脅しで入手したライセンス
辛うじて日が落ちる前に許可証を手に入れたキャロルは帰るや否やソファに倒れ込んだ。
簡単な手続きで終わるだろうと思っていたが、その手続きがとんでもなく面倒くさかった。
この世の中、狩人というヒーロー的な職業の最上級で、特別室に通されたのでそれなりの優遇が効くだろうと浅く考えていたが、大間違いだ。
特S級の補助士には向いていないとか、経歴が浅いとか、知識がないとか、もはや悪口にしか聞こえない言葉が役人の口からポンポン出てきた時には本気でへこんだ。
ハルトなんかあまりの面倒くささに「もう補助士いらねぇ」などと言い出して危うく申請を取り下げられる所だった。
サポーターの運動神経がずばぬけて好成績だったが、役人はそれでもハルトに「本当にこんな補助士で大丈夫か?」「役不足もいい所ではないか?」「あなたの足を引っ張る可能性しか見当たらない」などと言って認めようとはしなかった。
とうとう痺れを切らしたハルトがとんでもない事を言い放って納得してはくれたが、そのとんでもない事が本当にとんでもない言葉だった。
「どんな役立たずでも俺が調教すりゃそれなりになるんだよ!」
ほぼ脅しが入っていたが、その言葉にはキレそうになった。
「役立たずって…調教って…私は犬か!」
そう愚痴りながらキャロルはおもむろにコートの内ポケットから漆黒のカードを取り出すとそれを見つめた。
精神的ダメージが一気に吹き飛び、顔が輝く。
「すっご! これを見ると私凄すぎる」
黒光りするカードにプラチナの文字で[ASSISTANCE SS]と書いてある。
これでどんな高額首でも代行として換金出来るし、S級以上の狩人のみに許された億単位の魔族リストも閲覧可能だ。
ただ一つ気に食わないのが、カードの後ろにある証明写真だ。
キャロルはもちろんの事、その上には隠し撮りっぽいアングルで写るハルトの姿がある。写真撮影をよく思わない『彼』を役人が命がけで撮った決死の顔写真だ。
「こいつの写真の下に私の写真があるってのが…アレだけど…仕方ないわよね」
しかし、レニと同一人物にも関わらず、『ハルト』の時は本当に男の顔だ。年齢も遥かに高くみえる。
「こんなに変わっちゃうんだものね」
『彼』が言いかけた『彼だけの過去』というのが気にはなるが、ハルトはあまりそれを話したくはないようだった。




