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40.賓客


「別に見せもんにする気はねぇ」


年に数回、武闘大会を開催する場所だ。

戦う者には名誉を観客には熱狂を齎す。


今回は無観客だ。


「てめぇらに恥をかかせてぇって訳じゃねぇからな」

「ただ俺の方が強ぇって、てめぇらに

 証明してぇだけだ」

「てめぇらは全員でかかってきて構わねぇ・・・」

「俺は一人で相手してやるよ」


「「 は? 」」


すっかりしょげかえっていたアイルとマグから

同時に声が漏れると同時に空気を澱ませる殺気が

垂れ流された。


てめぇの相手なんて私だけで・・・

お前なんか僕だけで・・・


色々と言ってやりたいことはあったが

先ほどのやり取りがあった手前、続く言葉を

2人が口にすることは無くグッと我慢した。


「はっ・・・」

「別にてめぇらを侮っている訳じゃねぇ・・・」

「これは俺のプライドの問題だ」


その殺気に応える様に覇王子は言葉を続けた。


「てめぇらの事は認めてやんよ」

「認めてやってるからこそ・・」

「だから俺一人で相手してぇんだ」


男の子であるマグには覇王子のその気持ちが

解ってしまう。それはある意味で

最大限の賛辞だ。

だがアイルはいよいよ不機嫌になっている。


何だかんだ言って、私たちのこと

馬鹿にしてる・・・?


覇王子に仕える3人の王子たちは長兄の

漢気に感涙していたがその様すら

アイルを苛立たせた。




「ほぉ・・・?」


よくわかんないけど覇王子と勝負することに

なったと帰宅して報告する2人のその話の内容は

勿論知っていたけれど初耳だと驚くフリを

していることをまだ幼い2人は気付けなかった。


「私に任せてください・・・」

「あいつ・・・」

「あいつ、マグに剣を向けやがったんです!!」


あの野郎、ぶち殺してやる!!

言葉に出さなくても間違いなくそう思っている

であろうアイルはもうこれはもう入れ込みすぎで

お前にだけは任せれんな~と全員が思った。


何か、いつもと違う姉の様子に

戸惑いつつもマグは言葉を繋いだ。


「でもあの人・・・」

「僕らの力、わかんない訳じゃないのに」

「一人で相手するって・・・」


「マグぅ~っ!?」


響く、乾いた声と共にぎょろりとアイルは

マグに目線を移した。

アイルのマグのその言葉を制止する様に放たれる

その言葉はその名を呼ばれたマグはおろか

その場にいた全員を―――

その祖父をすらをもビクッとさせるには

十分だった。


「あなた、解ってる?」

「あいつはもしかしたら私たちの仇かもしれないんだよ・・・?」


おぉう・・・

これは口を挟めないな・・・


「私があいつに解らせてやりますよ・・・」

「ディーエルを舐めたらどんな目に合うかって・・・」


いやもう、どんな言葉ももう目線が何処にあるかすら

わからないアイルのその耳には届かないんだろうな・・・


いや、別にこんな勝負の勝ち負けなんて実際のところ

どうでもいいんだけど・・・


覇王子のその覇気は―――

王の器をその少女以外に感じさせるものだったが

アイルには全くもって感じ取れるものでは無かった。


「私に任せてください!!」


その言葉に頷くことしかできなかった。




「ちっ・・・」


覇王子の舌打ちが響いた。


約束の日に、誰もいないはずの観客席なのに・・・

誰もいないはずの観客席に数多の共を引き連れて

毒を含んだ笑みを優雅にうかべる血の王女の姿があった。


覇王子が望んだ純粋な勝負はいつの間にか

王座をめぐる醜い見世物へと変化してしまっていた。













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