メイド、アリを灰にする
遅れました⋯⋯ごめんなさい⋯⋯
「えー? でもゴブリン・ジェネラルなんて、言うたらただのゴブリンやろ? ジュゴンとマナティーみたいな違いやん」
フェリシアの適当すぎる例えに、スイが瞳をスッと細めた。
「……いいですか。ジュゴンとマナティーは、構造が全く異なります。例えば尾びれの形。ジュゴンは三角形ですが、マナティーは丸いうちわ型なんです。全然違います!」
「「「へぇ〜……」」」
私、フェリシア、さらにはニコまでもが声を揃えて感心してしまった。
(初めて知った、そんな雑学……!)
「というか、そんな話はどうでもいいんです! さっきのジェネラルも、ルナリスさんだけであっさり倒してましたけど……
……はぁ。もう、とにかく。フェリシアさん、いた魔物の名前は正確にフルネームで書いてくださいね」
「鑑定スキル持ってるし、そこは任しとき! 文字に起こすの、結構楽しいわ!」
「Fランクで鑑定持ち……。こっちもこっちで、やっぱり規格外ですね……」
スイが呆れ顔で呟いたその時。岩陰から巨大なアリが姿を現した。
「あ、ハイト・アント。炎属性――『ファイアーボール』」
私が魔法を発動させると同時に放たれた火球が、アリを一瞬で炭に変える。
「……ちょっ! 今のは高ランクモンスターですよ!?」
「あ、これ道中にいっぱいいたやつやん。これな、ルナちゃんが焼くと中身がエビみたいで結構美味しいんやで!」
「美味しいかどうかは別として、あなたたちは一体どんな『道中』を通ってこの国に来たんですか……」
絶句するスイを尻目に、フェリシアは「詳しい話はおっちゃんに聞いてや」と笑いながら、手際よく記録を書き足していった。




