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お隣の氷姫は、ぼくにだけ微笑む  作者: こねこねこ
第3章 佐藤綾香の秘密

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消えたUSB①:陸上少女、話をする(未)

 七月になり、期末テストが終了した。

 桐島先輩はこれまで通り、秘密の部屋に入り浸っている。

 澪とは、仲良くやっている。陸上部での問題も解決したらしい。

 星野先輩とは本当に仲良くなったらしく、よく話題に出てくる。

 姉さんは、たまに家に泊まりに来る。

 漫画の連載も順調なようで、たまに預金通帳を自慢げに見せつけてくる。

 順調そのもの。

 あとは夏休みを待つばかりの平和な日々だった。


 だが――事件は起きた。

 とはいっても、今回の事件はぼくには関係のないものだ。

 身近な人間がターゲットになったわけでも、犯人になったわけでもない。

 傍観しようと思えば、傍観できたものだ。


 だが、ぼくは関わることになってしまった。

 ついつい、介入してしまった。


     ×××


 ある日の朝、学校の玄関に人だかりが出来ていた。

 生徒たちは、掲示板の前に集まっているようだった。


 ――普通の掲示物にしては、注目を集め過ぎだな。


 後ろから覗いてみると、そこには二枚の掲示物があった。

 片方は何かの表のようで、細かい文字が書かれている。

 何が書かれているのかは、遠目からはよく分からない。

 ただ、周りの声を聴いていると、そこには個人情報が載っているらしい。


 そして、もう一枚の方――。

 こちらは大きな文字が記載されていた。


『これらの情報を漏らされたくなければ、

 恥ずかしい秘密を暴露しろ』


 これがその内容だ。

 ちなみに、こちらは大きな文字で印刷されていた。


 つまり――。

 この学校の個人情報を手に入れた人間がいるらしい。

 そして、それを使って脅迫をしようとしているようなのだが――。


 ――なんだ、これ?


 明らかにおかしい。

 脅迫文にしては、内容が大雑把すぎる。

 まず、要求の相手が書かれていない。

 それに『恥ずかしい秘密』というのも抽象的だ。

 誰に、何を暴露してほしいのか――それが伝わってこない。


 まぁ、ただの悪戯だろう。

 犯人を見つけるのは、難しいだろう。

 学内に監視カメラはない。

 貼るところを捕まえなければ、犯人の特定も出来ない。


 ――どうでもいいか。


 そう考えていると、教師が現れた。

 国語教師の前田先生だ。

 外見が非常に整っており、教師でありながら『王子』などと呼ばれている。

 そのモテっぷりは生徒を差し置いて学内一。

 バレンタインの日など、教卓の上がチョコで溢れるとか。

 前田先生は、爽やかな笑顔を浮かべながら掲示板に向かった。

 そして――。


「おや、これはいけないね」


 まるでお芝居のように、軽やかに紙を剥がした。

 その動作を見た一部の女生徒が、黄色い声を上げる。


「さぁ、君たちは教室に行きなさい」


 前田先生がそう言うと、生徒たちは素直に従った。

 こういうところは、進学校らしい。

 それにしても、個人情報の流出と脅迫か。

 割と大ごとになってきたような気がしなくもない。


 ――まぁ、後のことは職員室で決まるだろう。


 ぼくが関わることはない。

 そう思っていた。


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