47 堕魔
アンナはリヒターの後を歩き、白い衣が草の葉の間をさらりと通り抜け、泥やほこりを一切付着させなかった。彼女の視線は猫にほんの一瞬しか留まらず、口には強い懸念をにじませて言った。
「でも、あの黒縞妖猫は堕魔の兆しを見せているようです。 殺したほうがいいのではないでしょうか?」
彼女の言葉が終わるやいなや、イザベラとクラリスはすぐに顔を見合わせた。
このアンナ仙士は、黒縞妖猫を一目見ただけで、それが堕魔しようとしていると見抜いたのか? しかも、その態度はあまりにも冷静すぎるのではないか?
「堕魔!?」
アルベルトは驚いて声を上げ、勢いよく一歩前に踏み出し、リヒターのかかとを踏みそうになった。アルベルトは黒縞妖猫をじっと見つめた。
「まさか、あの猫が堕魔しようとしているのか? 俺には全く気づかなかったぞ?」
「うん、僕も気づかなかった」
リヒターも眉をひそめ、黒縞妖猫を頭からつま先までじっくりと観察し、それから視線をアンナに戻した。
「アンナ仙士はどうやって見抜いたんだ?」
「以前見たことがあるのですぐに見分けがつきました。 だから、この黒縞妖猫はやはり殺さなければならないですわ」
アンナはまぶたを少し下ろした。
「アンナ仙士は優しそうに見えるのに、まさかこんなに冷酷だなんて?」
イザベラが口を開き、首を傾げながら、唇の端にかすかな笑みを浮かべた。
アンナの瞳が微かにきらめき、唇を噛みしめて、沈んだ眼差しで言った。
「ご存じないようですが、堕魔者は絶えず天地の霊気を貪り、生霊の力を奪い、それによって仙力を高めます。 ある一定の仙級に達すると周囲を滅ぼし、その地は生霊が惨禍に見舞われ、あらゆる生命の息吹が完全に消え失せてしまいます。 堕魔者である以上、即座に斬り捨てる。それが我ら修仙界の不文律なのです」
彼女は一語一語を明瞭かつ重々しく語り、その言葉はすべて正義の側に立っていた。
イザベラは肩をすくめ、それ以上何も言わなかった。
イザベラは顔をそらし、再びヴァルターとあの黒縞妖猫に視線を向けた。指で剣の柄を気まぐれに軽く叩き、苛立ちを隠せない様子だった。
アルベルトはイザベラとアンナを交互に見つめ、唇を舐めた。どうやらイザベラは今、機嫌があまり良くないようだ。
アンナは振り返り、クラリスの方へ歩み寄りながら、袖から素朴な白い小さな磁器の瓶を取り出した。
「仙士さん、きっと激しい戦いを経験されたのでしょうね。 大丈夫ですか? ここに基礎的な丹薬があるのですが、必要ですか?」
クラリスは剣を杖代わりに地面に座り、頭から体中まで草まみれで、仙力をすべて使い果たしてしまったように見えた。
クラリスは顔を上げた。
「結構よ、ありがとうね。 私はクラリス」
アンナは背筋を伸ばし、唇を噛みしめて微笑むと、振り返ってイザベラに尋ねた。
「では、この仙士さんは? あなた、だいぶ回復しているようね。 クラリス仙士があなたを守ってあげたんでしょう? クラリス仙士も大変ですね」
クラリスは剣を握る手をわずかに強く握りしめ、さっき自己紹介するべきではなかったと後悔した。
「そんなこと言わないで。 同門同士、互いに支え合うのは当然のことよ」
「どうやらアンナ仙士には同門の仲間がいないようよ。 こういう話は理解できないわけね」
イザベラは、笑っているようでも笑っていないような表情でアンナを見つめた。
アンナは微笑みを少し引き締めた。
「もちろんいますよ。 この村の中に。 ただ、少し怪我をしていて、療養中なので外に出ていないだけです」
少し気まずい空気が流れ、静まり返った数人は一斉にヴァルターの方を見た。
すると、ヴァルターは跳び上がって黒縞妖猫の背中に乗り、自分よりずっと大きなその黒縞妖猫の首筋を素手で掴み、片足をその背骨にしっかりと踏みつけた。
足に力を込め、妖猫を地面に押し付けると、冷徹な表情で妖猫の耳元に顔を寄せ、何かを囁いていた。
その時、アンナが再び顔を上げて尋ねた。
「この仙力化縄術は、ヴァルター仙士が張ったものですね。すごい、さすがはあなたたちの首席ですね」
彼女の視線は黒縞妖猫からヴァルターへと移り、その瞳には隠すことのない憧れが宿っていた。
イザベラの指が剣の柄の上で一瞬止まり、表情はさらに険しくなった。
あからさまな憧れを、人に気づかれないとでも思っているのか?
アルベルトが答えようとしたその時、背後から落ち着いた声が聞こえてきた。
「違う。 さっき君と話していたこのイザベラ仙士がやったんだ。 俺たちの中で、彼女だけができる。それがどうかしたか?」
先ほど仙門から持った仙器、縛獣鎖が、今や黒縞妖猫の首に巻きついていた。一方、仙力で編まれていた縄は星屑のように散り、空中に消えていった。
黒縞妖猫はすでに大人しく地面に伏せ、四肢を広げ、尾を力なく体の横に垂らしていた。腹部が上下に動き、呼吸は先ほどよりずっと穏やかになっていた。
ヴァルターは猫の背中にまたがり、片足を曲げ、もう片方の足を猫の体の横に垂らしていた。その姿勢は気取らないが安定しており、今、顎をわずかに上げてアンナを見つめていた。
星詠仙門の弟子たちは一斉にヴァルターの方へ視線を向けた。イザベラが仙力化縄術を使えるなんて、冗談じゃない?
ヴァルターは首を傾け、イザベラに優しく微笑みかけた。
「そうだろう、イザベラ?」
初めてヴァルターの笑顔を見たイザベラたちは、なぜか恐怖に満ちた眼差しを浮かべた。
イザベラは半歩後ずさり、かかとが石にぶつかって転びそうになった。
クラリスは手が震えて剣を落としそうになったが、剣は剣士の命だと気づき、間一髪で拾い直した。
アルベルトは思わず息を呑み、リヒターの背後に身を隠した。
リヒターでさえ、わずかに目を大きく見開いた。
首席……彼らに向かって笑ったのか?
なんて恐ろしい!




