15 おや、皆さん、お久しぶりですね
弔いの間の中で、セドリックは言った。
「アルフレッドさん、イザベラが俺の王妃になる日を、俺はずっと楽しみにしていました。それなのに、まさかこんなことになるとは……」
セドリックは悲しげに目を伏せた。
「バカなことを。たとえ高級仙士になれなくても、何の問題があるというのだろう。俺は彼女自身を愛していたのに……」
その口調は、まるで彼がイザベラと結婚したくてたまらないかのようだった。
「今やイザベラはこの世を去ってしまったが、俺は不義な人間にはなりたくない。この婚約を絶対に破棄するつもりはない。イザベラとフィオナは姉妹のように親しかった。
もしフィオナがイザベラの代わりに俺と結婚してくれるなら、イザベラもきっと喜んで、俺たちを祝福してくれるはずだ」
フィオナは棺に向かって、誠実にこう言った。
「イザベラ、私は必ずあなたの代わりに、王太子殿下を大切にし、心から愛します。アルフレッドさんにも、王太子殿下のこの一途な想いを叶えていただけますよう、お願いいたします」
イザベラが怒りを露わにする間もなく、召喚獣の空間から突然物音がした。黒猫が戻ってきたのだ。
イザベラは無意識に声を抑えた。
「出てこないで! 落ち着け!」
「ご主人様、出させてください。あいつらを引っ掻き殺してやる。本当に気持ち悪い!」
イザベラは冷笑した。
確かに、あまりにも気持ち悪い。自分の葬儀の場で、婚約者を別の女にすり替えようとしている。しかも大義名分があるかのような態度を取っているのだから。
「出てきてもいいけど、騒ぎを起こすのは許さないわ」
全身の毛を逆立てた黒猫がイザベラの肩に現れ、棺の陰に隠れていたイザベラもついに口を開いた。
「おや、久しぶりね、皆さん」
その冷たさの中に邪気を感じさせる声に、セドリックは一瞬誰なのか見当がつかなかった。
「誰だ? 出てこい! 怪しげな真似はやめろ」
アルフレッドは眉をひそめた。
イザベラは棺の横から悠然と歩み出て、黒猫は彼女の肩から飛び降りて棺の上に着地すると、棺を激しく引っ掻き始めた。
耳をつんざくような音が瞬く間に弔いの間全体に響き渡った。
皆は、どこか見覚えのあるその顔を見て、一瞬で顔色を変えた。棺を引っ掻く音など気にする余裕さえなかった。
「幽霊だ!」
「死体が蘇った!」
「お、お、お……お嬢様、あなた……人間ですか、それとも幽霊ですか?」
一瞬にして、フェアフィールド家のこの弔いの間は、大混乱に陥った。
アルフレッドは目を丸くしてイザベラを見つめ、呆気にとられた表情を浮かべていた。
「お嬢様……あなたは死んでいなかったのですか……」
イザベラはアルフレッドに答える暇もなく、耳を塞ぎながら棺の上から黒猫を引きずり下ろした。
「もう、うるさいわ。 それに、その爪、痛くないの?」
黒猫は本気で怒っているようで、水晶の棺にさえいくつかの引っかき傷をつけていた。
イザベラは眉をひそめて黒猫の爪を確かめた。
幸い、怪我はなかった。
さらに黒猫の頭を撫でて、毛並みを整えてやった。
「ほら、もう怒らないで」
黒猫をなだめてから、ようやく皆に声をかけた。
「ああ、死んでないわよ。 ほら、ちゃんと立ってるでしょう?」
セドリックとフィオナは恐怖に満ちた表情を浮かべていた。イザベラが死んでいないなら、つまり……
イザベラはセドリックとフィオナの顔色を楽しみながら、ゆっくりと口を開いた。
「そういえば、私、今回は――」
「イザベラ、生きていて本当に良かった」
セドリックの笑顔が一瞬だけ引いて、すぐにイザベラの言葉を遮った。
「私が死ななかったのはもちろん良かったわ。 良くないのはあなたたちよ、浮気なんて――」
フィオナはすぐに駆け寄ってイザベラを抱きしめようとした。
「イザベラ、すごく心配したわ――」
イザベラはくるりと体を回してフィオナをかわし、椅子に座った。
「何を心配してるの? 私を殺せなかったこと?」
これで、誰もがセドリックとフィオナの動揺に気づいた。
セドリックがまた近づこうとしたが、アルフレッドが彼を遮り、イザベラに一礼した。
「お嬢様、一体何が起きたのですか?」
イザベラは黒猫の毛を撫でながら言った。
「ええ、大したことじゃないわ。 浮気現場を突き止めた後、D級の仙士に追われ、最後に崖から落ちた――それだけよ」
一同は驚愕の表情でイザベラを見つめ、次にセドリックとフィオナへと視線を移した。
先ほどの「結婚の取り替え」の話は、皆が耳にしていたのだ。
フェアフィールド家の使用人たちは、イザベラを好いてはいなかったが、将軍への忠誠心は本物であり、誰もフェアフィールド家を侮ることは許されない。
使用人たちは怒りを露わにして、セドリックとフィオナを睨みつけた。
「イザベラ、冗談はやめてよ。 私はあなたの親友なのよ? どうして王太子殿下とそんな関係になるの?」
フィオナは慌てて笑った。
「それに……本当にD級の仙士に追われたのなら、どうしてあなたが無事でいられるの?」
「そうね、私も不思議なのよ」
イザベラはフィオナを見つめ、首を傾げた。
「王太子と不義の関係にあるのがあなたなんて、一言も言った覚えはないわ」
フィオナの顔色が瞬く間に青ざめた。




