そっと忍び寄る初イベント
はい。ついに来ました。どうしよう。嫌がったら、行かなくてもいいだろうけど、レイちゃんが一人で中庭に行ってしまったらどうしようもない。バッドエンドへの第一歩だ。
大丈夫。きっと大丈夫。場所の確認もモモンガダイビングの練習もバッチリだ。
「い、いいよ。行こうぞ!」
「テンション高いですね。有難うございます。では行きましょう。」
「ねぇねぇ、何で中庭に行くの?」
えっと、あの手紙には何も書いてなかったよね。どうせ、リヴィアに虐められて裏庭に来たとかだと思うけど、今私虐めてなんかないもんね。まだ乙女ゲーのシナリオは始まってないにしても(もう秒で始まりそうだけど!)変わってしまったことはどうなるんだろう。こればっかりはこの世界も変えようが無い筈。ってことはレイちゃんの意志がどうであれ何らかの形でシナリオ通りに進むのかな。それが私にとってどう転ぶかは分からないけど。
「……………………秘密です。」
おう?なんだなんだ、もしかしてもう既にヒロインに会ってて私にヒロインを紹介しようとかじゃないよね?そんなことしたら、リヴィアさん魂抜けちゃうよ?やめてね。
「もしかして、誰かと待ち合わせとかではないよね?」
「いや、何でですか。ここ、お嬢様の自宅ですよ。頭おかしくなりましたか?」
「だよね…………何でもない。」
「やっぱり頭おかしくなってるんですね。主治医を呼びましょうか。」
おん?やっべ、聞いてなかった。
「良いから!呼ばなくても大丈夫!」
「着きましたよ。」
そう言いながらレイちゃんに止まる気配は無く、スタスタと奥に歩いて行く。
やだ、レイちゃんが冷たい。そんな事言ってる場合じゃないわ。ちょっと緊張してきた。パニエで最大限に膨らんだドレスを見る。ジャンプすることで土で汚れてしまう。上質な布でつくられたのであろうドレスだけど、自分の命がかかってくるのにそんなこと言ってられない。あー、ヒロインにこの世界で初めて会うんだ。うぅ、やだよぉ。こわやこわや。
レイちゃんは一度も此方を見ない。いつもなら道が分からない時は横を歩くか頻繁にこっちを見ながら歩くのに。やっぱ私レイちゃんに悪い事したのかも知れない。取り敢えず謝っとくのがいいのかな。…………いや、気を下手に使われたり取り敢えず謝られるのが怒ってる時更に腹立つやつだわ。転生してから怒るとかイラっとするとかなさ過ぎて鈍くなってた。危ない。小走りでレイちゃんに近付く。
「うわっ。何でそんな後ろピッタリくっついているのですか⁈」
「はぐれちゃいけないと思って…………」
「だからって近いです。」
そう言いながらのさすがの無表情。
「ほら、行きますよ。」
「おっ」
レイちゃんが強引に手をつないだ。何だよ。心配してくれてるのかよ。可愛い過ぎるわ。萌える。まじ推せる。無表情なところはまぁ許してやろうじゃない。(今の私の顔Σ(゜Д゜)な感じになってると思いますけどね。)
まじ可愛い顔してるよね。髪もサラサラだし。これで耳を横にかけてピアスをすれば、あっという間に15歳のレイちゃんだ。もうちょっ凛々しいかな?チラッとしか見たことないけど。さぞかしイケメンだろう。このままもっと。




