肉食系お嬢様?
空を真っ赤に染める夕日を見ながらキャロルはウロウロと橋の手前を右往左往していた。
「ちょっとどうすんのよ。そろそろ日が暮れるわよ」
夕暮れに近付き、既に橋の入り口には分厚い扉が下されている。
「そろそろ日が暮れます。魔族が出現する前に家に帰られる事を推奨しますが?」
橋の番人が三人に注意を促した。
「そうね。あなたはもう戻った方がいいわ。依頼の品はゴールドに持たせるから」
「キャロルさんは?」
「私は帰れないわよ。バイク置いて一人で帰ったらハルトに何を言われるか分かったものじゃないし」
キャロルの言葉にリリアンの顔色が深く沈みこんだ。胸の前で拳を握り締め、眉を下げながら頬を染めている。この表情の意味する所は………
(もう一度ハルトに会いたいって所かしらね。やだ。この子本当に恋しちゃったんだわ)
本当の性格を知ったらどんな顔をするかと思いながらもキャロルは「はぁ」と息を付いた。だがしかし、リリアンの気持ちは分からなくも無い。出来れば自分ももう一度ヴラドに会いたいと思っているからだ。あの優しい異性の笑顔はまさに心のオアシス。レニもオアシスだが、性別が違うだけに癒され方もまったく違う。
そんな事を考えていると橋の手前の壁に備え付けられた頑丈な鉄扉の裏側から大きな音がこだまし、キャロルとリリアンは肩をすくめた。
どうやら中で蹴り付けているらしく、番人が急いで扉の鍵を開ける。それと同時に扉が勢いよく開かれ、中からゴールドの片手を担いだハルトが姿を現した。
「ハル……」
「ハルト様!」
キャロルより先にリリアンが嬉しそうに白衣の男に駆け寄った。
「ご無事だったのですね! お怪我はないですか?」
「問題ねぇよ。おい、やめろ」
額の汗を自前のハンカチで拭おうとしたリリアンは簡単にあしらわれてしまったが、彼女の目はそんな事などお構い無しに少女マンガのように光り輝いていた。
その様を唖然と見つめながらキャロルは引きつった声で、軽く笑う。
(あの子すごい。ずかずか行くわね)




