~第四十二話~
次の日になって、僕は、いつもと同じ時間に起きた。
起きて窓の外を見てみると、どんよりと曇っていて、なんか……雨が降りそうな天気でもあった。
まあ、折りたたみ傘でも持っていこうかな? と決めて、顔を洗いに洗面所に向かった。
洗面所の鏡を見てみると、寝癖なのか、物凄い髪型をしていたので、櫛で身だしなみを整えて、顔を洗う。
整え終わった後、リビングに行くと、もう既に両親がいて、朝飯を食べていた。
「あ、おはよう聖ちゃん」
そう言ったのは、朱莉母さんで
「おはよう、試験か……まあ、頑張りなさい」
そう言ったのは、圭吾父さんだった。
圭吾父さんは、何か紙に書いている。
一体何してるんだろう? と思い、聴いてみる事にした。
「一体何してるの?」
「ああ、これか……実はな? 今度、何故か歌手の作詞をする事になってなあ……その作詞を書いてるんだ」
「作詞? それって、凄いかも……」
「お、そうか? なら、完成したら、聖にも聞かせてやるぞ」
「うん」
そう言って、僕は席について、朝食を取る。
朝食のメニューは、トーストにジャムとマーガリンを塗った物だった。
僕は両方漬けて、あっという間に食べ終わる。
食べ終わってから、自分の部屋に戻り、山野辺高校の制服に着替える事にした。
着替え終わった後、鞄に必要な物を入れて、声の発声練習をする事にした。
「あ~あ~低い声っと……うん、問題は無いみたいかも」
何も問題もなく、低い声が出せたので、うん、これでいいかな? と思い、発声練習をやめて、出かける事にした。
「いってきます」
折りたたみ傘を鞄の中に入れて、外に出てみると、どんよりと曇っていて、厚みがあり、少なくとも早い時間に雨が降りそうな天気だった。
雨が降る前に行こうかな? と思い、早歩きで学校へと向かっていると
「おっはよう、聖」
そう言って来たのは、同じクラスの赤井亮太だった。
外なので、僕は低い声で
「おはようございます、亮太」
そう言うと
「ああ、今日が試験最終日だけど、聖、自信はあるか?」
「そうですね……まあ何とかなるって感じですかね? そう言う亮太は、どうですか?」
「俺かあ……ま、勉強した所が出るならラッキーって感じかな、とりあえず赤点は取らないようにしないと思ってる」
「僕もそうですね、お互い頑張りましょう」
「ああ」
そう話しながら、歩いていると、学校にたどり着いたので、自分のクラスに行く。
クラスの中に入り、自分の席に着いて、鞄の中身を入れて、試験の準備に備えた。
しばらく待っていると、キーンコーンとチャイムが鳴り、担任の碓井先生がやって来て、こう言って来た。
「皆、おはよう、今日が試験最終日だ、最終日だからと言って、手を抜かないように、ではテスト問題を配ろうと思う、テストが終わったら、明日は、体育祭に出る種目を決めようと思っている、では……テスト用紙を配るぞ」
そう言って、テストを配っていき、配り終わった後
「じゃあ、チャイムが鳴ったら、始めるように」
碓井先生がそう言ったので、チャイムが鳴るのを待つ事にした。
そして、チャイムが鳴り、テストに取り掛かる事にした。
今日の科目は最初から全力で取り掛かる事に決めて、テスト用紙を見てみると、最初の教科は、理科だった。
理科の実験の問題と、記号の名称を答えよと言う問題が出て、ちょっと解らなかったけど、何とか全ての枠を埋める事にして、答え、あってるといいなあ……と思う事にした。
理科のテストが終わり、次の教科が、英単語問題だった。
前にやった英語とは違い、今度は英単語中心の問題だった。
英語は苦手だけど、何とか解る所を書いていき、あとは解らなかったので、空欄にしておくことにした。
さすがに赤点はないと思いたい……英単語の教科が終わって、最後の教科が、生物の問題だった。
生物の問題は、動物と植物の名前と、その行動は何か? を答える問題で、ここも勉強した所が出たので、あっという間に解いていき、全問埋める事が出来た。
テストの時間が終わって、担任の碓井先生が
「これで、全部のテストを終了したいと思う、今日はこれで終わりだが、明日は体育祭に出る人を決めようと思う、では、解散」
そう言って、教室から出て行く。
とりあえず全部終わったし……部活も今日は無いので、帰る支度をしていると
「よ、聖」
そう言ってきたのは、同じクラスの赤井亮太だった。
僕は、教室内なので、低い声で話す事にした。
「どうしたんですか?」
「いや、テストどうだったかな?って思ってな……で、どうだった?」
「そうですね……まあ、普通……って感じですかね? そう言う亮太は、どうでした?」
「そうだな……ま、英語はちょっと解らないけど、何とかいい点取れてるかなって感じだな」
「そうなんですか」
「ああ、あ、そうだ、今日部活ないだろ? だから、午後って暇だよな?」
そう亮太が言ってくる。
確かに、部活が無いので、午後の予定は何も入れていなかったので
「はい、何も予定ないですよ」
そう言うと
「じゃあ、午後、一緒に遊びに行こうぜ?」
と言ってきたので、僕は
「そうですね……いいですよ」
と返事をすると、亮太が
「よし、決まりだな? じゃあ、着替え終わったら、俺の家に来てくれないか?待ってるから」
「解りました」
「じゃあ、帰ろうぜ」
「はい」
そう話していると
「もしかして……遊びに行くのか?」
と言ってきたのは、同じクラスの栗谷衛君だった。
「ああ、聖とな?」
亮太がそう言うと、栗谷君が
「じゃあ、俺も一緒に行っていいか? 午後は暇なんだよ」
「そうなのか? 聖……一緒にいいか?」
「そうですね……別にいいんじゃないですか?」
僕がそう言うと、栗谷君が
「お、ありがとう、何所で待ち合わせなんだ?」
「俺の家に決まった所」
「りょ~かい、確かカレー屋だっけ?」
「ああ」
「じゃあ、着替えたら行くよ、じゃあな」
そう言って、栗谷君が教室から出て行った。
「じゃあ、俺達も帰るか」
「うん」
僕達も、教室から出て、一緒に帰る事にした。
校舎を出た後、亮太が
「じゃあ、また午後にな?」
と言って、僕と別れて、午後に三人で、遊びに行く約束をしたので、家に戻る事にした。
家に戻り、着ている山野辺高校の制服を脱いで、何を着てこうかな……と迷い、動きやすい、長袖のジャンバーに長ズボンを履く事にした。
うん、これで少なくとも見た目で女の子に間違われる事はないと思う……まあ、髪型がポニーテール姿なので、説得力はないかも知れないけど……着替え終わって、家の外に出る。
外の天気を見てみると、曇っていたのが嘘のように晴れて、いい日差しとなっていた。
僕は、一度行った事があるので、待ち合わせ場所の亮太の家、カレー屋さん、レッド・カリーに向かった。
お店に辿り着き、店内に入ると「いっらっしゃいませ~」と言ってきたのが、確か……亮太の妹の美香ちゃんだった筈なので
「えっと、美香ちゃんだよね? こんにちは」
「あ、あなたは! 前に来た可愛い人の聖さんですよね?」
「う、うん、そうだけど、何……その覚え方……」
「だって……見た目もそうですし、声も凄いですから? もしかして……お兄ちゃんに用ですか?」
「う、うん……で……亮太は?」
「あ、お兄ちゃんですか? 呼んできますね?」
そう言って、奥に行き、亮太がやって来た。
「お、聖、待たせたか?」
「いえ、そんなには待ってないです」
「そっか、あとは栗谷が来るだけだな?」
「そうですね」
そう話していると、栗谷君がやってきた。
「待たせたか?」
「いや、待ってないぞ、じゃあ、遊びに行くか」
「そうだな? と言っても、何所に行くか決まってるのか?」
「いや、とりあえず適当に町をぶらぶらしとこうぜ? 聖もいいよな?」
「うん」
そう話したら、なんか栗谷君が驚いていた。
「あ、天野……今の声って」
「あ……」
しまった、低い声をしないでいつもの声で話していたっけ……そう考えていると、亮太が
「なあ、栗谷には教えても大丈夫じゃないか? 秘密は守る奴だと思うし?」
そう言って来たので、僕は考える。
まあ、秘密にしてくれるなら、別に問題ないかな……と、それに毎回声を変えて話すと言うのも、ちょっと疲れてくるので
「そうですね……栗谷君」
「な、なんだ?」
「僕、いつもはこの声なんですよ、多分と言うか……聞いた事があるんじゃないですかね?」
僕がそう言うと、栗谷君は何かしら考えた感じになり、そして
「あ、そう言う事か……じゃあ、たまにお昼の放送のヤマノベラジオに出てくる、ホワイトの声って、天野だったんだな……?」
「え、ええ……まあ……駄目でしょうか?」
「い、いや、問題はない、俺、気に入ってたしな……録音もした事あるし……」
なんか小さい声で言っていたけど、よく聞こえなかった。
「じゃあ、とりあえず町に遊びに行くか?」
「そうですね、行きましょうか」
「あ、ああ、そうだな」
そう言って、三人で町に遊びに行く事にした。
街中を歩いて、まず最初に辿り着いたのは、ゲームセンターだった。
「聖は、ここよく来るのか?」
亮太がそう言って来たので、僕は
「そうですね……あまり来た事はないですね、亮太はどうなんですか?」
「俺は暇な時に来る程度かな? まあ、対戦格闘だったらちょっとした腕前だぜ?」
「あ、俺もそうだな、姉貴に付き合わされて、結構勝負させられたっけ? 姉貴ってやたらつえーんだよな……はっきり言って、相手にしたくなかったぜ……」
姉貴って、ああ……三年の美鈴さんの事か……あの人、ゲーマーだったんだ……
「とりあえず、皆で出来るこのレースゲームやってみるか?」
そう言って亮太が指差したのは、首都高レーサーズと呼ばれている、体感型レースゲームだった。
「これでいいか? 二人とも」
「俺はいいぜ?」
「僕もいいです」
「じゃあ、やるか」
そういって、三人でレースゲームをやる事になった。
座席に座り、ハンドルとペダルとレバーを操作して、行うゲームで、体感型なのか、走るたびに小刻みに振動が伝わり、しかも障害物に車が出現して、それにぶつかってクラッシュすると、スピーカーから悲鳴と衝撃音、それに振動があって、かなりのリアル使用となっていた。
結果は、僕はあまり操縦になれてなかったので、一番ビリで、亮太が一位、栗谷君が二位だった。
次にやったのが、ボタンを使うゲームで、タイトルに「ビシバシフロンティア」と書かれていた。
ボタンを叩いてゲームをクリアしていく物で、ボタンを叩きまくって、ちょっと手が痛くなってしまった。
そんな感じに遊んでいて、時間が過ぎていき、暗くなってきた。
遊びつかれて、外に出ると、栗谷君が
「他に遊びに行く所ってあるか?」
と言ってきたので、僕は疲れたので
「僕はもう帰りますね?」
と言うと、亮太も
「ああ、じゃあ俺も、今日はこれで解散するか」
「了解、あ、そうだ……天野?」
「はい?」
「お、俺も、聖って呼んでいいか……?」
「……いいですよ? じゃあ、僕も衛君でいいですか?」
「あ、ああ!!」
なんか、凄いよろこんでいるけど、一体なんでだろう……
そう思いながら、僕は二人と別れて、家に戻る事にした。
こうして、今日の一日が、終わりました。




