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変態の鏡

「えっ? ちょっ…なん…」

 状況が飲み込めず、オドオドしていると不意にゴールドがキャロルに歩み寄った。

「ユー! 特Sのハルトはどこざます!」

「いっ…居ないわよ! 私はこの依頼を受ける気は無いって言いに来たんだもの!」

 その言葉に真っ青になったゴールドが声を潜めながらキャロルを攻め立てた。

「何を言ってるざますか! ユーにはハルトにミーの補助を努めるように話を通せって言ったざましょ!」

「なっばっ…バッカじゃないの! そんな事聞いてないし、ハルトがそんな事了承するわけ………」

 思わず叫んだキャロルの口を慌ててゴールドが塞ぐ。そして、後ろで首を傾げているリリアンに苦笑いで答えると、再び声を潜めた。

「それは困るざます。もうリリアン嬢にはミーがカメオを探してくるって言ってしまったざます」

「それならあんたが行けばいいじゃない。そろそろSに昇進なんでしょ!」

「無理に決まってるざましょ! 自慢じゃないざますがミーは膨大なワイロの元、ギリギリでE級ライセンスを取得した、ただの金持ちざぁますよ!」

 本当に自慢にもならない事を叫びながらゴールドは頭を掻き毟った。

「ああぁぁぁぁ! どうしたらいいざますか! リリアン嬢に失望されてはミーはもう生きて行けないざぁますぅ!」

 その取り乱しようにキャロルは眉をしかめた。

(こいつ、あのリリアン嬢に惚れたな)

「大丈夫よ。カメオを探しに行って死んだなら失望はされないわ」

 精一杯の慰めの言葉? をかけるキャロルにゴールドが涙と鼻水で濡れた顔を上げた。

「なんって女ざぁますか! このっ美人局つつもたせ!!」

「なっ! つつもたせ? この期に及んでつつもたせって何よ!」

「美人局は美人局ざんしょぉがぁ! 特Sのハルトのサポーターやってるくせに野良サポーターを装って、寄ってきた狩人を片っ端から締め上げるなんて! 美人局以外の何でもないざますよ!」

 ぶち切れたキャロルの足がゴールドの股間を蹴り上げた。

「ンノオォォォォォォォォォォォン!」

 ゴロゴロと悶絶しながらゴールドはリリアンの足元に滑り込む。

「きゃぁ!」

 リリアンのスカートの中を覗くように倒れ込んだ彼は、急いで立ち上がると股間を押さえながら彼女のスカートにすがり、必死で誤解を解こうとしていた。

 その姿は完璧なまでに、まごう事なき変態の鏡に相応しい。


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