半乳の服
「ちょっと……」
キッチンに立つレニの背後からキャロルの震える声が静かに聞こえた。
「あっ!ピッタリですね!」
「いや、そういうんじゃなくて…この服選んだのって…」
「ハルトです。ハルトは凄いんですよ。どんな女の人の身体でも触っただけでサイズが分かっちゃうんです!」
「触っ………」
いやっもうどうでもいい。大抵一流の狩人というのは肉食系でスケベだ。もう触ろうが触るまいが自分の意識が無かった時にされた事はこの際忘れよう。センスだって悪くない。どちらかというといい方だろう。
だが…
「レニ。あなたから見てこの服はどう思うかしら?」
「ステキですよ。そのコルセットみたいなミニスカートとか、首に巻いたリボンのチョーカーとか。特にその大胆に開いた胸元が…」
「開きすぎでしょう!上乳下乳所じゃないわよ!半乳よコレ!」
「で、でもオッパイおっきいから、すごくカッコイイですよ。レニは…」
自分の胸に目を落としレニはハァ~と残念な溜息をついた。しかし、すぐに顔を上げ、満面の笑みを浮かべる。
「でも本当にステキですよ。その服を着こなせるキャロルさんが凄いです!その薄紫の髪と上品な服の紫が……」
「も、もういいわよ。命を助けてもらったんだし・・・それ以上言われると恥ずかしくなる」
セクシーすぎるヴィジュアルは置いておいて、この服はかなりいいものだ。恐らく昨日まで着ていた形だけの安物とは比べ物にならないだろう。
「そうですか!それじゃご飯にしましょ!」
キッチンに置かれたテーブルにはすでに美味しそうな料理が並べられていた。
その中で一番キャロルの目を魅いたのは中心に置かれた肉料理。
大した収入を見込めない三流狩人の即席助手を務めている彼女は実に貧相な生活を送っていた。肉が食べられるのはそこそこの狩人につき、そこそこの収入を得られた時に限られる。
「す…すごいわね。これあなたが一人で作ったの?」
「はい。結構小さい頃から作ってたんで、料理は出来るんです」
へぇ……と感心しながらキャロルはそそくさと二つある椅子の一つに腰を下した。
ずっと気を失っていたためか、席に着くなり腹が馬鹿でかい音を上げる。
(うわっ!なんて素直な体よ!そんなとんでもない音で…)
あまりの巨大な音にキャロルは苦笑いを浮かべた。しかし、対面するレニは可愛らしい笑顔を讃えたまま温かな紅茶を注いだカップをキャロルに差し出した。
「あ、ありがと。じゃ、お言葉に甘えていただくわ」
中央に置かれた温かな肉料理にまず手を伸ばしたキャロルは久しぶりの肉を口にするなり、恥も外聞もなく料理を口に運んだ。最近まともな食事をしていなかった為かもう既に押さえは利かない。




