~第四十三話~
次の日、テストも終わり、いつもの時間に起きて、顔を洗う事にした。
洗面所に辿り着いて、鏡を見てみると
「思いっきり、女の子に見えるかも……」
鏡に映っていたのは、ロングヘアーの女の子がいた。
まあ、女の子と言っても、僕は男なので、やっぱり顔がかなりの童顔なんだと思う。
やはり……髪を切ろうかな? と思ったけど、朱莉母さんが「切っちゃ駄目~似合ってるんだから~」とか思いっきり言いそうだった。
とりあえず、休みに入ったら一度考えてみようと結論を出して、髪が跳ねていたので、それを直して、黒のヘアゴムで縛って、ポニーテール姿にした。
整え終わって、リビングに行くと、圭吾父さんと、朱莉母さんが、既に朝食を取っていた。
「お、おはよう、聖、今日も可愛いなあ」
少なくとも、息子に言う言葉じゃないと思うんだけど……
「おはよう……」
「ん? どうした? その声……」
「え? 何か違う?」
「そうだな……いつもより、高い声じゃないか? なあ、朱莉」
「ええ、そうね~、思いっきり美少女ボイスに聞こえるわよ?」
「え? え?」
僕は、いつものように普通に声を出しているだけなのに、そう言われてしまった。
とりあえず、低い声を出すようにして、話してみる。
「この声は?」
「お、いつもの聖の声に戻ったな?」
「そうね~、いい声よ~?」
とりあえず……元の声が出せるようになって、ほっとした。
朝食を取った後、自分の部屋に戻り、山野辺高校の制服に着替える。
着替え終わった後、鞄の中に必要な物を入れて、出かける事にした。
外に出てみると、秋晴れの天気で、ちょっと肌寒く感じたけど、気にせず移動する事にした。
移動中、僕に話しかけてきたのは
「よ、聖」
同じクラスの亮太だった。
「おはようございます」
そう話すと
「うわ、びっくりした、いつもより高いなあ」
亮太にもそう言われてしまったので、僕は慌てて低い声で
「この声で、OKかな……?」
「あ、いつもの聖の声だな? 一体どうしたんだ?」
「さあ……朝起きたら、何故か声が高めになってたんです……」
「普通、低くなるんじゃないか? 何で逆なんだ?」
「僕に言われても……」
「まあ、そうだよな……確か……今日から再びヤマノベラジオやるんだよな?」
「はい、先輩達がそう言ってましたしね?」
「とりあえず誰が話す事になるか、決まってないけど、頑張ろうぜ?」
「そうですね」
そう話しながら移動していると、山野辺高校に辿り着いた。
僕と亮太は、同じクラスなので一緒のクラスに入る。
自分の席に着き、鞄の中身を机の中に入れて、入れ終わった後、チャイムが鳴るまで、ぼ~っとしている事にした。
数分後、チャイムがなって、担任の碓井先生が入ってくる。
「皆、おはよう、今日は午前中は普通の授業、午後は体育祭の出演者を決めようと思っているぞ? じゃあ授業を始めるぞ」
そう言って、授業が始まった。
体育祭の出演者ね……部長に言われたから、あんまり競技に出ちゃ駄目なんだよね……と、そう思っていた。
授業が始まり、テストの答案用紙が返ってきた。
えらく早い採点だなあ……と思いながら、返された答案用紙全てチェックしてみると、ほとんど50点で、赤点ぎりぎりだったのは英語で、一つも赤点が無くて、ほっとした。
テストも終わり、普通の授業に戻った。
授業内容は、それほど難しくなく、黒板の文字をノートに写すだけで時間が過ぎていき、あっと言う間に、お昼の時刻となったので、僕と亮太は、放送室に行く前に、購買部で何か買ってから、放送室に向かう事にした。
購買部に行くと、もう既に人が集まっていて、人気商品が売り切れになりそうないきおいだった。
それでも何とか、3個の総菜パンを購入してから、放送室へと向かった。
放送室の中に入ると、既に先輩達が集まっていて
「あ、二人とも来たわね? テストどうだったかしら?」
と、部長の中田彩さんが、聞いてきたので僕は
「何とか赤点は、ありませんでした」
「俺は一つだけ……まあ、ノーコメントで……」
「そうなんだ? ちなみに、私はほとんど高得点ね? で、こっちの双子はね?」
「俺が、ほとんど高得点で、洋子の奴がな?」
「う~……何で双子なのに、こうも違うのかしら?」
「洋子先輩は……」
「私、赤点ばっかりなのよ……」
そう言って、双子の西岡洋子先輩が、項垂れていた。
「まあまあ、次頑張ればいいじゃない……で、今日のラジオだけど……ブラックと、ホワイトでお願いできるかしら?」
「あ、解りました、聖、Okだよな?」
「うん、別に問題はないと思う」
「じゃあ、ブースに行こうぜ」
「うん」
そう言って、僕と亮太は、今いるルームから移動して、ブースの方に向かった。
ラジオブースみたいな感じになっていて、椅子に坐り、マイクの調整をする。
そして、スピーカーから、彩部長の声が聞こえてきた。
「二人とも、準備はいい? そろそろ始めるけど、準備が出来たら、OKサインをくれない?」
そう言ってきたので、僕は準備Okだったので、準備OKのサインを出した。
亮太もサインを出して、準備完了みたいだった。
彩部長は、それを確認したあと、スピーカーから声がした。
「じゃあ、始めるわよ?5・4・3・2・1・キュー」
そう言って、一旦聞こえなくなった後、今度は洋子先輩の声が聞こえてきた。
「これから、お昼の放送を始めます」
そう言ってから、僕達はマイクのスイッチを入れて、ラジオを開始したのだった。
「今日も始まりました、山野辺ラジオ~、司会は毎度お馴染みブラックと」
「ホワイトでお送りします」
「いや~テスト大変でしたね~ホワイトはどうでしたか?」
「そうですね……何とか出来たって感じです、ブラックは?」
「出来なかった」
「即答!? え……いいの!?」
「何とかなる!は~っはっはっは」
「うわ~……なんかやけくそ気味になってる感じがするけど、えっと……じゃあ、毎度おなじみの音楽を流します、では聞いて下さい、どうぞ~」
そう言って、マイクのスイッチを一旦切って、音楽が流れ出す。
音楽が流れている間に、ブースに洋子先輩がミニパソを持ってきてくれた。
数分後、音楽が終わったので、マイクのスイッチを入れる。
「今日流した曲は、クラシックの癒し系と評判のソングです」
「ブラック、そうだったの?」
「いや、俺がそう思った、だって癒し系~って感じの曲だな?って感じたしさ?」
「そ、そう……」
「じゃあ、今日はホワイトちゃんがいるので、さっそく大人気コーナーをいってみたいと思います、ではこのコーナー「ホワイトちゃんに言って欲しい事」では、早速やってまいりましょう!」
「何でそんなテンション高めなの!? ブラック……」
「では、え~っと何々……うん、これにしようHNミューさんから「ホワイトちゃんに、お嬢様言葉でツンデレ台詞をお願いします」とだって、ではホワイトちゃん、どぞ~」
「ええ? え~っと「べ、別に私、貴方の事なんかどうも思っていないわ、ほ、ほんとですのよ!?」こ、こんな感じかな……」
「おお、感じでてる~ちなみに実際に言った事は?」
「あるわけないでしょ!? 言ったと思っているの!?」
「ほんとかな~? まあ、次はえ~っと……HNみーさんから「システムボイス的な感じで、お願いします」とかかれてありますね、では、どぞ~」
「システムボイス……えっと……「ただ今、留守にしております、ピーと言う発信音が鳴ったら、メッセージを入れて下さい」と、こんな感じかな?」
「おお、そんな感じですね~ホワイトちゃん、携帯とかは?」
「いや、持ち合わせてないかと……」
「まあ、電話もメールもしなければ、必要ないって感じの品物だからね? おっと、もうこんな時間になりました、お相手は、普通の常識人こと、ブラックと」
「えっと、ホワイトです」
「以上で、お送りしました、この放送は、放送戦隊ヤマノレンジャーの提供で、お送りしました」
そう言ってから、マイクのスイッチを切って、ルームの方に向かった。
ルームに入ってから、洋子先輩が、マイクのスイッチを入れて、こう話す。
「これで、お昼の放送を終わりにします」
そう言って、スイッチを切る。
「これでOKよ?」
「じゃあ、次集まるのは、放課後ね? で……体育祭の事だけど……私達放送部は、放送に専念するので、全体競技に参加と言う事にしといてね? 個人競技とかは駄目と言う事にしましょう?」
「解りました」
「りょうかーい」
「じゃあ、解散ね」
彩部長が、そう言ったので、僕と亮太は、さっき買った惣菜パンを食べ終えて、教室に戻る前に、亮太と一緒に職員室に行く事にした。
職員室に辿り着き、中に入って、担任の碓井先生に話しかける事にした。
「あの、碓井先生」
「む……今の声って……天野か?」
「あ……はい……」
「そうか……さっきのラジオの片方の声は、天野だったんだな?」
「えっと……そう言う事になります」
「そうか……で、二人して、何の用なんだ?」
碓井先生が、そう言うと亮太が
「俺達、放送部員なんですけど、部長から「放送部員は全体競技にしか参加しちゃ駄目」と言われて……だから先生、個人競技に、俺達、放送部員は出さない事にしといてくれませんか?」
そう亮太が言うと、碓井先生が
「そう言う事か……解った、そのようにする事にするぞ」
「ありがとうございます、じゃあ、戻るか? 聖」
「うん、では」
そう言って、僕達は自分の教室へ戻る事にした。
午後の時間になって、いつもなら午後の授業をするのだけれど
今日は、体育祭の競技に出る人を決めると言っていたので、授業がなく
体育祭の出演者を決めようとしていた。
「じゃあ、体育祭の事だが、まず……このクラスの放送部員は、全体競技にだけに出場する事にしたぞ、全体競技は、百メートル走と、玉入れとフォークダンスとなっている。これは特に決める事はないので、他に決めるのは個人メドレーの出場者だな? 委員長、手伝ってくれ」
と、担任の碓井先生が、そう言ってくる。
「解りました」
そう委員長が言って、黒板に書いていく。
「じゃあ、まず……メドレーの出場者を決めたいと思います、やりたい人は挙手して下さい」
そんな感じで、クラスミトが挙手をして行き、どんどん決まっていった。
ちなみに僕と亮太は、放送部員なので、体育祭での出場競技は、百メートル走と玉入れ、フォークダンスとなった。
ランナーの出場者が決まって、最後に委員長が
「じゃあ、応援合戦の出場者を決めたいと思いますが……何かいい案はありますか?」
と言ったとたん、同じクラスの衛君が
「はい、天野を是非、応援団に入れて欲しいです!」
とか言ってきて、驚いてしまった。
な、何で……僕!?
委員長がそれに対して、僕の姿を見た後
「うん……ありね! 天野君、いいかな?」
とか言ってきて、つい
「だ、駄目です、無理です!」
と言ってしまって、声を変えるのを忘れてしまったので……
「今の声って、ホワイトちゃんだ~!」と即バレしてしまった。
いずれは、教室内で話そうとは思っていたけど……こんな形でバレるなんて……うう……ちょっと、早まったかも……
そう思っていると、委員長が
「尚更ありね! 先生もいいですよね?」
「……そうだな、天野、やってくれないか?」
と言われてしまい、クラスの皆の視線を釘付けしてしまった。
これは……断る雰囲気じゃ無さそうだったので、僕は小さい声で
「は、はい……」
そう言うと
「なら、決まりね? あとは衣装を考えましょうか」
と、委員長が凄く張り切ってしまっていた。
そんな感じに決まっていき、全て、決まった後、お開きになった。
「では、今日はもう解散だ」
と、碓井先生が言ったので、僕と亮太は、放送室に向かった。
放送室に辿り着くと、先輩達が既にいて、部長の彩さんがこう言って来た。
「亮太君と聖君のクラスでは、体育祭で何かする事になった?」
「あ、俺達のクラスは、聖が応援団に入りました」
「あら、そうなの?」
「は、はい……」
「じゃあさ? チアガールの衣装着るの?」
「彩部長……学ランじゃないんですか? そこのところは……」
「だって~天野君って、今の姿で学ランって、あんまり似合って無さそうに見えるしね? ね? 陽子」
「うん、天野君なら大丈夫よ? 絶対に似合うって」
「ああ」
「はあ……」
「まあ……とりあえず、体育祭が終わったら、夏休みに言ったと思うけど、演劇部の手伝いをする事になってるから、亮太君と聖君は、その劇に出演する事になってたわよね」
「はい」
「ええ、家で台本読んだり、聖と一緒に練習したりもしました」
「そっか、じゃあ頑張らないとね?」
「ところで……先輩達は、何の競技に出るんですか?」
「私達はね? 全体だと、二百メートル走と、綱引きとフォークダンスよ?」
「そうなんですか」
「ええ、じゃあ……次のラジオのメンバーだけど……誰が行く?」
「じゃあ、俺と亮太でどうだ?」
「そうね、そうしましょう、亮太君、それでいい?」
「あ、はい」
「っと、もうこんな時間か、洋子、お願い」
「は~い」
そう言って、洋子先輩が、マイクのスイッチを入れて、こう話す
「下校の時刻となりました、皆さん、速やかに下校して下さい、繰り返します、下校の時刻となりました、皆さん、速やかに下校して下さい」
そう言ってから、マイクのスイッチを切る。
「これで、Ok」
「じゃあ、今日はこれで、解散」
そう言ったので、僕は、亮太と一緒に、下校する事にしたのでした。




