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不死身の王子 ~死を拒まれた少年の旅路~  作者: ミミ
第一章 『孤独な王子の再生』
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2.神の扉

「せいぜい足掻いてみろ。」


その瞬間、成人式の開始を示す鐘が鳴った。


(兄上の言葉が本当なら、僕はあそこで殺される。)


(信じられるかは分からない。でも、誰が味方か分からない以上、他に道はない。)


私は地下へ続く階段を駆け下りた。気が動転しているからか何度も転びそうになる。


神の扉――王族でさえ立ち入ることを禁じられている、城の地下深くに存在する謎の扉。


息を切らしながら顔を上げる。


石造りの部屋の中央に、白銀の巨大な扉が静かに佇んでいた。


表面には翼を広げた女神が彫られており、その瞳だけが今にも動き出しそうなほど精巧だった。

扉には文字が彫ってあった。


――扉を開かんとする者よ。王の血を捧げよ。


女神が持つ杯には、小さな穴が開いていた。

「……王の血、か」


私は自分の手を見つめる。


王族の血を捧げろということなのだろうか。

他に方法はない。


私は意を決して、指先を穴へ差し入れた。


次の瞬間、


「っ!」


鋭い痛みが指先を貫く。


指先に鋭い針が突き刺さり、血が滲んだ。


そして、空気が変わる。扉が大きな音を立てながら開いた。

その時だった。


「誰かいるのですか?」


廊下の向こうから聞き慣れた女性の声が響く。


エルミ先生だ。


「……先生」


思わず声をかけそうになった。

けれど、口を閉じる。


今は、誰を信じればいいのか分からなかった。


エルミ先生ですら、私を生贄に差し出す側の人間かもしれない。


私は振り返ることなく、開いた神の扉へ足を踏み入れた。


その瞬間――


バタン。


重い音を響かせ、扉が閉じた。


中は薄暗く、冷たい空気が漂っていた。


部屋の中央には、巨大な石像が佇んでいた。


そこに刻まれていたのは、翼を持つ者が、翼を持たない者の胸へ刃を突き立てている姿。


「……なんだ、これは」


王国で語られている神は、民を救った存在だ。


それなのに――そこに刻まれていたのは、民を救う神の姿とは到底思えなかった。


(ここは……何のための場所なんだ?)


私が像を見上げていると、像の上に、人影が立っていることに気づいた。


声を張る。

「あなたは……誰ですか?」


「お前は……」


暗闇の中から、低い声が響いた。


「今回の生贄か。」


その言葉を聞いた瞬間、心臓が跳ねた。


「なぜ……僕が生贄だと?」


暗闇の中から、一人の男がゆっくりと姿を現した。

「我はアルジャ。」


「かつてこの地に繁栄をもたらした者だ。」


「……お前たちが神と呼ぶ存在だ。」

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― 新着の感想 ―
応援できればと思い来ました(^ ^) 繁栄をもたらした神の伝承を、成人式当日に「生贄」の真実として反転させる導入が鮮烈で、一気に引き込まれます。書き手として感心したのは、母への憧れを繰り返し置いて、…
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