リヴィアはもう限界です。中編
目的地まであと少しだ。遠くに中庭が見えた。よしこのまま順調に渡り廊下を抜ければすぐだ。
「リヴィアお姉さま?」
ほえっ!びくっとした。まさかと思い振り返るとレオンちゃんがいた。初めて見た時より少しやつれていてなんだか生気が無い。
「どうしたの。具合でも悪い?」
「はい。長旅だったので翌日に高熱が出たんですぅ。」
そう言って柔らかく笑った。艶の無い暗いピンクの髪が揺れ、桃の様な芳しい香りが辺りを包んだ。
何ていうか守ってあげたくなるなぁ。ヒロイン並みの儚げな感じ。あの時のぶりぶりさが嘘の様だ。
「そう。もう容態は大丈夫なのね。」
「はい。熱は下がったので気晴らしに散歩でもと思って。お姉様はどちらにむかわれるんですかぁ?」
あ、やばい。どうしよう。付いてくとか言われたらたまったもんじゃない。馬鹿広い中庭にレオンちゃん一人ほっぽっていくわけにもいかないし。もしモモンガのごとく何度も茂みから飛び出す姉を見たらもう話してくれなくなってレイちゃんと協力プレイで殺される!ひいぃぃーー。こういう時は話題転換だ!
「私もぶらぶらと。レオンちゃんはお付きの侍女とかはいないけれど大丈夫なの?迷子にならない?」
「はい。大丈夫ですぅ。ところでレイさんは付いていないのですか?」
いや、なんで大丈夫なんだよ。コワッ。触れたらなんか怖そうだし後でレイちゃんに報告だけしとくか。
「レイちゃんは急用でちょっとね。顔色も悪いしやっぱり少し部屋で休んだ方が良いわ。」
さぁ早く部屋に戻るのだ!
「えぇー。でも私ぃお姉様ともう少しお喋りしたいなぁ。」
1メートルくらいあった筈の距離が一気に縮められて手を握られた。レイちゃんの可愛さはあれは自然なものだったけれど、これは多分計算だ。あざとく私より少し小さい背を生かして下からアングルで見つめてきた。分かっているのだ。これは芝居だ、騙されてはいけないと。うるうるとした目がこちらを見つめる。可愛いすぎるレオンちゃんに不覚にも頭がポワンとなった。
「ええと、私これから中庭に行こうと思っているから、レオンちゃんも一緒に行きましょう。」
「本当ですかぁ!とっても嬉しいですっ。」
ぱあぁっと笑顔になった。
……やっちゃった。やっちゃった……(二回目)やっちまったよ。リヴィアちゃん…まぁいっか。仕方ないけどまだ下見すらしてないし場所だけ確認して退散しよう。私ピンチに強くなったなぁ。(悟り)
テコテコと私たちは歩き出した。横にレオンちゃんが付いてくる。私の方が若干背高いはずなのに余裕でついて来るぞ、あれ?少しというか胴の部分のドレスの紐が私より上にきてる⁉ ……え………は……私この世界の姿には割と自信あったんだけど……もしかしてレイちゃんとかもいつも一歩後ろに歩いてるから分からなかっただけで足私より長かったりしたり………
あーもう中庭だぁ。すっごぉーい~、ひっろぉい~。(リヴィアは考えることをやめた。)
「あのぅ、どこ周りますかぁ?」
「えっ、そ、そうね。十二色の噴水を見に行かない?」
「わぁそんな物あるんですねぇ!見てみたいですぅ!」
しめしめうまく誘導できたぜ。ちゃちゃっと確認して部屋に戻ってレイちゃんに土下座すれば解決だ。
「で、お姉さま。何処にあるんですかぁ?」
「え……………え?」
「えっ。」
二人の間にヒュー、ともう春の季節の筈であるのに冷たい風が吹いた。
「私が住んでいた屋敷の噴水は庭の中央辺りにありましたからぁ、ここもきっと庭の中央にありますわぁ。」
元気づけるようにレオンちゃんが言った。
ふ、ふがいない。私………前世はもうちょっと考えて行動できてた筈なのに。
「ごめんなさい。ほんっと情けないわ。」
「いいですよぅ、気にしないで下さい。えっと、ここはうんと……」
きょろきょろとレオンちゃんはあちらこちらを見渡して方向を調べ始めた。
て、天使だ。もうこの子がヒロインでいいじゃん。完敗だよ……
「さぁ、行きましょう?お姉様。」
レオンちゃんは私の手を取って歩き出した。……これは攻略キャラだよ。絶対スチルあるやつだ。この一時だけでもヒロインになれた気分。……はたから見るに女の子同士がじゃれ合ってるだけだけど。うぅ、こんなかわいい弟?もレイちゃんもヒロインに会ったらたちまち恋に落ちてお姉ちゃんを娼館に売り飛ばしたり剣で串刺しにしたりするんだ‼恋って盲目ダネ……お、でもリヴィアってヒロインに対して陰湿ないじめもしてたわけでしょ。それさえしなきゃいいのかなぁ。まあそんな簡単にいったらパイセンも逃げ出さないよね。それにヒロインが私がやったって言ったら多分あの二人も女嫌いの王子も信じるよね。性格も私には期待できそうにないしそれ以外の魅力は攻略対象には響かないもん。あぁ、完全に考えれば考えるほど詰んでる……助けてかつての推し達…………
「わぁ、綺麗…………」
思わずといったレオンちゃんの声で前を見るとそれはそれは美しい光景があった。十二色の魔法水は噴水の中心部から絶え間なく噴き出し、それらは美しい蝶に変わり、周りをフワフワと飛びふっと消えたり、蝶が何匹にも重なったと思うとそれらが美しいアーチを造っていた。
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投稿遅れました。ちょっと収まらないので分けます。
裏庭=中庭
です。表現がごっちゃになってました。ごめんなさい。順次直していく予定です。中庭の方で表現させて頂きます。




