんたちの……ミレフィアさんですな。」

「こんにちは、あの、テミオルネさんとお話がしたくて。」

「いますよ。薬蔵かな、薬房かな。あなたならお好きに出入りして構いませんよ、どうぞ。」

「えへへ、おじゃまします。テミオルネさ~ん?」

彼女さんは、薬蔵のほうで壁にある薬棚から幾つかのお薬を出し入れしていた。


「うん、私はここでの仕事が楽しいし。シェンディルは近くに宿屋を借りて冒険者仲間ができているんだって。」

「2人ともいいじゃないですか。でも、それでシェンディルさんのほうが……?」

「私たちね、2人で話し合って、一つになる事をもうやめる事にしたの。」

そんな。

人間社会に染まっちゃったんですか? いや人間もできれば生涯1人との恋愛でありたいところだけど。なかなかそうもいかないとは聞く。

でもそんな人間の恋愛と違って、エルフ種族は一生に1人とだけの恋愛なんだよ。そして永遠なんだよね。

私はそんなお2人にすごく憧れちゃうんだ。


私は居ても立ってもいられなくなり、ギルドから出る。

そして両手の人差し指と親指を[  ]の形にして出現したスマホで、女神さまを呼び出した。ステータス・マネージャ・ホログラムの略。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。