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不死身の王子 ~死を拒まれた少年の旅路~  作者: ミミ
第一章 『孤独な王子の再生』
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8.ベルン村の日常

「さて……これからどうしようか。」

部屋に戻ったティシアは、ベッドに腰掛けながら今後について考え込んだ。


「サーナトスの力を集めるにしても、どこにあるのかすら分からない……。」


目を閉じると、あの精神世界での会話が蘇る。

「ひとまずは、この村で過ごすのがよさそうだ。」


ティシアは窓の外へ視線を向ける。


「アストさんには命を救ってもらった。今度は僕が、少しでも恩を返したい。」

そう呟き、ティシアは静かに目を閉じた。


――――――


「起きてーーー!!」

頬を小さな指でつつかれ、ティシアはゆっくりと目を開けた。


「……おはよう、グレンくん。」

「おはよう、ティシア兄ちゃん!」


目の前には、昨日出会ったばかりとは思えないほど懐いた笑顔があった。


ティシアはアストに借りた服へ着替えると、グレンに手を引かれながらリビングへ向かった。


グレンは小さな体を弾ませ、アストのもとへ駆け寄る。

「お父さん! 今日のご飯は?」

グレンが期待したように尋ねる。


「昨日の鳥がまだ残っているからな。今日はそれを使う。」

アストが笑いながら答える。


「僕も手伝います。」

ティシアがそう言うと、アストは少し驚いたように目を丸くした。


「客人なんだから、無理をしなくてもいいぞ。」


「助けてもらったままではいられません。それに……僕もこの村の一員になりたいですから。」


「……そうか。」

アストは少し驚いたように目を細めた。


「それじゃあ、まずは食器を用意してくれ。」

「はい。」

ティシアは小さく頷き、食器を並べ始めた。


朝食を終えた後、アストは村の人々へティシアを紹介した。


「昨日、川で倒れているところを見つけたんだ。しばらくこの村で過ごすことになった。」


村人たちは突然現れたティシアを不思議そうに見つめる。

しかし、すぐに笑顔へ変わった。

「お兄ちゃん、かっこいいね!」

子どもたちが次々とティシアの周りに集まる。


どう接すればいいのか分からず、ティシアは少し困ったように笑った。

すると、人の良さそうな老婦人が近づいてくる。


「これ、成長期の男の子には少ないかもしれないけどね。」

そう言って、採れたての野菜をティシアへ差し出した。


ティシアは驚いたように目を瞬かせる。

「え……?」


「遠慮しなくていいよ。たくさん食べて大きくなりな。」


その言葉に、ティシアは少し戸惑いながら野菜を受け取った。

「……ありがとうございます。」

ティシアは野菜を大切そうに抱え、小さく頭を下げた。


そんな姿を見たアストは、優しく笑う。

そして、ティシアの肩を軽く叩いた。


「じゃあ、村の一員になるなら色んなことを覚えないとな。ついてこい。」


ティシアは一瞬驚いた後、小さく頷いた。

「はい。」


――――――


それからティシアは、村の人々から様々なことを学んだ。


狩りの方法。

魔物から村を守るための防衛の知識。

そして、誰かと共に暮らすという当たり前の日常。


王宮では決して得られなかった時間だった。

そうして、あっという間に一ヶ月が過ぎた。


「ティシア兄ちゃん! 今日も遊ぼー!」

グレンや他の子どもたちが、ティシアの周りに集まってくる。


「ごめんね。今日はアストさんに用があるんだ。また明日遊ぼう。」


「約束だよ!」

子どもたちは笑顔で手を振りながら走っていった。


(アストさん、この時間になるといつもいなくなるんだよな……。)


ティシアが村の中を探していると、以前野菜を分けてくれた老婦人と出会った。


「あら、ティシアじゃないか。いつもならグレンたちと遊んでいる時間だろう?」

「こんにちは。アストさんを探しているんです。」


ティシアは手に持った壊れた斧を見る。

「斧が壊れてしまって……まだ自分では直せなくて。」


老婦人は斧を見ると、少し考えるような仕草をした。

「それなら、今はあそこにいるかもしれないね。」


老婦人はそう言って、ゴブリンがいる森とは反対側にある山を指差した。


「ありがとうございます。行ってきます。」


ティシアが頭を下げると、老婦人は優しく笑った。

「もうすぐ畑の野菜が採れるんだ。その時はまた持っていきな。」


「……ありがとうございます。」

ティシアはもう一度礼を言い、山へ向かって歩き出した。


山道を進んでいくと、そこには一面に花が咲き誇る場所が広がっていた。


その中心で、アストは静かに屈んでいた。

「アストさん。」


声をかけると、アストは少し驚いたように顔を上げる。

「ティシアか。」


そして、自分の隣を軽く叩いた。

「ちょうどいい。そこに座れ。」

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