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権限転生  作者: 純銀
聖女ベアトリーチェ・ディヴァニス
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24/39

ベアトリーチェとルームメイトと私

2階のこれまでの男子部屋だったら、私ミレフィアがダルクルトに会いに行くにはそれなりの理由と決意が必要だった。

扉を開けて入室するという事は男子の1人部屋にお邪魔する事になるわけで、ギルドへ行く打ち合わせとか、討伐の打ち合わせとか、パーティー全メンバーで打ち合わせとか、……あ~打ち合わせばっかり。

それが、今では「メイドさん2人にお茶を差し入れ」という理由だけで、私はいつでも男子部屋をノックして出入りすることができるようになった。

「寛げてますか~? 私とご一緒にお茶しましょう……。」


黙々と2本の長剣を研ぐ双剣士。

黙々と飛びナイフや鎖鎌を研ぐ2人のメイド。


国王認定(かおみしり)の勇者と、国王直属の密偵。

あ~。こういう空気かこの部屋は。

「お仕事のほうはいかがですか? 私たちの聖女様のお命を狙う不信者は、近くに潜んでいそうです?」

「いや、真上の部屋位置じゃないので日中は盗聴が難しくて……ぐふぉっ。」

「ミレフィアさん、密偵は調査進捗を吐露したり致しませんので。メネト、あなたもよ。」

「やぁだ、可愛いルームメイトの安全が気になって聞いただけですよ。お茶しましょ。」

この場合の心配なルームメイトというのは、ベアトリーチェよりも隠密クロエの事のほうだけど。

女子部屋もそうだけどここの宿部屋にはテーブルなんてものは無く、あるのは壁側の筆記机が1つだけ。私はメイド2人用に割り当てられてるベッドの上にお盆を囲んで、お布団の上でミニお茶会を開いた。

ダルクルトをチラリと見ると、机のほうでお茶を啜りながら防具の手入れを続けていて普通にかっこいいかも。


元・男子部屋はそういう訳で、国王だいたい直下のセレンテルー王国防衛関係者3人の詰め所になっている。あの堅物《かたぶつ》たちには特に何事も起こらないんじゃないかな。

さて聞いてもいない国家機密情報を何度も聞かされかけながらも、可愛いメイドさん2人組とのお茶会を満喫して、私は女子部屋に戻る。


こちらの女子部屋も同じく本来は2人部屋。無理して3人部屋のところに、5人生活だったのだけれど。

「6人生活になっちゃったわね……。」

しかも新人はステルス住人なので、他の4人は「なぜ手狭になった気がするのか。」に気が付かない。

私の食費は1.5倍になったのに私は体重が増えなかったり、カードゲームをしていても「まるで6人で遊んでたみたいだった。」と鋭い女子がいたり、何かを見かけて「寝ぼけてるみたい……。」とそのまま二度寝する朝が増えたりはしている。

それでも、階下斜めの密偵から怪しまれているという事は無さそうなので良いとしましょう。


ベッドが増えれば良いかというと、5人ともなるとベッド自体の体積が空間を狭くしちゃう。そういうわけなので、今のこの女子部屋ではベッドが1つでお布団が3~4人分。毎日のローテーションで、ベッド組2人と床寝組3人で一応それぞれの持ち場で就寝する。朝の配置がそれと一致することはないし、大抵は無意識にルネアンの奪い合いかな。

そんなわけでみんな同じ女子同士。だからこの部屋の聖女さまときたら、普通に床寝もするし、誰かに片脚が乗っかってる夜は特別でも何でもない。


最近の私が 床寝組の日 には、みんなが寝入った頃合いで、少しだけお布団に空間を作る。

「(……空いてるよ。)」

私がそう言うと、壁や天井のどこかにいたクロエが、音も無く私の横に潜り込んできて、すやすやと寝息を立てる。

きっといつも仮眠ばかりで、ゆっくりと眠れることなんて無いんだろう。熟睡してよね。


実際に床だけで3人も布団を一つにしていると、目の前の手や足や頭が誰のものかなんて案外どうでもよくなる。今のところ問題は生じていない。

ただし夜明け頃に気が付くと、しょっちゅうベアトリーチェとクロエがお互いの寝相のまま重なって寝ていたりするので、そういう場合は私は少し浮力魔法を掛けて、クロエを天井目掛けて放り投げ上げる。

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