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39.追憶


いや、それにしたってもっとほかの方法はあったと思う・・・


後から現れた覇王子の後ろに控える王子たちは

覇王子の蛮行を聞いて申し訳なさそうな目線を

こちらに向けていた。


「勝負だぁ??」

「それなら何なら今すぐあんたの首をここに

 叩き落としてやろうかっ!?」


身の丈をはるかに越える大剣を担ぐ少女は可憐な見た目と裏腹に

口汚く覇王子を罵っていた。


王国最強の武ともてはやされる自身に臆さないどころか

喧嘩腰の少女を前に覇王子はその狂猛な笑みを深くした。


ははっ・・・


この俺にこれほどの殺気をぶつけてくるやつなんて

いなかったな・・・


そして、それがまさかこんな小娘だなんてな・・・


「何笑ってんだよ?てめぇっ!!」


思わず破顔した覇王子の様は少女を刺激したらしい。


「ふはっ」


覇王子からすれば思わず悪意のなく零れた笑い声に―――


今にも飛び掛からんとする少女は後ろから聞こえた

戸惑いを隠そうともしない声にはっとなった。


「ね、ねぇちゃん・・・?」


「いや、ち、違うんですよ・・・」

「これは違うんです!!」

「違うんですよ、マグ・・・」

「これは、ええっと・・・」

「これは・・・これはね、そう」

「威嚇っ・・・ていうか・・・?」

「そう、私たちを舐めたら痛い目にあうぞっていう」

「そういう警告ですよね?」


え、そんなこと聞かれても・・・?


「だって・・・だって、ほら、私たちはおじい様の孫じゃない?」

「私たちを舐めるって言うことはおじい様を

 侮るのと同じことじゃん?」

「そんなの、ありえないでしょ??」


なんか言葉遣いすら色々と滅茶苦茶になっていた

アイルの言葉はマグの何かに強く刺さったらしい。


「はぁ~っ?」

「うちのじいちゃん・・・」

「最強なんですけど??」

「お前、なめとんか??」


その言葉に触発されたようにその言葉遣いすら

移って覇王子に向かって、 一歩踏み出したマグを・・・


まさかのアイルが叱った。


「こらっ!!」

「何なの!?その言葉遣いっっ!!」


ええ~~~っ??


困惑の瞳を向けるマグをアイルは怒った瞳で見据えた。


「いい?」

「今のあなたはディーエル家の代表なのっ!!」

「あなたの言葉は全てディーエルの品位に

 かかわるものと知りなさいっっ!!!」


何か今日は色々あって感情が揺さぶり続けていた

マグは姉のその言葉にどうしようもなく

悲しくなった。


「ふ、ふぇ・・・」

「ご、ごめんなさ・・・」


「違うっ!違うのっっ!!」

「私はそんなつもりじゃなくて・・・」

「あなたには立派な存在になって欲しくて・・・」

「ああ、もう・・・」

「何ていえばいいいのかしら・・・」

「大好きよ、マグ・・・」


ふいに与えられた、抱きしめれらた

姉のその体温にマグの瞳からは涙が溢れた。


互いに抱きしめ合って、わんわんと泣き叫ぶ二人の姿に

その場にいた誰もが思考を停止した。


・・・これどんな状況??


思わず、末の王女にはその場にそぐわない笑みが

浮かんでいた。


そういえば—――

この娘、初めて会った時こんな感じだった。


今、この一瞬を全力で生きている様なこの感じ・・・


ありがとう


あなたが今、この時を、この一瞬を

その生を全力で生き抜こうとするその懸命さが、

その生命の輝きこそが私に力を与えてくれたんだった。





「で・・・勝負って・・・?」


「お、おう・・・」


互いに泣きはらしながら目を擦って随分と

しおらしくなった2人が自らの言葉の真意を問う姿に

困惑する様に覇王子は答えた。


「いやな・・・」

「あ~、その・・・」

「この国にはコロシアムってもんがあってだな・・・」


覇王子はその名に恥じりそうなほどにおずおずと

言葉を続けた。





『さっ、流石は我が主・・・なの?』


何故か疑問形なことは置いておいても

影の中で戸惑いながらもその言葉は続いた。


『だって、この状況を収めるなんて凄くない?』

『でしょ??』


いや、お前もいつもと比べて随分と言葉が

おかしくなってんぞ?


その疑問の言葉を口にするものはいなかった。











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