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権限転生  作者: 純銀
セレンテルー王国
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門前市場と奴隷少女と私

「お家も市場ももうすぐですよ。お腹空いたよね~。」

私たちの冒険者パーティーは無事に討伐を果たして、王城の門が目の前だ。

おや? 城壁の外側に人だかりがある。食べ物も並んでるので今の私たちにそれほど無関係でもない。

「旅人向けの仮設な門前市場だにゃ。でも、農民が真面目に売買する場所はまた別にあるにゃ。」

「妾《わらわ》の国ルーヴァでも王城の外に似た市場があります。どちらかと言うと、城下町内で正式には許されない売買所です。」

「特に安くもにゃいと思うけど、寄ってみるにゃ?」


傭兵崩れや闇商人もいるとの事なので、聖女様とエルフ様のお2人には遠くから眺めていてもらって、私とルネアンとダルクルトの猛々しい3人だけで物色をする。

「食べ物も道具類も、町の市場のほうが安全よね……。」

「酒臭い。」

「違法というわけではにゃいんにゃけど、城下町の中と合わない商売人は居るものなのだにゃ。」

「あら……ねえルネアン。この王国では奴隷が合法なの?」

「身分制度の奴隷じゃにゃいにゃ。異国からの放浪者や、借金の身売りとか、永久ではない奴隷労働者だにゃ。」

う~ん、こういうのも異世界の慣わしですか……。


交渉客をなんだか逃したばかりで不機嫌そうなのが、奴隷商人だろう。

粗末な衣服で7~8人の男女が商品扱いで並んでいる。ああ、あんな風にステイタス・ホログラムを晒させられて不憫だな。

「ビキニアーマーを着てる奴隷はいないか?」

「へ、はぁ……?」

「ああそれ、相手にしなくていいです、商人さん。」

「にゃんだかんだで人手不足の時もあるし、後ろめたいほどの事ではないにゃ。」

確かに、誰も拘束具みたいなものを付けられてはいない。雇用形態の末端みたいなものかな。


「おいエルゼ、お前は客寄せでもしてろ。その気持ち悪ぃのは見せるんじゃねえぞ。」

奴隷商人から言い付けられたのは、ずいぶん幼い女の子だ。

「その子も、奴隷にゃのか?」

「小さすぎて労働力にならねえ。普通はこれくらいなら養子に、って客もいるんだが気持ち悪がられるんだ。エルゼ、来い。」

エルゼと呼ばれたその子は、腕や脚を片方ずつまくられる。そこには淡いけれど紋章みたいな痣が見える。

「全身がこれだぜ。なあ獣人のお嬢ちゃん、こういう肌をした種族って聞いた例ねえかい?」

「にゃい。匂いで普通の人間の子だって分かるにゃ。」

ステータス・ホログラムも出させられる。なんだろう……数値が何か所か、ノイズだらけだ。

「厚着させられてたのを見もせず仕入れちまったものの、売れねえよこんな不気味な娘。どうだい安くしとくぜ?」

「買った。」

即決が早い。ああ~、それあなたの金貨全部じゃないの。

「乗れ。」

と差し出すダルクルトの腕に、何も疑わず当たり前に抱えられようとする女の子の身体を私はそのまま抱きつかんで、パーティー内の公序良俗を守り切る。

「こんなのと主従契約じゃないんですから。ほら、お姉さんたちと遊びましょうね~。」

「にゃはは~。」


「妾《わらわ》の連れの知人の子供という事で、門はくぐれるでしょう。」

「エルゼベッタちゃんね、エルゼって呼んでいいの?」

「うん。あのね、お腹空いた。」

「ちゃんとした市場に寄ってから、ギルドに向かいましょうね。」


普通の女の子だ。それにしても、ステータス・ホログラムのノイズは気になる。成長期にはよくある事だからとみんな気にしないんだけど。

私はこっそり、スマホを出してリンクさせる。ステータス・マネージャ・ホログラム、の略。

ああ、なんてことでしょう。魔力の数値、それだけではない。名前も「エルゼベッタ」は偽りの名前。管理情報に表れた真の名は「アゼルフィーネ・デュジエルンギ」となっている。

私が何で知ってるのかをみんなには言えないので、言わないでおこう。

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