リェリュスと薬師ギルドと私
「ミレフィアちゃん、私もギルドに行きたい。」
え~、リェリュスを連れてはいけないよ。こわい冒険者が沢山いるよ?
「だっていつかは私も魔物を狩るんだもの。行きたい。」
だめだめ、誰かが狩ってきた魔物が、交換所で生き返って暴れちゃってるかもよ?
「行きたい行きたい、ギルドに行きた~い>△<」
そんなふうに駄々をこねるお顔すらも可愛かったので、私はいつもとは違うギルドにリェリュスを連れてきている。
「ミレフィアちゃん? ここって、薬師ギルド……。」
異世界のギルドと言えば冒険者ギルドだし、冒険者たちもそこで薬草採取クエストを引き受けたり、ポーション類を売買したりするわよね。
でもまあ言ってしまえば冒険者向けの日雇い労働組合センターにそういう売店もあるという扱いなわけで、薬品というものは普通の薬局・薬店でも扱っている。
薬師ギルドというのは、薬草や漢方薬の原料の売買や調合、そして卸しや販売をするお薬の専門店だ。乾燥薬草の香りが漂っていて、棚には瓶や束がぎっしり並んでいる。
私たちも優秀な治癒真法使いがいるとは言え、別行動に場合に備えて最低限の薬品類は欠かせない。その補充のお買い物にリェリュスを連れてきました。
お薬には色々な種類があるけど、けっこう興味を引いたようでリェリュスは目を輝かせていた。
「森がなつかしい……ちょっと調合が違うかな。」
そんな薬師ギルドにも、小さめな依頼掲示板はある。
「お客様、お連れの子はエルフですよね……。お仕事をお願いできないでしょうか? そう、その依頼票です。」
[ 薬草採取依頼。 ※エルフの薬草知識が必須。大人数歓迎。 」
城下町の外れ、市壁の内側には公用地の草地広場が何か所かある。
そんな1拠点に、私のパーティーの勇者さんと顔見知りの国王から口頭でゆるく認可をされて、テントで合同訓練生活をする若い女子たちがいる。
走り込みをする中にはちょっと背丈の低い子がを見かける。尖った耳、弓矢の練習、薬草の炊き出し。
「みんなはそのまま続けててくださ~い。え~と、あなたたちは集まって。ファーニャ、ラグネシエ、リュネファ、ティアグ、レイヴェル。これで全員だね。」
「あ、は~い。」
「はい……。」
「はい。呼ばれたのって、」
「……はいっ。うん、」
「はい。エルフのみんなだぁ。」
総勢20人の女子たちから呼ばれて前列に5人が並ぶ。
「あなたたちはまだ小さい子たちですから、討伐クエストには連れていけません。でもね、みんなそんなに薬草探しが得意なの?」
「うん、どんな草木でも見分けられるよ。」
「でも何でも採ったらダメなの。時期で成分も変わるし。」
「持ち帰る間の保管方法もそれぞれ別々だよね。」
「その場で処置しないと無駄になっちゃうのとか。」
「共生していて薬効ができる種類もあるの知ってる?」
わあ、プロフェッショナル薬師チームだ。
「そんなみんなを見込んで、お仕事があります。人間社会を少しずつ知っていくにも大変よいと思います。」
他の子たち15人の子たちは声援を上げる。
「お仕事い~な~。」
「がんばってきて~。」
「ファイト~。」
全員が(見た目は)私より年下の子たちなので、ここはお姉さんらしくさせてもらっちゃう。
「みんな~、屋根付きの宿屋に住みたいか~!」
おお~~~っ! ……って。あれ?
「えっと、それよりも大きな木の上に棲みたいよね……。」
私はエルフの子たちを連れて、城下町の外だけど危険はほとんどない森林地に向けて出発する。
「お帽子の紐はきちんと、あごで結んでますか~?」
「自分の隣の子はいますね? ちゃんと手をつなぐのよ~。」
「のどが渇く前に水筒の水を飲んでね~。」
「バナナはおやつですから、お腹がすいたら食べていいで~す。」




