あー、あーあ。淳少年が、ついにキレたかぁ。バカ犬めが!
子犬に戯れられ、鬱陶し気な淳少年へ藤堂司令が。
「その、なんだ。
大丈夫なのかね?」っと。
それへ淳少年が首を傾げながら。
「大丈夫?
何がです?」っと、不思議そうに。
「いや、さっきから狼か?
飛び掛かられているみたいだが?」
そう問われ。
「ああ、コレ?
そうなんっすよ。
さっきから子犬が戯れ付いて来るんで、困ってんすよねぇ。
流石に子犬を邪険にしたり、怪我させる訳にもいかないですし。
あのクソ親犬は、面白がってやがるし」
わぁ〜おっ!
スンゴイ殺気だなぁ〜
よほど、腹が立ったんだろなぁ。
面白がってるリーダー犬。
いや、おそらくは、狼の類いなんだろうが、淳少年の殺気を受けて跳び上がる。
完全に舐めてた相手が、遥かに格上と気付かされ仰天した形だ。
即座に地へ伏せ、続いてゴロンっと腹見せ。
あ、服従した。
子犬達も、殺気の余波を受け。
【キャヒィン】っと。
咄嗟に跳ね下がり、尻尾を巻いて。
【キャンキャンキャン】って鳴きつつ、群れの方へ。
「ふぅ」
そう溜め息を吐いてから。
「弱い物虐めをする趣味は無いよ。
大体、オマエ達の生活圏へ立ち入ったのは、コッチだしね」
そう告げると、リーダー狼が伏せの状態へと。
上目状態で、淳少年を見る姿は、意外と愛嬌がある。
ソレを見て淳少年が。
「意外と知能が高いのかもね。
言葉が通じてるとは思えないけど、コチラの意図を察するコトは可能みたいだ。
敵対しなくても済むかも」
そのようなコトを。
ソレを聞いた藤堂司令が。
「大丈夫なのかね?」っと。
それへ淳少年が不思議そうに。
「何がです?」
そう尋ねると。
「いや。
襲われないかね?
危険なら」
「まさか、討伐する、とか?
そんなコトするなら、俺は帰りますよ。
好きにすれば良い。
俺は関知しませんから」
怒ったように。
正直に言おう。
今回のプロジェクトは、淳少年ありきのプロジェクトである。
彼が抜けた場合、このダンジョンへ立ち入るコトが可能な者は皆無だ。
それだけ、魔素適合率が高い者が現れていないのが、現状なのである。
それも、当たり前の話しであろう。
祖父母の代から魔素を含む食材を食し続けた一族の末。
その唯一が一人であるのだから。
実は、淳少年と同じく、祖父母の代から魔素食材を摂取している一族は居る。
だが、この地域には、淳少年の一族のみだ。
いや、居るが、魔素濃度が低い食材や、地域外食材と混ぜ合わせ、濃度を下げて食している。
淳少年の両親は、濃度を余り下げずに食していた。
祖父母もだ。
だが、その時代の、っと言う、枕詞が付くが。
そう、年々、食材へ宿る魔素濃度が上がっているのだから。




