68 私を殺すつもりか?
黒い霧がますます激しく渦巻き、「幼獣」の叫び声も次第に凄まじくなっていった。
ただ一人の村民だけが許しを請わなかった。彼は歯を食いしばり、「幼獣」を睨みつけ、歯の間からこう絞り出した。「お前のような畜生が、何様のつもりだ――」
言葉を言い終える前に、黒い霧が彼の口から一気に逆流した。彼は喉を絞められたかのように背中を反らせ、顔は紫がかった赤に染まり、それ以上、声を出すこともできなくなった。
ヴァルターは彼を一瞥したが、表情は微動だにしなかった。
「もう助からない」
イザベラは、この男がさっきまで「我々は妖獣の仇を討った」と言っていたことを思い出した。
庭は騒音に包まれていた。
村民たちの悲鳴、懇願、頭を地面に叩きつける音が、「幼獣」のますます甲高く、切迫した鳴き声と混ざり合い、誰が泣いていて、誰が叫んでいるのかほとんど区別がつかないほどだった。
黒い霧はますます増え、「白い」幼獣はその姿さえも失いそうになっていた。
黒縞妖猫の爪は泥に深く食い込んでいたが、その顔には何の表情もなく、ただ全身を震わせながら静かに見つめているだけだった。
その憎しみさえも、あまりに静かなものだった。
吸収が終わると、黒縞妖猫は「幼獣」を鼻先に持ち上げ、ゆっくりと体をすり寄せようとしたが、「幼獣」に鼻先を爪で引っかかれてしまった。
ただ、黒縞妖猫は堕魔した「幼獣」に体を寄せることができず、「幼獣」もまた黒縞妖猫を掴むことはできなかった。
それでも黒縞妖猫は全身を硬直させたままだった。
鼻先から「幼獣」をそっと下ろし、両前足で包み込むように抱き、頭を下げて、額で「幼獣」の額に空中で寄せた。
そのまま、長い間、動かなかった。
ヴァルターは村民への回復術をイザベラたちに任せ、自身は「幼獣」への霊魂浄化術に専念した。
「幼獣」を取り巻く黒い霧が、肉眼でもわかるほどゆっくりと消え、やがて完全に消え去った。
黒縞妖猫の眼差しは、ますます穏やかになっていった。
しかし、「幼獣」は相変わらず白く、その鳴き声は相変わらず悲痛で怨念に満ちていた。
「ここまでだ」
ヴァルターの言葉が口をついた瞬間、回復術をしていたイザベラたちの手が一瞬止まったが、誰も口を開かなかった。
ただ、アルベルトの目にはすでに涙が浮かんでおり、鼻先が赤くなっていた。
クラリスの手元の回復術は続いていたが、仙力が明らかに震え、ちらりと揺らぐとすぐ落ち着きを取り戻した。
ヴァルターが黒縞妖猫を見やると、黒縞妖猫は従順にヴァルターのそばにしゃがみ込んでいた。
その尾は体の前へ回され、自分の前足を巻き込み、頭をわずかに下げながら、白い「幼獣」を優しく見つめていた。
ヴァルターは、浄化できない「幼獣」の魂の中に宿る魔気を、黙って黒縞妖猫へと移していった。
黒縞妖猫の毛皮には、徐々に黒い霧が立ち込め始めた。
黒猫は相変わらず黒縞妖猫の頭の上に端正に座り、時折しっぽを振っていた。
誰も気づいていなかった。
ある限界を超えない。黒猫がしっぽを振るたびに、黒縞妖猫の体にまとわりついた魔気が、少しずつ薄れているようだった。
ただヴァルターだけが黒猫を一瞥し、何も言わずに、残りの魔気を黒縞妖猫へと送り続けた。
黒い魔気が吸い出されるにつれ、「幼獣」は逆に白から、母である黒縞妖猫と同じ黒へと徐々に色を変え、その鳴き声は凄まじいものから怒りに変わり、怒りから悔しさへと変わり、最後には徐々に弱まっていった。
それと同時に、村民たちの悲鳴も次第に収まっていった。
地面に崩れ落ちて荒い息をついている人、自分を抱きしめて丸まっている人、すでに気を失っている者もいた。
庭は静まり返った。
残ったのは、「幼獣」が漏らす、かすかで柔らかな「ニャー」という一声だけだった。
それから、長い時間が流れた。
庭にはイザベラたちと黒縞妖猫たちだけが残り、村長でさえクラリスによって屋内に閉じ込められてしまった。
夕闇が塀の外から差し込み、土の地面を暗灰色の色に染めた。風が止み、庭には仙力が巡るかすかな音だけが残っていた。
やがて、幼獣の魂はお母さんと同じ黒色を取り戻し、丸まって黒い毛玉のようになった。
鳴き声も、先ほどまでの苦しげなものではなく、どこか幼く、穏やかなものへと変わっていた。
それは穢れの黒ではなかった。お母さんと同じ、黒縞妖猫としての本来の色だった。
黒縞妖猫は優しく幼獣を見つめ、今度はついに直接「幼獣」の額に額を寄せた。
「ニャー――」
幼獣はゆっくりとその目の前で星の光へと変わり、その姿は静かに消えていった。
黒縞妖猫は首を仰け反らせ、幼獣が消えた方向を見つめ、微動だにしなかった。
その前足は依然として支える姿勢を保っており、掌は空っぽになっていたが、引き戻そうとはしなかった。
まるで、あの小さくて重みのある魂が、まだそこに横たわっているかのようだった。
「幼獣には、きっと素晴らしい来世が待っているだろう」
ヴァルターの声は、どこか穏やかに響いた。
黒縞妖猫はうなずいた。
そしてようやく頭を下げ、空になった前足を体の前に引き寄せ、ゆっくりと丸くなった。
「ニャー――」
黒猫が通訳した。
「ありがとう。 お前たちは私を殺すつもりなのか?」




