六桁の服は服じゃない!!
「キャロルさぁーん! 見てください! この服可愛いですよ!」
まだ日が高い午前、キャロルとレニは二人で街一番の商店街に来ていた。
長い直線の通りを挟むように、様々なブランド店がずらりと並んでいる。
女の子らしくはしゃぐレニが提示した服を手に取るとキャロルが悲鳴を上げた。
「うおおぉ! 6桁! ろっけたぁぁぁぁ!」
「ねぇ! 着てみてくださいよ! キャロルさん足長くてオッパイおっきいから絶対似合いますよ!」
そう、彼女等が今日ここに来たのはキャロルの服や下着を新調するためだ。
ハルトに拾われてから三日目でようやく収入を得た彼女はレニがいつも服を購入しているとされる店に訪れたが…
「レニ、あなたいつもこんなに経済的に良くないお店で服買ってるの?」
レニから手渡された六桁の服をさり気なくハンガーに戻しながらキャロルは店の中を見渡した。
確かにいい服が揃ってはいるが、それと比例して値段がバカ高い。
(私は三桁の服をコーディネイトして今まで着てきたのよ。それが倍って…桁数が倍って有り得ないでしょ)
ずらりと並ぶ服を楽しそうに選び、何着か手にしながらレニがにっこり頷いた。
「レニの服は全部オーダーメイドなんです。ハルトの仕事がすごいハードだから、丈夫じゃないとすぐに破れちゃって」
確かに、この三日間を見ているとレニのの服装はいつもライダースーツを髣髴させる皮製のコートだ。十四歳の少女が好む可愛らしい洋服は持っていないとも言っていた。
「レニ、あなたもっと可愛い服とか着たいと思わないの? スカートとか…」
キャロルの言葉にレニは目を丸めた。
「えっ? 可愛い服? スカート?」
「そうよ。わざわざハルトに合わせてそんな男の子っぽい服を毎日着る必要ないでしょ」
「えっ…と。え? レニ、そんな事考えた事もなかったです」
意外な言葉にキャロルは口を開けたまま愕然とした。
「え? え? えぇ? …か、考えた事ないって…ええぇぇぇ?」
「だって、これ、すごく動きやすいし。すごく体にピッタリしてるから」
「そ、そそそそ、そういうものじゃないでしょ? レニは女の子なのよ?」
キョトンとしながら見つめてくる少女にキャロルは頭を抱えた。
「そうよ! ちょっと! ちょっと来てごらん! ほら」
そう叫ぶとキャロルはレニの体を店の奥に引きずって行った。
服を選ぶ事数分、試着室から恥ずかしそうに姿を現したレニにキャロルは目を輝かせた。
「やっだ! レニ! あなたものすっごく可愛いわよ!」
「で、でも、何か足がスースーします」
「何言ってるの! 大して短くも無いスカートでスースーって、私はどうなるのよ!」
「キャロルさんは足が長いから…」
「四の五の言わない! 店員さぁーん! これ着て帰りまーす!」
レニの言葉に全く耳を貸さずにキャロルは手を上げた。
「それじゃ今度は髪型を変えてみましょうか」
サイズと値段を見て、自分の服を適当に選ぶとキャロルは昨日貰った報酬で素早く会計を済ませた。




