この子の行く末が不安です
手にした事の無い高級食材を何とか高級シチューに加工することに成功したキャロルは食事の後にレニと女同士の雑談を楽しんでいた。
いくら七歳も年下の少女とはいえ、仕事を見つけるのに必死でろくに友人もいない彼女には、このガールズトークがとても新鮮だ。
レニは素直で愛らしくて、あの『ハルト』と言ういけ好かないドS男の特S狩人とは大違いもいい所だ。
甘いミルクティーを飲みながらこの至福の時に身をやつしていると、不意にレニが何かを思い出したかのように「あっ」と声を上げた。
「え? 何? どうしたの」
「あの、ちょっと待っててくださいね」
席を立ったレニは、間もなくして紙に包まれた四角い物体を持って戻って来た。
そしてそれをキャロルの前に差し出し…
「一割じゃ少ないような気がするんですけど、ハルトが一割でいいって…」
「一割?」
「えっと、キャロルさんの報酬です」
素晴らしい微笑を浮かべながら明るく言い放つレニの言葉に、ティーカップを持つキャロルの手が止まった。
放心状態で目の前の紙に包まれた『物』を見ると、ゆっくりと震える手でティーカップをテーブルに置く。
(一割? いやっ一割って…あいつの首は確か五千万で…その五パーセントを紹介場に手数料として支払って…えっと一割って言った? 一割って十パー…いやいや、まさか、そんな事はない! 一パーセントの間違いだろう)
今までフリーサポーターとして色々な狩人に付いてきたが一割の報酬はもらった事はない。
大抵報酬の5パーセントがいい所だ。
今までの最高クラスのB級狩人から得た報酬でも数十万が最高額で、あの時は嬉しすぎて涙が出た。
あと数センチの所で手を止めたキャロルをレニが不思議そうに見つめた。
「キャロルさん? キャロルさんの報酬ですよ?」
その言葉に背中を押され、キャロルは意を決してそのずっしりと思い紙包みを手に取り、恐る恐る膝に乗せると、弁当箱の包みを開くように中身を拝見…………
「なっ…こっ……ごっ…5っ………」
紙から姿を現した膝の上の代物に声を失っていると、その向こうからレニが申し訳なさげにさらりと言い放った。
「五百万じゃ…少ないですよね」
その言葉が耳に届くと同時にキャロルの身体から力が抜け、彼女はソファに昏倒した。
「キャ、キャロルさん? キャロルさぁ~ん!」
(特Sって…価値観も…収入も…化け物だわ)
意識が遠のく中でキャロルは、この世間の価値観の違いすぎる少女とあのドS男の間で暮らしていく自分に悲観していた。
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