第14話 襲撃
惨劇は突如訪れた。
街の数カ所で突発する爆撃。
破壊された屋根の瓦礫が街路に落下して粉塵を巻き上げる。
「きゃああ! なに!? 爆発!?」
「なにが起きやがった!?」
「うぇええん! こわい、怖いよぉおお!」
住人達の悲鳴が響き、周囲は阿鼻叫喚となる。
その絶叫が広がる状況に、真奈は怒りで顔を歪ませ。
「いつかとは予想はしていたけど、最悪なタイミングで最悪な場所に仕掛けてくれたね、まったく! レティは子供達と一緒に魔撃シェルターに避難して!」
「わ、分かりました! みんな! 急いで逃げるよ! 私に付いてきて」
真奈の指示に従い、レティは先ほどまで笑顔だったが、今は恐怖で泣きじゃくる子供達と共に避難を始める。
真奈は険しい顔で颯太を見て。
「颯ちゃん、街中視察はここまで、レティと一緒に避難してくれないかな?」
「避難してって、どこに!?」
「ここから東に行けば魔撃シェルターっていう地下避難所がある。それは魔法に耐性のある金属で建造された避難所で、そこに避難すれば安全だと思うから」
真奈は避難先を説明して颯太から踵を返す。
「待って真奈ちゃん! これは一体なんなのかな!?」
突如の出来事に状況を理解出来ない颯太。
この間にも爆撃音や住人達の悲鳴は轟き広がる。
「今のは十中八九、反魔王勢力による襲撃だと思う。しかも、蒔餌が効いたのなら、私の憶測に颯ちゃんを襲った奴が所属している集団と思われる」
「僕を襲った反魔王派って、どうして今……」
「あくまで憶測で確証を得られない今、相手さんの意図を一々探るのは後にして、颯ちゃんは早く避難を。ここにいたら確実に巻き添えになるから」
「僕に何か出来ることはないのかな……」
「ないよ」
一刀両断するかの様に短い言葉で言い切られる。
真奈も颯太の為だと、嘘偽りない事実を突き付ける。
「颯ちゃんは人間なうえにただの一般人。戦う術も戦場で生き延びる知識もない。敵の数も不明、何処から襲って来るのかもわからない。そんな不確定要素が蔓延する緊迫な状況で私が貴方を守り続けるのは難しい。つまり、貴方は足手纏いに過ぎない。だから、早く逃げて」
真奈が指差す方角には少し遠のいているが目視できる距離にレティの姿が見える。
今ならレティの後を追い避難所に逃げることが可能。
此処でもたつき、レティを見失えば土地勘の無い颯太は取り残される。
一刻の猶予がない緊迫した状況で、颯太は自らの無力さを不甲斐なく思いながら静かに頷き。
「分かった。真奈ちゃん、どうか無事で。また、会おう」
颯太は真奈に告げて走ってレティの後を追った。
颯太が去って行くのを眺めるが、颯太の無事を祈りながら目を瞑り、開いた時にはその瞳は戦士となっていた。
「さて、そろそろ人様の平凡を壊す不届者に天誅……いや、魔族風に魔誅、どっちでもいいか。懲らしめてやることに変わりはないからね」
手の骨を鳴らす真奈。
それと同時にレンガの屋根から影が複数飛び出す。
「やっと見つけたぞ悪逆魔王マナルデリシア! 貴様の王政は今日で終わりだ! 我ら【焔の牙】の手によってな!」
現れたのは悪魔の翼を展開して真奈の上空を覆う鎧を装着した魔人。
数は約30。察知できる魔力の質からして半数以上は中級魔族以下。しかし中には上級魔族クラスが数人いた。
「……この魔力は」
察知した魔力に覚えがある真奈だが敵は待ってはくれなかった。
「我ら魔族の誇りを陥れる不純種が、貴様の存在自体が不届き千万、此処で死ね!」
「そうだ! 俺達が襲撃することにも気づかず嵌められた間抜けが! これこそが貴様はに王としての素質がない証拠なんだよ!」
血気盛んに鉄槍を構えて真奈に突貫する襲撃者達。
迫る尖った槍先だが、真奈は微動だにしなかった。
複数の槍が真奈の体に到達。無惨にも真奈は槍によって刺されてしまった。
「どうだ魔王! 貴様は所詮半分しか持たぬ王族の血に甘んじた劣等者! ここで無様に死ぬのが貴様にはお似合いだ!」
真奈を槍で突き刺せたことで勝ち誇る魔人。
特攻したのは10名。残りの魔人達は上空で哄笑をあげている。
国を統一する魔王が無様に討たれ、今にも勝鬨をあげそうな雰囲気の中、
「嵌められたのは、どっちかな?」
刺されたはずの真奈から発せられた言葉に全員が驚愕する。
槍で特攻した魔人達は此処で異変に気づく。
真奈を穿ったと思われる槍は真奈まで到達していなかった。
否、真奈に触れる寸前の所で鉄の槍先が溶けていたのだ。
「それにしても、散々人を虚仮にしてくれたね。これには温厚で通っている私もいい加減、怒るよ?」
「なに!? あつッ!」
真奈が嘆息したと同時に真奈を中心に熱風が吹き荒れ、囲んでいた魔人たちは壁へと叩きつけられ気絶する。
「な、なんだ今の魔力は……。聞いてた話と違うぞ」
真奈の力の一片を目の当たりにした魔人の何人かは戦意喪失しかけるが、前線の魔人達を退かせ、前に出る四人の魔人。
「ふん、半端とはいえ一応は魔王の血筋か。雑兵共には荷が大きいだろう。なら、俺達、爵位貴族が相手になってやる!」
四人の魔族から発せられる魔力の質と量は他の魔人達の比ではない。
自らが宣言した通り、この四人の魔族は赤の国でも高血な家系出身。
四人が各々武器を構える中、真奈はその中の一人に目を付ける。
それは大鎌を構える男性。大鎌は刃毀れが無い新品な鎌だが、見知った魔力から真奈はその男性に尋ねた。
「ねえ。貴方は先日、颯ちゃん……公園で私の知り合いである人間の男性を襲った、私と対峙した人かな?」
「あ? そうだが。先日はどうもだな穢らわしい魔王」
真奈の観察は正解で、大鎌を構える男は先日公園で颯太を襲った犯人。
当然であるが、襲ったことに対して一切悪びれる様子はなかった。
「貴様の所為で殺し損ねたが、貴様を葬った後、あの小僧も貴様の後を追わせてやるよ。確か魔界にいるんだよな? 俺は狙った獲物を一度たりとも諦めたことはねえ。必ずこの鎌で殺してやるよ」
高笑いをあげる男は更に真奈に挑発する。
「あの様なちっぽけな炎しか出せない貴様如き、俺1人で相手してやるよ。自分の力の無さを嘆いて死ぬんだな」
新調された大鎌を構える男に真奈を俯き。
「ちっぽけな炎、ね」
「なんだ? 何がおかしい」
絶望で顔を沈ませたかと思えば、呆れるかの様な嘲笑を浮かべる真奈がその理由を語る。
「可笑しくもなるよ。人の力量も測れない愚かな人ほど滑稽じゃないからね!」
嘲笑を浮かべていた表情から一転して眉根を歪ませた怒気の表情となる真奈の周囲に灼熱が吹き荒れる。
灼熱はレンガを溶かすほど高熱で、真奈に近づく事さえも困難に成程。
「な、なんだと!? この火力、先日とは比にならない炎だぞ!?」
前に対峙した時の炎とは比較できない高火力。
例えるなら、先日のが蝋燭なら、目の前で吹き荒れる炎は自然を覆い焦がす山火事。
「貴方の節穴具合に哀れんで教えておくけど、先日の私は敢えて火力を手加減していたんだよ。なんせ、周りには木が沢山あったし、あの日は偶々普通の制服を着ていたからね」
昨日の襲撃時の時は周囲に木に燃えやすい木々があり、更に当時の真奈の服は人間界制作の火耐性がない普通のを着ていた。
あの時、真奈が敵を捕縛する為に全力の炎を使えば木々に火の粉が移って火事になり、服は焦げて醜態を晒してだろう。
「けど今は違う。魔力探知で周囲に民が居ないのは確認できて敵しかいない。なら、気を使う必要はないよね!」
石畳の街道を砕く勢いで跳んだ真奈は瞬時に大鎌の男の上空に達する。
男からすれば轟音が響いた瞬間に真奈が消えたかの様に見え、再び視界で真奈を捉えるのに時間が掛かった。
僅かな時間であるが、男の命運を決めるのには十分過ぎた。
男へ翳す真奈の掌は赤く光り、熱を帯びていく。
「懺悔を言わせる時間も与えない。さっさと眠っててくれるかな」
「なんだ、とおおおおお!」
断罪の言葉を告げ、真奈の掌から高温の熱線が発射され、男を地上から十数メートルの深さまで貫通させた。
白目を剥き皮膚は随所で黒焦げているが命までは奪っていない。
殺すのは容易いが、殺生を好まない真奈は手加減していたからだ。
地上に降り立った真奈は、地中で眠る男を見下ろし。
「颯ちゃん。敵は打っておいたからね」
颯太を重傷を負わせた男に意趣返しを済ませた真奈は、残る爵位貴族を見上げ。
「いつまで私を見下してるのかな。貴方達もこの人と同じく地面に這いつくばらせてあげるから、身を持って体験するんだね。貴方たちが、誰の逆鱗に触れたのか」
魔王の禍々しい威圧に空間が怯える様に震える。
襲撃に遭っている真奈を中心にした東側にて。
現在、スユキは反魔王派【焔の牙】の一味が各地点で無辜の民達を襲っていた。
現王政の崩壊を掲げるのであれば元凶の魔王を討つのみだが、現魔王に支持する者達も彼らにとって粛清対象。否、する者、しない者関係なく、ただ己の残虐な本能に従い無秩序な暴力を振るっているだけかもしれない。
このままだと多くの民が犠牲になる。
だが近い内に自身を狙った反魔王派勢力の襲撃を予見してた真奈は策を講じていた。
「ニャハハハッ! これは清々しい程に暴れてるナ! まあ、キョウの暴れほどじゃないがナ!」
襲われる民の盾になり、下っ端一人を殴り飛ばすは、魔王マナルデリシアの従者が1人、猫又のキョウだった。
キョウは主人である真奈の命令で、密かに街に侵入して敵の動向を伺っていた。
そして敵が動いたことで、キョウも矢面に立ったのだった。
キョウが愉快愉快と大笑いする中、キョウの部下が苦言を申す為に現れる。
「キョウ様、我々の周囲にいた住人達の退避が完了しました。ですが、今は渦中ですので不謹慎な態度は慎んだ方が良いかと……」
「ウルサイナ〜。別にいいだロ。キョウ達が急いで動いたおかげデ、ケガしたヤツはいないんだかラ」
「確かに我々の現場ではそうかもしれませんが、他所ではまだ退避が完了してないかもしれませんので……」
「わかったわかっタ。それよりも、もう暴れてイイカ? 久々のドンパチ騒ぎにウズウズしてるんだガ」
戦火の中にも関わらず一切の恐れや不安を抱かず、玩具を目の前に用意された幼子の様に目を輝かせてやる気満々のキョウに、部下は頬を引き攣らせ。
「敵を制圧するのも我々の役目ではありますが……キョウ様。くれぐれも暴れすぎないように……決して、街を破壊するのは----!」
部下が釘を刺そうとしたが、敵は待ってくれず、襲ってきた敵の1人へキョウの拳が放たれた。
空気を斬り裂く拳打は敵の鳩尾へめり込み、振り切った腕により突き飛ばされる。
キョウの華奢な腕からは想像ができない剛力によって、突き飛ばされた敵はレンガの壁を貫通。貫通した衝撃で家の土台が崩れたのか、無惨にも家は瓦解する。
襲ってきたのだから撃退した。
戦場では特に可笑しなことではないが、言うなれば“やり過ぎ”だった。
殴った手に付く汚れを叩くキョウは清々しいほどの歯見せる笑顔を浮かべ。
「ムリ♪」
部下の忠告を嬉々として一蹴したキョウは解き離れた猛獣の如く暴れ出す。
キョウの一撃一撃が建造物を破壊。
もし仮に此度の襲撃を鎮圧しても、後々過剰防衛とかで住人から賠償されるのではと、部下は諦めた様に天を仰いだ。
真奈が襲撃された場所から西側。
屋根の上に立ち、煽る風で髪を靡かす1人の剣士は、自分から遠くで発生する轟音に眉根を寄せ。
「この騒々しい音。どうせあの馬鹿猫だろ。本当にあの単細胞で力任せの猪突猛進猫が。自重という言葉を知らないのか」
灰色の髪に白装束を彷彿させる白一色の和服を着こなす剣士、魔王マナルデリシアの従者の1人、サザンが轟音の発生源であろう人物に苦言を呈する。
サザンもキョウ同様に真奈の指示で街に潜伏。部下達と共に襲撃の鎮圧に動いていた。
地上で暴れる反魔王派の下っ端共を見下ろすサザンの背後に跪く男衆。
その中の垂れた犬耳の獣人がサザンに告げる。
「サザンの姐御。住人の保護は完了しやした」
「そう。なら君達は保護した住人達と一緒にここを離れてくれるかな。下っ端の相手はボク1人でするから」
「姐御1人でって……。相手さんは100人以上いやす。流石の姐御でも相手するのは骨が折れるんじゃ……」
「相手が100人いようが1000人いようが雑兵は雑兵だ。何人束になろうとボクに敵うわけがないだろ。反駁する暇があるなら、さっさと去ってくれるかな?」
「いや、そういうわけには……俺たちも一緒に戦いやすので」
食い下がる獣人の部下にサザンは息衝く。
「ボクは同じことを言うのは嫌いだ。だからこれが最後。さっさと行け」
有無を言わせない静かな威圧に共に戦おうとする部下を黙殺させた。
そして、サザンは住人を血眼になって探す不届者達が蠢く地上へと降りた。
「やっと見つけたぞ! 此処で手柄を上げて、高い位に就くんだからよ!」
野心に燃やす下っ端の1人がサザンへと斬りかかる。
が、下っ端の武器がサザンに届くことはなかった。
「……は? へ……いつの、まに」
数時間前の強盗同様にいつの間に抜身となっていたサザンの刀が下っ端の急所を斬っていた。今回は峰打ちの気絶ではなく、刃による絶命で。
「超不本意ながら、一応此れでも名の知れた称号を持つ身なんだよね、ボクは。知ってるだろ、“六魔剣”」
サザンが語る己が有する称号の名を聞き、下っ端共は怯える者、更に奮起する者と様々な反応を示す。
サザンは挑発する様に人差し指で招き。
「この称号を欲する勇敢ある奴は掛かって来い。背中を見せず全員と戦ってやるから」
サザンは餌を撒いた。
魔族は欲深き種族。
餌を目の前にして手を出さないのは生涯の恥とする者が多い。
故に、先程のサザンの瞬殺で逃げ腰だった下っ端達は武器を握り直した。
「「「「「「うぉおおおおおおお!!!」」」」」」
雄叫びをあげ100人以上の下っ端達がサザンへと雪崩れ込む。
サザンは焦りの汗を一滴も流すことなく、綽綽と刀を構え。
「馬鹿猫以上のバカだよ、君たちは」
数分後、そこが血溜まりが一面に広がる惨状になるとは、この後絶命する下っ端達は永劫知る由はなかった。
続いて、真奈を中心に北側の地点にて。
そこは地獄絵図と化していた。
「ぎゃははは! 死ね! 死ねぇ!」
「死にたくないヤツは掛かってこい! 魔族としての本能が抜け落ちてないヤツは大歓迎だ! 抜け落ちたヤツは死ねぇえ!」
飛び交う悲鳴、飛び散る鮮血。
転がる民の死体。暴れまわる【焔の牙】の構成員たち。
構成員は殺戮を楽しむかのように、無数に死体が転がろうと一切の罪悪感も躊躇いなく嬉々として得物を振るう。
戦場は斯くあるべきと言わんばかりに凄惨たる有様。
「酷いですね」
戦場の隅に立つ魔王の従者が一人、憑依騎士のホロウが呟く。
民が襲われているのに何故助けに行かないのか。
別に職務怠慢でも怯えて隠れているわけでもない。
ただ、ホロウが手を出すまでもないからだった。
「流石、【悪夢売り】の異名を持つ幻覚使いです。まさか鎮圧の為に――――敵同士で殺し合いをさせるなんて」
味方ながら恐怖を感じたかのように小声で言うホロウ。
そう。目の前に広がる民への残虐行為は構成員たちが魅せられている幻。
現実で彼らが手にかけているのは、同じ野望を掲げる同胞だった。
彼らが魅せられている幻はホロウと同じ魔王に仕える従者、淫魔のヨルの仕業。
彼女は相手の脳、即ち五感を支配して幻を掛ける幻覚使い。戦場に辿り着いて直ぐにヨルは構成員たちに幻をかけ、彼らは本能のままに暴れ続けていた。
砕けたレンガに腰掛けるヨルは傍観するホロウに言う。
「てかホロウ。貴方、自分の持ち場はいいのかしら?」
「幸いな事に他方角と比較して被害は軽かったので、部下に任せて接近戦タイプではない貴方の加勢に来たのです。まあ、杞憂でしたが」
「ふん。私も舐められたものね。こんな粗末な相手なんてかるーく仕置きできるわよ。ほんと、舐められるのは陰部だけにしてほしいわ」
「…………最後のギャグに関して無視します」
「生娘め」
ギロリ、と瞳はなくとも鋭い眼光を向けられていると分かるホロウの視線を無視して、ヨルはホロウに忠告する。
「言っておくけど、私の幻覚で認識阻害されているのは町人と私だけで――――」
「そこにいるのはまさか魔王の腰巾着の鎧女か! 死にやがれぇええ!」
構成員の数人が戦場の隅で傍観していたホロウ目掛けて襲って来る。
ヨルの忠告が遮られたが、彼女が言いたかったのは、ヨルの幻覚で認識阻害してるのは町民とヨルだけで、敵からすればホロウの姿はそのまま認識されているのだ。
ホロウの分も掛けとけよとなるが、そこはヨルの僅かな悪戯心だった。
なんせ、ホロウならこの程度の雑兵相手に屈することはないのだから。
「構いませんよ。正直、ストレスが溜まっていたので、少し発散せていただきます」
ホロウがそう言って籠手の指を鳴らすと、土で生成された荒縄が構成員たちを頑丈に拘束する。
「な、なんなんだこの縄は!?」
「は、放しやがれ!」
拘束されて身動きが出来ずに暴れる彼らをホロウは侮蔑な視線を向けながら淡々と手を開く。
「ご安心ください。少しきつく感じると思いますが、直ぐに楽になれます。罪もない民たちに危害を加えようとした屑な貴方たちにお似合いな形でですが」
「な、なんだ!? ひ、ひもがキツく!」
「ぐ、ぐるしっ! や、やめ!」
ホロウの手が徐々に閉じる動作に同調してか、構成員たちを拘束する力も徐々に強まっていき、悲痛な呻き声が漏れ始める。
そして、
「では、お逝きなさい」
ホロウが完全に拳を握りしめると、構成員たちは、宛ら絞られた果実の様に血飛沫が散らばり、締め付けられた胴体は元の1/10までに圧縮された酷い死体が辺りに転がる。
「……貴方も大概惨いわね……」
「誰も性格が良いなんて自負しておりません。早く鎮圧を進めますよ」
「はぁ……特別ボーナス、出しなさいよ。今月もひもじいんだからさ」




