第22話 紅蓮の魔皇
「下等な人間の血を引く不純種な貴様が、俺様を葬る、だと? 強弁を吐くのも大概にしろよ、魔族を腑抜けにたらしめる害虫が!」
挑発を意図してかはさて置きとして、真奈の言葉が癪に障ったアスタは掌に火球を生成して射出した。
高速に迫る火球に真奈は微動だにしなかった。
反応できなかったわけではなく、そもそも避ける必要がなかったからだ。
「この程度の炎じゃ、誕生日ケーキの蝋燭にもならないよ」
着弾した炎に包まれて尚、真奈の表情に難色を帯びることはなかった。
自身を包む目障りな炎を腕で払う真奈から王の気品すら感じられる。
火傷を負わない真奈にアスタは舌打ちして距離を空けるために後退する。
「下等な人間との混血種とはいえ、半分は王家の血筋。炎の耐性があるよな」
創世記に赤の国を建国し、今代まで国を治めてきたサタルディーネ家は全ての炎を司ると称された一族。故にサタルディーネ家で生を受けた者は大小あれど炎を継承する。
だが、真奈は的外れもいいところだと言わんばかりに失笑する。
「確かに、私は自分が炎を使う関係上、炎に耐性はあるよ。だけど残念。魔界は広く、魔族は多い。私を焦がす魔族だって沢山いる。例としてあげるなら、貴方が散々馬鹿にしてきた、私の父、先代魔王エルドラシェルとかね」
皮肉を込めた冷笑を浮かべる真奈にアスタの全身に電流の様な戦慄が迸る。
眼前に立つ者は、いつもアスタからの非難囂々を諂っていた魔王なのか。
「さて、大分時間も経って、ホロウ達も射程圏外まで離脱してるだろうから、そろそろ私が――――貴方を葬ってあげるよ」
真奈の威圧を纏う紅の眼光は戦場を震撼させる。
一瞬、首を捕まれ生殺与奪の権を握られたかのような悪寒を感じ取ったアスタの体は身震いする。
が、性根が腐っても高貴な家柄出身でプライドの高いアスタは、野心とは裏腹に襲い来る恐怖を払拭するために、自身の太ももを殴り。
「何度も何度も何度もぉ! 癪に障る戯言をほざくな半端者がぁあああ!」
激昂して殴りかかるアスタに真奈は再び微動だにせず直撃を受けた。
上級魔族の拳打は一撃で人間の頭蓋骨を容易く砕くだろう。
拳が当たり満悦なアスタ。だが、その嬉々な表情は一瞬にてして凍り付く。
「自身ありげに殴ってきたけど、この程度? 虫が止まったのかと勘違いしたよ」
怪我どころか、殴られた地点から僅かも後退する事なく涼し気な表情の真奈。
「あ、ありえない……」
「残念。現実だよ」
現実を直視できてない絶望した表情のアスタに、真奈は薙ぎ払いの裏拳でアスタの頬を叩いた。
「ぐあっ!」
叩く、と表現するがアスタが受けた衝撃は生易しい物ではなかった。
頑丈なアスタが意識が飛びかける程のダメージ。
十数メートル先の地面まで滑るアスタは朦朧とする視界で真奈を見上げ。
「な、なんだ、今のは……!?」
「なんだ、って言われても、ただの裏拳だけど? 軽いジャブみたいな」
手をぶらぶらさせて主張する真奈。
叩く動作は遅かったからその言葉に偽りはないのだろう。
「ち、ちくしょう……!」
僅かに後ずさるアスタに、真奈はあることを思い出す。
「そうだった。まず最初にすることがあったよ」
そういって真奈が震脚すると地面に波紋が広がり、アスタの魔法で灯された炎が一斉に鎮火する。
直後、周囲に熱風が吹き、真奈とアスタを囲むように半径100メートル程の円蓋が生成される。
アスタの炎を消し去り、真奈の炎が包み込む。
まるで、真奈の膨大な魔力がアスタを掌握したかのようだった。
「私を散々虚仮にしてくれたんだからね。逃亡なんてつまらないことはさせないよ」
天蓋まで覆う巨大な炎ドーム。
アスタが真奈に恐れ戦き、敵前逃亡するのではと危惧してのことらしい。
アスタは爆破の魔人で、爆破は炎の系譜だから炎の耐性はある。
しかし、アスタの肉体は警鐘を鳴らす。
この真奈が生成した炎ドームはアスタの身を消滅させるほどの高熱ではないのかと。
それを受け入れ難いアスタは喉を毟りながらに咆える。
「あり得ねえ、あり得ねえあり得ねぇええ! こんなの、自分の実力を大きく見せようとするための虚仮脅しだ! 俺様が貴様如き混血種に劣っているわけがないだろうがぁあああ!」
アスタは両手に火球を発生させ乱射する。
「はぁ……まだ受け入れられないなんて。ここまで来るとその負けず嫌いが羨ましく思うよ。見倣うつもりは毛頭ないけど」
無数の火球は真奈に着弾するが、やはりダメージは皆無。
真奈にとってアスタが放つ火玉など、風に舞って体に当たる木枯らしの如く、こそばゆいものだった。
「くそがぁつ!」
憤慨して冷静さを欠けたアスタは火球同様にダメージを与えることができなかった拳打で真奈に接近した。
真奈は呆れを通り越して失笑する。
「これ以上親しくない相手に触られるのは不愉快だからね。貴方相手にはこれで十分」
避ける道理もないが当たる道理もないと真奈は人差し指を立てて構える。
放たれた拳を真奈は下から指で弾き、アスタの拳を天に掲げさせた。
「貴方の言う通り、私は魔族だけでなく人間の血を引く半端者かもしれない。けど、だからと言って弱いと決めつけるのは早計すぎるよ。そのことを骨の髄に知ることだね!」
体勢を崩したアスタの腹部に今度は真奈が強烈な拳打を穿つ。
腹部にめり込む程の衝撃は貫通してアスタの後方の地面を抉り取る。
「うぁあ、あ、あっ……!」
言葉にならない呻き声を漏らしながら倒れるアスタ。
口端から涎を漏らし悶える様は、尊厳を無惨に砕き散らすだろう。
胃から逆流する吐き気に耐えながら、アスタは震える唇で真奈を見上げ。
「うそだ、これは何かの間違いだ……俺が、俺様が貴様のような奴に負けるなど……」
「現実は残酷ってことだよ。さあ、貴方はかなり好き勝手してくれたからね。裁判を待たずにこの場で私が粛清してあげるよ。まあ、これ迄の行いを悔い改めるなら、魔王の慈悲でこれ以上苦しませずにその身を燃やし尽くしてあげるけど、どうする?」
赤い瞳が冷酷にアスタに実質的な死刑を告げる。
蹲るアスタだが、彼も一応は高貴な家柄出身。
半端者に敗北などあり得ないと、アスタは悪足掻きに火球を真奈に放つ。
「くだらない」
無様な抵抗に辟易する真奈は火球を腕で薙ぎ落とす。
火球が爆散して広がる炎で真奈の視界は一瞬アスタを見逃す。
アスタはそれを狙っていた。
真奈の隙を作り、アスタが使用できる魔法の中でも最高火力の切り札を発動させるために。
「消えろ魔族の尊厳を踏み躙る害虫が! 『爆ぜりし混沌に導くは崩壊の息吹、我が野心を抱いて、目の前の牙城を爆炎へと誘え』!【爆裂崩撃】!」
アスタが放つは先程街の一角を荒地にした爆破系の上級魔法。
地面を抉り、大気を薙ぎ払い、爆風を巻き上げながらに直進する爆炎。
アスタは確信していた。自らの才能の象徴たるこの魔法を発動できれば魔王を打ち滅ぼすことができると。
「あの小僧を焼いたのと同じ炎で朽ちることを有難く思うんだな!」
颯太は真奈との契約で一命を取り留めたのだか、それを信じないアスタは完璧に発動できたことで勝利を確信するが、真奈は唇の端を噛み。
「これで颯ちゃんを……許さない」
迫り来る広範囲の爆炎を前に真奈は綽綽と構えた。
「良いよ。貴方が納得するために見せてあげる。王の炎ってものを」
真奈は臆することなく詠唱を告げる。
「『万物を灰燼に還す地獄の劫火よ、螺旋に踊りて、全てを嗤え』! 【獄炎乱舞】!」
詠唱を言い終わり、炎を纏う両腕を薙ぎ払い生じる獄炎が螺旋を描き、アスタの爆炎と真正面から激突する。
周囲の岩さえも溶かす熱風と熱線が撒き散らす炎同志の衝突。
「な、なんだと!? 俺の全開の炎が、焼き尽くされるだとぉ!?」
アスタの爆撃は街の一角を消し飛ばす程の高威力であったが、真奈の放つ獄炎はそれを凌駕する破壊力。
アスタの爆炎は真奈の獄炎に吞み込まれ消滅。撃ち勝った真奈の炎はアスタを更に呑み込み焼き尽くそうとする。
「ぐぁああああああああっ!」
火達磨となり悶絶するアスタ。
「な、なぜだ……。3年前、貴様は俺に手も足も出なかった出来損ないだったはずなのに……!」
火に包まれながら絶叫をあげるアスタをこのまま放置すれば絶命しただろうが、真奈は指を鳴らして鎮火させる。
所々が焼かれ爛れた皮膚から悪臭と煙を立ち昇らすアスタに真奈は告げる。
「貴方が言ってるのはあの時の親善試合のことだよね? あの時から私も成長しているから、あの頃の実力のままだと思わないことだね––––––––って、こっちの方が貴方的には少しでも尊厳が残せるから良かっただろうけど残念。正直に話すと、あの頃でも全然あなた程度なら造作もなかったけどね」
「な、なんだと……」
苦痛の表情を浮かべるアスタに3年前の真実を教える。
「私から見て貴方は自尊心の塊なようなものだったし、私を混血種の出来損ないだって蔑んでいたのは感じ取れた。そんな貴方に勝てば、貴方は癇癪を起こして使用人に八つ当たりするんじゃないかって危惧して、貴方に気持ちよく帰ってもらうためにわざと負けてあげたの。いわゆる接待ってことだね」
3年前と比較して真奈の体格や魔力は格段に成長しているが、当時の頃から真奈とアスタの実力差は確実に真奈を上位に置いていた。
真奈は心配性でお人好しな所があり、子供の様に癇癪を起こして簡単に周りを殺すアスタの危険性から、自分の王族としての名が汚れようとアスタに使える使用人達を思って八百長を行った。
それが3年前、アスタが真奈に勝利できた真実。
余談だが、この事は観戦していた真奈の姉には真意を見透かされていて、その後にこっぴどく怒られたのは言うまでもない。
「う、嘘だ……そんな事、信じるわけが……」
「今更信じて貰う必要はないよ。けど、ぶっちゃけ反省だね。私の甘さが貴方の自尊心を更に膨張させて不逞を働く結果になってしまった。その責任は取らないとね」
真奈が魔力を高めると地面は砕かれ、2人を囲む灼熱の炎が激しく揺れる。
片手を構える真奈は先の炎で足を焼かれて立つ事もままならくなったアスタに告げる。
「冥土の土産として最後に話をさせてもうらけどいいかな?」
確認する真奈だが元よりアスタの有無など関係なく、彼が答える前に真奈は語る。
「貴方達は前から私やお父さんに対して「魔族の本懐は争いの中にあって、その矜持を奪うのは最大の愚弄だ」みたいに進言して来た。それに対して明確な答えを出す事が出来ず、貴方達にかなりの不信感を抱かせる事になった。それも今回の騒動の発端の一部だと思う。本当に、王として恥ずかしい限りだよ」
突然の語りに呆然とするアスタだが、真奈は自身の魔力で覆った炎の天蓋を仰ぎ続ける。
「私は別に、貴方達が語る思想や魔族の在り方を否定するつもりはなかった。魔族が古来より戦いに明け暮れ、その中で繁栄を築き上げた種族であるのは歴史が語っている。私が目指す理想は先祖を含めた全ての魔族が積み上げて来た伝統や矜持を踏み躙る悪政ではないのかって。だから私は、自分が行なっている事が正しい事だと思った事はないよ」
人間界の歴史を辿っても完璧に統治された王政など存在しなかった。
「誰かの正しいは、誰かの間違いで、誰かの間違いは、誰かの正しい。私が尊敬する人が言っていた言葉。確かにそうだと思った。善悪なんて人の価値観で大きく変わるもの。だからこそ私は、ずっと迷って来た」
先も言ったが、真奈自身は己の行いが正しいものだと確信はできていない。
平和を望むやり方が魔族の尊厳を踏み躙るものなら、すべきではないのかもしれないと心の隅で葛藤をしていた。
「そもそもな話。私の理想は両親から受け継いだもの。最初から私が見つけた夢じゃなかった。憧れはあった。素晴らしいと思った。だから両親の理想に感銘を受けて自分も目指そうと思った。けど、改めて王となって全体を見た時、どっちが正しいんだってずっと悩んできた」
偉大な人物に憧れ、自分もこうなりたいと思う事は不思議な事ではない。
だが、本気で目指す者は少ない。目指しても途中で諦め、挫折して夢を捨てる。真奈は憧れを目指し、踠きながら進んでいる。
真奈は理想を捨てることはしない、違う、出来ないのだ。
もし真奈が理想を捨てれば、両親が築き上げたものが崩れ落ちるのではと。
そうなれば魔界から両親の痕跡が消え、両親の頑張りが気泡となって消えるのではないかと思った。
両親の理想に憧れを持ったのは事実。
だが、それが本当に果たすべきなのか、己の王道が見えず迷っていた真奈だが、彼の言葉に真奈は胸を打たれた。
「だけど、貴方達が街を破壊した事、罪もない多くの人たちを恐怖させた事、私の大切な人を傷つけた事、私は本気で怒ってる! 最初は憧れだったかもしれない。けど、今は違う! 多くの残酷な理不尽から笑顔を守る! それを邪魔するなら私は全面的に貴方達と戦うつもりだ!」
真奈の決心と燃え滾る憤怒の感情に同調して大地が鳴動する。
「な、なんなんだこの息苦しいまでの魔力は……!? この俺が魔力だけで圧倒されているとでも言うのか!?」
真奈の魔力は恐らくアスタの十数倍あるのに加え、魔力の濃度と言うべきか真の強者の魔力の質は上級魔族でさえ毒になり得る特性を持つ。
「それに貴様のその姿……聞いた事がないぞ! 貴様の姉どもと違って貴様の半分の血は人間のはず!? なのに、なんだその姿は!?」
意図的に自らの肉体を変化させる魔族は珍しくはない。
だが普段は一般的な魔人の姿をしている真奈の異常な程に形体変化に驚愕を禁じ得ないアスタ。
真奈の憤怒に染まった紅蓮の魔力が大地を割り、大気が唸りをあげる。
「なんなんだ……なんなんだ、貴様は!?」
未だかつてない重圧に焦燥するアスタは枯れた喉で必死に叫ぶ。
真奈から発せられる紅蓮の魔力が周囲の温度を高騰した事で、大気中の水分が殆ど蒸発し、炎のドーム内は無水状態に陥っている。
その場にいるだけで焼け死にそうになる状況はまさしく地獄そのもの。
そんな過酷な空間でも、真奈は汗一つ流すことなく、威風堂々と構える姿は王の風格。
この空間の支配者たる真奈は紅の瞳でアスタを睨み。
「私を悪だと罵ってくれていいよ。けど、貴方の様な非道な人たちの所為で、罪もなく理不尽に踏み躙られ悲しむ人がいるなら、私は戦い続ける。それが、どれだけ私の手が汚れようと、その業を生涯背負って」
恐らく、真奈が進む道は荊の道で困難であろう。
不安だらけだが、怖くない。
時間が経過するにつれて徐々に魔力も熱も上昇を続ける空間。
既にアスタの心は砕かれ、真奈の語りが耳に入っていたかも定かではない。
赤の国の上流階級の者達は自信過剰が多い。
恵まれた血筋に生まれ、血統と地位に胡座を描き、生まれてから一度も鍛錬をした事がない貴族も珍しくはなかった。
だが、その者達は揃って、予想だにしない出来事に直面した時は脆く崩れる。
貴族の怠慢に漏れない自尊心の塊であったアスタはそれが砕かれ、遂に。
「ま、魔王様……。み、見逃して、くれ……俺が悪かった、頼む……命だけは」
真奈と対峙する前のアスタなら侮蔑していたであろう無様な命乞いをする。
全身からあらゆる体液を放出するも、それすらも真奈から発せられる熱で蒸発する。
無様この上ない姿に、いつもの真奈なら温情をかけていたかもしれない。
だが、既に許容範囲を超えていた。
「見逃してくれ? それが罷り通るはずがないよ。貴方は己の野心に従って好き放題暴れてくれたんだ。その責任は取るべきだよ。貴方に残されたことは、せめてこれ以上醜態を晒さずに、貴族の誇りを持って死ぬだけ」
アスタにトドメを刺す為に、真奈は掌に紅蓮の魔力を凝縮し始める。
「アスタ・アミレッド。貴方とは最後まで相容れなかったけど、貴方も叶えたい野心のために戦って来た。それを否定する気はない。だから私は、そんな貴方を心ばかりの敬意と燃え滾る怒りを持って葬ってあげる」
魔力が凝縮して生成されるは小さいな炎の球体。
大きさは真奈の指で摘める程に小さいものだが、その球が爆せた時、これまでにない程の破壊を齎らす力が内包されていた。
アスタの心が完全に恐怖に支配されたことで、アスタの脳裏に走馬灯の様な過去の情景が過ぎる。
10年前の出来事だった。
それは、先代魔王エルドラシェルの妻、赤の国の第6王妃オウナが崩御した翌日。
魔王城にて親族を含め一部の貴族と王妃と親交があった者達で葬儀が行われた。
アミレッド家は炎の系譜繋がりでサタルディーネ家と懇意な関係だったため葬儀に招待され、現アミレッド家の当主であるアスタの父が参列した。
約半日が経ち、葬儀から帰って来たアスタの父であったが、その顔は蒼白していた。
父は思い出すのも憚れると詳細は伝えなかったが、アスタに忠告した。
『アスタよ。魔王様の御子女である第6王女のマナルデリシア様を決して怒らしてはいかん。あの方の逆鱗に触れてしまえば、我らなど塵芥も当然に消し炭にされてしまう……』
その時のアスタは既にサタルディーネ家の王政を転覆させる野心を抱いていたため、父の忠告を下らないと聞く耳を持たなかった。
王妃の葬儀でアスタの父は何を目の当たりにしたのか。
アスタは赤の国に伝承される、とある伝説を思い出す。
創世記の魔界に秩序など欠片もなく、凄惨が振り撒く群雄割拠の暗黒期だったという。
そんな時代に現れた1人の原初の魔人。
数多の魔人、数多の龍を従え、天界に戦争を挑み、全土を獄炎に包み込もうとした最強の魔人、サタン。
その末裔であるサタルディーネ家は代々サタンの力を内包された家宝を継承されると聞く。その力の名は––––––––––––––––
「紅蓮の……魔皇!」
アスタは自分がどれ程強大な敵の逆鱗に触れてしまったのか、
「紅蓮の炎に抱かれて、散れ」
文字通り、その命と魂が燃やし尽くされることで理解した。




