変態を背負って帰路へ
胴から離れた首はゴールドの体と一緒に階段を転がり、見事彼の顔の前で止まった。
「ん?」
目の前におぞましい魔族の首が着地し彼はこの世の終わりのような悲鳴を張り上げながら失禁、失神した。
「おいおい、テメェが失神してどうすんだよ。誰が地面這いつくばってカメオを探すんだ?」
銃を腰に差しながらハルトは階段を下り、舌打ちをした。
女王が倒されれば他の働き蜂たちはもう襲って来る事はない。階段の下で潰れた蛙のように失神する男を足で揺さぶりながら溜息を付く。
「くそっ!! マジかよ! この俺が犬みてぇに這うなんて冗談にしても笑えねぇ」
そう言って、ゴールドと見合いをするように転がる魔族の首を持ち上げると………その下に白いペンダントが映え映えと存在を誇示していた。
手に取るとリリアンの顔が彫られている。
「はっ…依頼完了」
笑い飛ばしながらハルトはカメオをポケットにしまい、場所を後にしようとしたその時、彼の足がピタリと止まった。
「だ、ダメだよハルト! ゴールドさんも連れてってあげないと!」
いきなり出てきたレニが後ろを振り向く。
「レニ! お前何出て来てんだよ! 危ねぇから中に入ってろ!」
「ダメだよ! この人も連れて行ってあげないと食べられちゃう!」
差し伸べた手がピタリと止まった。
「ふざけんなよ! こんな小便漏らした変態を背負っていけってのか?」
「そうだよ! 連れて行ってあげないとレニ………」
しばらくしてレニは一人で叫んだ。
「ハルトの事許さないから!!」
その言葉に一人二役の台詞がピタリと止まる。
沈黙する事数分、『ハルト』は唇を噛み締めながら見捨てようとした男を睨み付けた。
「くっそ…何で俺がこのクソ変態を…」
レニの言葉がかなり利いたのか、ハルトは仕方無しにゴールドの片手を肩に担いだ。
「これでいいのか! ああ? これでいいんだろぅが! だからもうこんな所で出て来るんじゃねぇぞ!」
片手だけを担いだハルトはゴールドの体を乱暴に引きずりながら上の頂上への道をぶつぶつ愚痴りながら戻って言った。




