【08】 退職願が課長の手に
課長が、
丹沢が印鑑を押すや否や、
その退職願を強引に取り上げた。
丹沢(そんなもん慌てて取るなって。
バーゲンの売り物でもあるまいし)
課長「丹沢、これをもらうよ。
これでお前と、
来月から会うこともなくなるな。
ははははは」
丹沢(こっちも会いたくないよ)
周りがどよめいた。
各々がばらばらに何かを話し始めた。
課長はその人込みをかき分けるようにして
自席に戻り、
机の引出しに退職願をしまい込んだ。
そして引出しにしっかりと鍵を掛け、
鍵を上着のポケットに入れた。
周りの職員は、
ただそれを見ているしかなかった。
課長は、
タイムカードラックから、
自分のタイムカードを取り出すと、
いつものように住民課を去って行った。
丹沢も、
それから少し遅れてタイムカードを手にした。
帰る前に、庁舎内のトイレに寄った。
丹沢は、
小便器の前に立ち、
チャックを空けてモノをつまみだしていると、
ちょうど国民年金課長(井手五郎)が
入って来て、丹沢の横に立った。
国民年金課長がチラッと丹沢のモノを見て、
課長「小さいね」
丹沢「生まれつきです」
課長「若いのにな」
丹沢「大きなお世話です」
課長「でも、大きさじゃないからな」
丹沢「そうです。
大事なのは硬さですから」
課長「そのとおり」
丹沢「課長、勢いがないですね」
課長「そうなんだよ」
丹沢「歳ですね」
課長「大きなお世話だ」
丹沢「でも、ゆっくりでも出ればいいんです」
課長「そうそう。
出なくなったらおしまいだ」
丹沢「そのとおりです」




